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 台湾改正商標法立法院で三読通過

 
 立法院経済委員会は2011年5月9日に商標法部分条文の改正草案を初審通過し、同5月31日に改正条文を三読通過した。今回の改正内容は多くの制度変更にかかわり、実施するには相当長い準備期間を必要とする。この他、今回の法改正に関連した取り合わせ措置に合わせ、商標法施行規則、税関で商標権の保護措置の実施執行、侵害情報の提供及び商品見本の貸し出し検査の取り扱い規則、原産地が台湾で製造することを表示する証明標章の取り扱い方法等に関連する子法、審査基準、申請書表及びコンピュータ情報システムの改正内容に合わせて研究立案している。関連した取り合わせ措置の研究立案の改正完了を待ち、施行期日については行政院が別に公告する。
 
 今回の商標法の改正は、商標法に関するシンガポール条約(STLT)及びパリ条約の関係規定を参照して大幅に改正されたもの。最も大きい改正点は商標の保護客体を拡大し、出願の範囲を大幅に緩和し、商品又は役務の出所を十分に識別できる標識、例えば文字、動き標章、ホログラムマーク、音声ないし香りの商標は共に商標登録ができる。この他、展覧会優先権を新設、台湾政府が主催又は認可する国際展覧会において、例えば万国博覧会、国際エレクトロニクス展示会などで、登録出願した商標を使用する商品又は役務を展示したときは、展示日後六ヶ月以内に優先権を主張することができ、その出願日は展示日を基準とする。
 
 台湾知的財産局(TIPO)はこのように語っている。現在の商標法第5条第1項によれば、商標は文字、図形、記号、色彩、音声、立体形状又はそれらの結合から構成することができる。但し、法改正後、動き図形(例えば携帯電話の起動画面)、ホログラム(例えばクレジットカードのレーザ偽造防止ラベル)は共に商標登録を出願することができる。
 
 音声商標については改正前現行法で既に実施しているが、今回の法改正で併せて改正に納めた。香りの商標については多くの国では現在まだ香り商標の要件及び基準を定めることができず、行政院で審査するときに、その関連する内容を条文の中に明示せずに、将来もし香り商標の出願があったとき、知的財産局は関連する行政命令を研究起草して香りの商標の出願を審査することと決まった。
 
 商標法第80条第2項の改正草案では「産地証明標章」を設けた。出願人はその地理名称を含む又は十分にその地理区域を指示する標識をもって産地証明標章を登録出願することができる。産地証明標章は必ずその地理区域中に特別な品質、声誉又はその他の特性を持たなければならない。例えば「美濃板條を産地証明標章として出願する場合、「美濃」というところ(台湾の高雄市内)は客家人を主としているところで、「板條」(読み方「バンティアオ」、米粉で作られたきしめん)は客家人の伝統的米材料で作った食べ物である故に、出願の要件と合致すると認められるが、若し「台北板條」というなら、産地証明標章の定義とは合致せず、まさに拒絶査定されてしまう。
 
 このほか、以前インターネットで模倣品を販売することは商標法にいう「陳列、販売」行為に当たるかどうかに関しては実務上見解が分かれている。電子取引及びインターネット発展の経済情勢に対応するため、今回改正条文は電子媒体又はインターネット方式で行った販売行為、販売を意図する行為を商標権の侵害行為として明文で規定している。また、現在の商標法第63条第1項第3号によれば、商標権者は損害賠償を請求するとき、押収された商標権を侵害した商品の小売り単価の500倍から1500倍までの金額。但し、押収された商品が1500個を超えたときは、その合計金額をもって、賠償金額を定める。しかし、いくつかの案件の賠償金は犯行とは明らかに相当でないことに鑑みて、知的財産局は司法院と協議した結果、最低500倍の賠償金の規定を削除して単に最高1500倍の賠償金という規定を留保して裁判官にケース・バイ・ケースについて判断することに一任すると決めた。
 
 なお、今回改正重点の摘要は下記の通り:
①    商標登録の保護客体を拡大する。例えば動き商標、ホログラムマーク等新しい形態の商標の新設。
 
②    商標の諸使用行為の態様を定める。
 
③    商標権者の第二回の登録料の納付遅延を避けるため、登録料が二回に分けて納付できる制度を廃止する。
 
④    商標権者が他人の出願商標の併存登録に同意するとき、若し明らかに不当である状況がある場合においては後願商標はやはり登録できないと改正。
 
⑤    故意によらずに登録料の納付期間を守られない場合の復権規定を増設。
 
⑥    無効審判請求又は廃止(取消審判請求)を提起するときに基いた引用商標の登録がすでに3年満了した場合、請求者は引用商標の無効審判若しくは廃止(取消審判)請求前3年間の使用証拠又は不使用について正当な事由がある証拠を提出すべき規定を増設。
 
⑦    損害賠償については行為者が主観的に故意または過失があることを必要とすると改正。損害賠償金額最低500倍の規定を削除。また商標権者の損害金額についての挙証責任を適度に免除し、使用許諾の合理的金額を損害賠償の金額とする規定を増設。
 
⑧    他人の著名な登録商標であることを明らかに知りながら、同一又は類似する商標を使用し、その商標の識別性又は声誉を減損させる虞があるものは商標権の侵害と見なすと改正。権利濫用の問題を避けるため、他人の「登録商標」を自己の会社名称、商号名称、インターネット名称などとすることを商標権侵害と見なす規定を削除。
 
⑨    税関が職権に基いて商標権を侵害する虞がある輸入又は輸出物品を差押える法的根拠をはっきりとする。また、侵害の調査又は訴訟提起に必要であるとき、税関は権利者に侵害物品の情報を提供することができ、若しくは商標権者が補償金を提供して物品見本の貸し出しをして侵害の認定を行う規定を増設。
 
産地証明標章及び産地団体商標の関連規定を改正又は増設。標章権の直接侵害及び間接侵害に関する刑罰規定を増設。
 
 
 
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