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台湾 画像を含む意匠の実体審査基準改訂の方向性


【出典:知的財産局ウェブサイト】
 

一、台湾の現在の画像を含む意匠の実体審査基準(以下、審査基準という)の関連規定は以下のとおりである。

l   専利法第121

1、意匠とは、物品の全部又は一部の形状、模様、色彩又はこれらの結合に対し、視覚に訴える創作をいう。

2物品に応用されるコンピュータアイコン及びグラフィカルユーザインタフェースも、この法律により意匠登録を受けることができる。

この第1項に規定されている「形状、模様、色彩又はこれらの結合」は「外観」と略称される。第2項でいう「物品」は、最終製品である必要はなく、「表示装置(Display)」等の類似物品として記載することができるため、より広い保護範囲を取得することができる。

n  現行の審査基準に規定している「画像を含む意匠」の概念では、「表示装置(Display)」等のより上位概念の物品を用いて、画像を含む意匠が応用される物品を表示することができる。

ü  審査基準第三編第九章「1.画像を含む意匠の定義」(3-9-1頁)には、「コンピュータアイコン及びグラフィカルユーザインタフェースは、一般的に様々な電子情報機器に汎用され、当該製品の表示装置を介して表示されるため、スクリーン(Screen)、モニター(monitor)、表示パネル(Display panel)又はその他の表示装置等の関連物品を通じて表示さえすれば、意匠は物品に応用されなければならないとの規定を満たすことができ、画像を含む意匠が応用される様々な電子情報機器について、別途に意匠登録出願をする必要はない。」と規定されている。

ü  審査基準第三編第九章「2.1.1意匠の名称」(3-9-4頁)には、「『スクリーンのアイコン』、『モニターのグラフィカルユーザインタフェース』、『表示スクリーンの操作メニュー』又は『表示パネルのウィンドウ画面』等と記載することで、より広い保護範囲を取得することができる」と規定されている。

ü  審査基準第三編第九章「3.2.1物品の同一又は類似の判断」(3-9-11頁)には、「『スクリーンのアイコン』、『モニターのグラフィカルユーザインタフェース』、『表示スクリーンの操作メニュー』又は『表示パネルのウィンドウ画面』等の表示装置に係る画像を含む意匠をもって出願する場合、当該画像を含む意匠が応用される物品は、『様々な電子情報機器に汎用される〔表示装置〕であると認定すべきである。』と規定されている。

n  画像を含む意匠の明細書の記載方法及び図面の開示方は、基本的に「部分意匠」の概念を援用する。

ü  審査基準第三編第九章「2.1.3意匠の説明」(3-9-5頁)には、「意匠の説明には、図面における『意匠を主張しない部分』の表示方法を明記しなければならない。」と規定されている。

ü  審査基準第三編第九章の「2.2.2図面の開示方式」(3-9-8頁)には、「破線等の切れ目のある線で応用される物品を表示する、又は半透明の色付けで写真の中の応用される物品を表示する」と規定されている。

n  意匠の特徴は、その環境における位置、大きさ及び分布関係によって制限されない。

ü  審査基準第三編第九章「2.2.2図面の開示方式」(3-9-8頁)には、「実際にコンピュータアイコン及びグラフィカルユーザインタフェースを使用する時、使用者は一般的にスクリーン、モニター又は表示パネル上で、自由にドラッグして移動させたり、大きさを拡大・縮小したりすることができるため、画像を含む意匠の登録出願で保護を請求する意匠の特徴に、それと「意匠を主張しない部分」との間の位置、大きさ又は分布関係が含まれていない場合、当該図面では、破線又はその他の切れ目のある線をもって当該画像の境界線を描いて、応用される『物品〔の部分〕』を表示しなければならず、完全なスクリーン、モニター又は表示パネルを描く必要はない意匠の説明には、当該破線(又はその他の切れ目のある線)は応用される『物品〔の部分〕』を表示したものであり、その主張の内容には当該画像と環境における位置、大きさ及び分布関係が含まれないことを明記する必要がある。」と規定されている。

ü  審査基準第三編第九章「2.3意匠登録出願に係る意匠の解釈」(3-9-10頁)には、「画像を含む意匠の境界線のみを描き、意匠の説明に、当該境界線は応用される『物品〔の部分〕』を表示するためのものであり、その主張の内容には、当該画像と「意匠を主張しない部分」との間の位置、大きさ及び分布関係を含まないと明記した場合、当該境界線は画像を含む意匠の範囲を限定するのに用いられるのみで、意匠登録出願に係る意匠の外観には、その画像ユニットと「意匠を主張しない部分」との間の位置、大きさ及び分布関係は含まれない。」と規定されている。

 問題点1   プロジェクターで投影されるコンピュータアイコン又はVRなどの新しい科学技術のコンピュータアイコンは、現行の審査基準に規定されている画像を含む意匠に含まれるかどうか。 

 問題点  実質的な権利侵害の対象者は誰か。表示装置のハードウエア製造業者なのか、或はソフトウエアベンダーなのか。

二、改訂の方向性:審査基準の改訂は行うが、専利法の改正は行わない。

現行の審査基準第二編第十二章「2.コンピュータソフトウエア関連発明」(第2-12-12-12-8頁)には「コンピュータソフトウエア関連発明の請求項は、方法の請求項と物の請求項に分けることができる。そのうち、物の請求項は、装置、システム、コンピュータ読み取り可能な記録媒体、コンピュータプログラム製品又はその他類似の対象名称を出願対象とする請求項を含む。コンピュータソフトウエア関連発明は、コンピュータプログラム製品を対象とした物の請求項を含むことができ、コンピュータプログラム製品とは、コンピュータ読み取り可能なプログラムが記録され且つ外在的な形式に限定されない物である。」と規定されている。

そうすると、意匠における「物品」を「実体物」の概念から切り離して、コンピュータプログラム製品(コンピュータソフトウエア)を「物品」と見なせば、専利法を改正しなくても、画像を含む意匠に新しい科学技術のコンピュータアイコンを含めることができる。 

専利法第121条第2項に規定される「物品に応用されるコンピュータアイコン及びグラフィカルユーザインタフェースも、この法律により意匠登録を受けることができる」との内容を考えると、当該条文でいう「物品」も、「コンピュータプログラム製品」等の物理的形状を持たないソフトウエア又はアプリケーションプログラムとすることができ、「コンピュータアイコン及びグラフィカルユーザインタフェース」は、主にコンピュータプログラム製品を通じて生成されるものであることから、広い意味で産業上利用可能な実用の「物品」である。そうすれば、「コンピュータプログラム製品」は、コンピュータスクリーン、プロジェクター又はヘッドマウントディスプレイ(HMD)等の媒体に限定されることはなくなり、また、破線等で「意匠を主張しない部分」を示す開示方式により当該画像を含む意匠が応用される物品を表現する必要もなくなる。

 

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