台湾および中国で他人の著名商標を会社名として使用する情況が多発し、こうした企業を一般に「影会社(シャドウカンパニー)」と呼んでいる。商標については、智慧財産局が管理し、企業の中国語名は商業司(部)が登記し、英語名は国貿局で登記することになっており、主務機関が異なると適用する法律もまた異なるので、前述のシャドウカンパニーのような情況が往々にして発生するのである。
最近、ある台湾企業が国際的に著名な商標、「INTEL」を自己の会社の英語名「INTEL-TRAN S Co.,LTD.」として登記したことに対し、インテルが訴訟をおこしたが、最高裁判所が差し戻したことで、他業者たちに緊張感を引き起こした。将来,自社のACER、ASUS、HTC等の著名な商標名称が、他人の会社の英文名として登録されるのではないかという不安が起きたのである。これに対し、経済部は、商標法を修正し、他人の著名商標を会社名に使用するのを禁止することを明確にする意向を示した。
智慧局は、会社名の英語名として「INTEL」と登記する台湾企業が、インテルとは業務内容が異なり業務が重なる問題がないとした。最高裁判所は商標法第62条第1号の規定では、会社名称は会社法により成立した会社の名称を登記するものであり、国貿局の会社英語名登記は、ただの行政命令であり、会社の規定では登記する必要がないので登記効力を持たない。よって、インテルが上訴したものの、最高裁判所が差し戻した。また、智慧財産裁判所も同じ見解を持っている。法律規定の角度から見るとこうした結論であるが、実際には商標権利人および消費者に対して、よくない影響を引き起こしているのも事実だ。
こうした争議を解決する為に、智慧局は商標法修正案を提出し、其の条文の中で、「他の営業主体または来源標識を表彰する。」を改め、「他の営業主体を表彰する名称」とし、また、立法の説明の中で明確に、国貿局の登記を含む英語会社名にも適用すると指摘した。これによって著名な大企業の著名商標は、乱用の虞がなくなるだろう。
今回インテルが台湾企業を権利侵害で告訴した件で、最高裁判所が判決を差し戻した主な原因は、商標法中の規定した会社名は「会社法」により登記する中国語名であるとして、台湾INTEL社の中国語名が異なれば、権利侵害の疑いが無いと考えた。また、INTEL両社の販売製品が大きく異なることからも、著名商標の信頼名誉を損なうには至らないとした。
この判決が出ると同時に、宏碁、華碩、および宏達のハイテク大手三社が関心を示し、智慧局に対して、この判決は他人の任意により市場(マーケット)の著名商標をその会社の英語名に使用するのを助長し、市場の混乱を招くとの見解を次々に表明した。それに対して、商標主務機関である智慧局も、もし改善されなければ、企業が苦労して築いた商的名誉が侵害を被る虞もあると同意した。
商標法の修正案が三読通過する前、智慧局は、商業司との会議で、以下の二点を決議した。一つは、商業司は企業に著名商標を会社の英文名として使用しないよう注意を促す、もう一つは、もし類似する会社名の登記があれば、その登記を取り消すことができるよう商業司に会社法を修正する計画をさせることである。