智慧局が2010年3月9日に表明したところによると、先日公平取引委員会が公平取引法第20条第1項から「コピー行為の制止」に関する規定を削除することを検討しているが、これにより権利人が補充救済の機会を失う恐れがある。公平会および学者、専門家を招集して討論したところ、多数の学者、専門家は、依然として該規定を保留すべきであるとしたことから、公平取引委員会は、将来、法改正のとき、参考にするよう希望した。
智慧局が更に説明するところによると、商標法第2条の規定は「登録保護の原則」を採用しているが、未登録の著名商標について、公平取引委員会は、外国法を参考にし、早々に公平取引法第20条第1項の各号を規定して保護し、模倣や公平競争を妨げる行為について解決を図っている。
しかしながら、公平取引法第20条第1項各号の保護範囲は、「すでに登録」および「未登録」の著名な商標を含んでおり、もし違反すれば、同法第35条第1項規定により中央主務機関を経て、期限内にその不正行為が停止され、改正あるいは必要な更正処置をとるよう命じ、もし期限内にその不正行為をやめない、その行為を改正、もしくは必要な更正措置をとらない、または停止後再度、同様あるいは類似の違反行為をする者は、3年以下の有期刑、拘置、または、単独か併合で一億元台湾ドル以下の罰金を処するとしている。
一方、商標法では、商標権侵害の処罰については、商標法第63条第1項に単に民法第216条の規定による、または、商標権侵害行為で得た利益、もしくは商標権を侵害した商品の小売単価の500倍から1500倍の金額の何れか三者択一で損害賠償額を計算すると規定している。公平取引法第20条第1項および商標法第63条第1項規定を観察すると、行為者が負う責任が明らかに軽重不均衡で、実務上、公平取引法の適用では保守的になる傾向がある。また、商標法第63条第1項の各号は損害賠償金額の計算が比較的明確ではあるが、市場での不平等競争行為をカバーできておらず、権利人は、常にこの二法適用で不明確さが現れることに疑問を提示している。
学者専門家の理論的角度からの指摘によると、公平取引法の規範は、「事業競争」の面における考慮があり、商標法保護の目的とは異なるので、競合的角度からみれば、できるだけ二法規範の重複は避けるべきであるが、公平取引法第20条第1項各号が保護する「表徴」は、商標法が未登録商標の保護の不足をを補うことができているので、これを保留する必要がある。要件上での調節だけが必要であり、行政裁判や刑事責任を削除することで、行為者に責任不均衡上の調整を行なわせることができるとする。
又、商標法修正案は、2010年3月初めに行政院の審査に送られ、智慧局は、修正草案の内容は、「未登録の著名商標」の保護規定を含まないことを強調した。公平取引法および商標法が、昔からの一般および特別の規定の関係を継続し、商標法が明確な規範を持つので、商標法を優先して適用し、商標法が規定していない場合は、公平取引法により補充適用することで、行為者に一定の責任を課し、市場競争の秩序を回復させ、商標法により救済を求められなかった権利人が、救済の機会を得られることが目的であるとした。