日月光（ASE）の「aMAPPoP」文字商標は識別性を有さず

日月光半導体製造株式会社（ASE）は2009年9月2日に「aMAPPoP」の文字商標の出願をした。知的財産局は、商標法第23条第１項の規定に違反しており、該商標は「識別性を有しない」として拒絶査定した。日月光はこれを不服として訴願を提起したが、2011年3月18日に訴願は棄却された。日月光はさらに訴訟を起こしたが、裁判所は2011年9月22日にこれを棄却した。なお、全案はさらに上訴できる。

知的財産局は審査を行った結果、次のように判断した。：

係争の商標の「MAP」は「生産自動化通信規約」のプロセスに関する事を指しており、半導体業界での慣用語である。係争商標「aMAPPoP」のアルファベット文字は「a」、「MAP」、「PoP」の組み合わせから成り、そのうち「a」は、一数詞であり、「MAP」は「manufacturing　automation　protocol」の略語であり、また「PoP」は「Package-on-Package」の略語である。「MAPPoP」が社会一般に与える認識は「生産自動化通信規約に合ったパッケージオンパッケージ」又は「パッケージオンパッケージが生産自動化通信規約に合う」であり、これを商標として半導体ウェーハのエッチング加工処理などの役務に指定使用することは、関連消費者に、役務を表彰する標識であると認識させ、且つそれによって他人の役務と区別させることができない。

日月光側の主張は次の通りである。：

該会社は世界第一位の半導体パッケージテスト業者であり、係争商標「aMAPPoP」は原告が長年発展させてきた技術の一つである。係争商標の外観は外国語の横書きで「aMAPPoP」で構成されており、そのうち「PoP」はPackage-on-Packageの略語ではあるが、第一文字の「a」は一数詞ではなく、「先進的な（advanced）」と原告の英語名の略語である「ASE（Advanced　Semiconductor　Engineering，Inc.）」の意味も含む文字である。外国語の「aMAP」は、原告のレーザーカット（laserablation）及び相互連結技術（interconnection）を組み合わせた先進製造プロセスを使用することで、同時に「マトリックス（matrix）」、「配列（array）」この特殊な役務成果の外観を生み出すことを表し、このことによって、係争商標の「MAP」は原告のオリジナル使用であることは明らかで、さらに原告が近年新しく開発した独自のパッケージ技術を提供することを十分に表彰している。

次に、台湾第二位の半導体パッケージテスト会社である「矽品工業株式会社」の「PoP」製品リストにおいても、原告と同一名称の製品は採用されていない。世界第二位の半導体パッケージ会社アムコー･テクノロジー（Amkor Technology）のサイトにも「MAPPoP」又は「aMAPPoP」などの名詞の資料は載っておらず、「aMAPPoP」が半導体パッケージ業界で通常使用されている技術の略語でないことは明らかである。

日月光はさらに次のように主張している。

現在、多くの顧客は何れも「aMAPPoP」が表彰する役務は日月光の提供であると知っている。会社のホームページでは一連の役務と商標の一体化で製品技術又は役務を広め、しかも2009年及び2010年の年報のなかで、社会一般に向けて「MAPPoP」に対応する技術情報を提供し、顧客に説明する技術製品説明書のなかでも、主要技術製品と役務項目を紹介しており、そのなかに「MAPPoP」も含まれていて、「MAPPoP」が既に台湾で長期に使用されており、後天的識別性を有していることは明らかである。

以上の争議について、知的財産裁判所は次のように、知的財産局の見解を支持する考えを表した。：この種の技術は台湾国内でほかに、矽品、華泰、菱生、立衛、華特などの会社が従事している。MAPとPoPの両文字はそれぞれ特定の技術概念を表している。該文字は業界で周知の技術略称に属し、日月光会社を連想するのは難しい。言い換えると、日月光の「aMAPPoP」商標は先天的識別性を有していない。

後天的識別性の部分については、日月光は証拠として十分な資料を提出しておらず、また証拠に値する如何なる統計データもなく、たとえ日月光が確かに年報或いは会社のホームページで「MAPPoP」を広める試みをしたとしても、その普及の結果が、「MAPPoP」が日月光の商標であると消費者全てに認知させ、日月光を連想させるに足りるかどうかは、やはり不明であり、これで後天的識別性を得たと主張はできない。

従って、知的財産裁判所は、日月光の係争商標「aMAPPoP」は識別性を有していないとし、商標登録を認めないとの第一審判決を下した。