台湾 立法院の三読会で2022年4月15日に「専利法第60条の1」改正草案、
「商標法」及び「著作権法」の一部条文改正草案が可決
【出典:知的財産局ウェブサイト】
台湾の「環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定(以下「CPTPP」という)」への加入促進に向け、立法院(日本の国会に相当)は、2022年4月15日に三読会で「専利法第60条の1」改正草案、「商標法」及び「著作権法」の一部条文改正草案を可決した。今回の法改正で、台湾の知的財産権三法の規定が「CPTPP」の規定を満たすものとなり、今後の「CPTPP」への加入交渉にも役立つ。各法の改正ポイントは以下のとおりである。
一、「専利法第60条の1」
ü 医薬品のパテントリンケージ制度は、ジェネリック医薬品の販売許可証を申請する前に、ジェネリック医薬品と新薬の間の特許権侵害紛争の有無について設けなければならないとCPTPPが規定する紛争解決メカニズムである。薬事法における「医薬品のパテントリンケージ」制度が2019年8月20日から施行されたことから、それに合わせるため、専利法で、新薬の特許権者がジェネリック医薬品メーカーに対して訴訟を提起することができる根拠を明確に定める必要がある。
ü また、ジェネリック医薬品メーカーの権益も同時に配慮し、ジェネリック医薬品が販売後に権利侵害で訴えられるリスクを回避できるように、新薬の特許権者が規定の期間内に権利侵害訴訟を提起しなかった場合、ジェネリック医薬品メーカーが、権利侵害の有無を確認するための確認訴訟を提起することができるようにした。
二、「商標法」
ü 商標又は団体商標のラベルを冒用するなどの行為の刑罰規定を増設し、商標を冒用したラベル及び包装の輸入等の権利侵害の準備及び補助行為に対して刑罰を科すことにした。これにより、商標権者の商品の販売と収益性が向上し、商標の保護が強化される。
ü 現行の商標法では商標ラベルの冒用等に対する民事、刑事責任について、行為者がそれを「明らかに知っていた」ことを主観的構成要件としていたが、今回の改正で「明らかに知っていた」の要件を削除し、民事上の権利侵害責任については「故意」又は「過失」を要件とし、刑事上の責任については「故意」を要件とすることとした。
三、「著作権法」
ü 権利侵害の情状が重大である違法なデジタル化による海賊版、頒布及び公開送信の行為は、非親告罪(即ち公訴罪)とすることとした。同時に、権利侵害の情状が重大であると認定する場合、「他人が有償で提供した著作物を侵害した」、「原著作物をそのまま複製した」、「権利者が100万台湾ドル以上の損害を受けた」の三つの要件を満たさなければならないと規定した。
ü 光ディスクは衰退し既に権利侵害の主因ではなくなったため、現行法に規定されている海賊版光ディスクの複製・頒布の公訴罪の加重規定を削除して、関連する没収の規定もそれに合わせて削除し、一般の処罰規定を適用することとした。 |