「海峽兩岸智慧財産權保護合作」協議がすでに6月末に江陳会を介して署名され、9月12日から実効した。台湾、中国は双方の専利、商標および植物品種権の優先権の主張を受理し始める期日は、2010年11月22日から開始としており、また、優先権の基礎案を主張できる期日は、2010年9月12日から(すなわち、協議の実効開始の日から)としている。
智慧局の王美花局長は、「優先権を受理し始める日を確定した後、続けて双方で共同に優先権書類の電子化システムを構築し、審査の協力を強化し、審査前の冗長且つ複雑な検索作業を削減していく。12月中に全国工業総会は台北で双方の専利論壇を開催し、その際に中国の知識産権局の局員も出席する予定である。」とした。
実際のところ、台湾と中国はどちらもWTOメンバー国であり、出願者は同じ専利(特許)/商標について、WTO会員もしくは台湾と優先権が相互承認されている外国との間では、もともと優先権を主張することができていた。しかし、中国と台湾間の政治的現実問題のため、双方は長い間優先権を相互に認めていなかった。今回、相互に優先権を承認したことは、台湾企業にとってさらに有利となった。というのも、台湾から中国への専利出願は、毎年2.1万件あまりに上り、大部分は、半導体、情報、電子などのハイテク産業であり、これに対して中国から台湾への専利出願は、わずかに約700件のみである。又、商標出願についても、台湾から中国への出願件数は約1.06万件あまり、中国から台湾へは一年にわずか1,200件のみである。
台湾の産業技術は研究開発の密集度が高く、商品生命の周期が短いため、双方が相互に優先権を認めた後は、専利出願または商標登録の時間的落差や、権利侵害や悪意のコピー登録などの問題を避けることができ、企業の研究開発成果を守ることができる。
双方の相互の優先権承認において、執行面での最大の困難は、優先権の証明文書における「表紙」に印刷する国名などの仕様ある。しかし、双方は海峽兩岸智慧財産權保護合作協議の内容を履行するため、争議を暫定的に棚上げすることに決め、最大の善意を示し、既存の「書面」の格式を相互に送付し合っている。また、出願人が中国で優先権の主張をするにあたり、台湾智慧局に優先権証明文書を申請する場合、現状のままの申請作業、工程、格式全て同一で、全く無修正でよいとする。
台湾、中国双方の協議内容で、相互に優先権を承認することが決定したので、台湾企業、個人、または中国企業、個人が、先に台湾で案件を出願してから、中国で優先権を主張するのも、先に中国で出願してから、台湾で優先権を主張するのもどちらも可能である。ただし、出願人が外国人である場合は、先に中国で出願してから、台湾でその優先権を主張した場合、台湾はWTOの精神にのっとり、それを受理する。しかし、外国人が先に台湾で出願してから、中国で優先権を主張する場合は、中国の規定によりそれを受理しない。つまり、もし出願人が外国人の場合、中国に専利/商標を出願してから、台湾でその優先権を主張する場合だけ可能である。即ち、台湾で先に出願してからでは、海峽兩岸智慧財産權保護合作協議の恩恵を受けられないので、中国に優先権を主張したい場合は、特に注意が必要である。
文書の作成に関しては、主に《兩岸人民關係條例》に記載されている関連規定により処理する。即ち、「台湾地区」、「大陸(中国)地区」との名称を使用することになっている。
よって、中国で公布した《關於台灣同胞專利申請的若干規定》には、出願人が出願書類に台湾の優先権を主張する場合、先の出願の出願日と番号が書かれているはずであり、もとの受理機関は「台湾地区…」と書かれているはずである。また、出願人が中国に出願する場合は、出願書類中の住所欄は、「台湾地区…」と記載する必要がある。(例えば、台湾地区台北市松江路…)もし、出願人が二人以上の場合、そのうち少なくとも一人が、台湾、中国のうちどちらかの住民である必要があり、さらに、主務機関の審査の便宜を図るため、その者が第一番に記載されていなければならない。