【出典:知的財産権局ウェブサイト】
2019年7月31日に行政院は、5月1日に改正公布された専利法の一部条文を2019年11月1日より施行することを決定した。
今回の専利法改正では、第157条の2から157条の4までの条文が新設されたほか、第29条、第34条、第46条、第57条、第71条、第73条、第74条、第77条、第107条、第118条から第120条まで、第135及び第143条が改正された。
改正の主なポイントは下記の通りである。
(一) 登録査定後の分割の適用範囲と期限が緩和された。
(二) 無効審判の審理効率を高めるために、無効審判請求人が無効理由や証拠を補充提出できる期限が改正されたと共に、権利者が無効審判の審査中に訂正を請求できる期間が規定された。
(三) 実用新案の訂正可能な期間及びその訂正案の審理方式が改正された。
(四) 意匠権の存続期間が12年から15年に延長された。
(五) 専利包袋の保管スペース問題を解決するために、専利包袋の保存期間が改正された。
改正、新設された条文は下記の通りである。
第29条
1 前条の規定により優先権を主張するときは、出願と同時に次の事項を声明しなければならない。
一 最初の出願の出願日
二 その出願が受理された国名又は世界貿易機関加盟国
三 最初の出願の出願番号
2 出願人は、最先の日から16ヶ月以内に、前項の外国又は世界貿易機関の加盟国により受理された旨を証明する出願の書類を提出しなければならない。
3 第1項第1号、第2項又は前項の規定に違反するときは、優先権を主張しなかったものとみなす。
4 出願人が、故意によらず専利出願をすると同時に優先権を主張せず、又は第1項第1号、第2項の規定に違反したことにより主張しなかったものとみなされるときには、最先の日から16ヶ月以内に、優先権主張の回復を申請し、かつ申請費用を納付して第1項及び第2項に規定する手続を補正することができる。
第34条
1 専利出願に係る発明が実質上2以上の発明であるときは、専利主務官庁の通知又は出願人の請求により、出願を分割することができる。
2 出願の分割は、次の各号に掲げる期間内に行わなければならない。
一 もとの出願の再審査の査定前。
二 もとの出願の専利をすべき旨の査定又は再審査での専利をすべき旨の査定の送達後3ヶ月以内。
3 出願の分割に係る新たな出願は、もとの出願の出願日を出願日とする。優先権があるときは、優先権を主張することができる。
4 出願の分割に係る新たな出願は、もとの出願の時の明細書、専利請求の範囲又は図面に開示された範囲を超えることができない。
5 第2項第1号の規定により分割した後の出願は、もとの出願で既にした手続から審査を続行しなければならない。
6 第2項第2号の規定により分割する出願は、もとの出願の明細書又は図面に開示された発明からのもので、かつ、査定された専利請求の範囲と同一の発明に属さないものに限る。分割した後の出願は、もとの出願の専利をすべき旨の査定がされる前の審査手続を続行する。
7 もとの出願の査定された明細書、専利請求の範囲又は図面は変更することができず、専利をすべき旨の査定がされたときの専利請求の範囲及び図面で公告される。
第46条
1 特許出願が第21条から第24条まで、第26条、第31条、第32条第1項、第3項、第33条、第34条第4項、第6項前段、第43条第2項、第44条第2項、第3項又は第108条第3項の規定に違反するときは、拒絶をすべき旨の査定をしなければならない。
2 専利主務官庁は、前項の査定をする前に、期間を指定して意見書の提出をすべき旨を出願人に通知しなければならない。期間が経過しても当該意見書の提出がされないときは、拒絶をすべき旨の査定をする。
第57条
1 何人も、特許権の存続期間の延長登録が、次の各号のいずれかに該当すると認める場合、証拠を添付して、専利主務官庁に無効審判を請求することができる。
一 特許の実施について許可証を取得する必要がないとき。
二 専利権者又は実施権者が許可証を取得していないとき。
三 延長の期間が実施をすることができなかった期間を超えているとき。
四 専利権の存続期間の延長登録の出願をした者が専利権者でないとき。
五 延長登録の出願をした際に提出された許可証が第一次許可証ではない、又は当該許可証がすでに延長登録に用いられたことのあるとき。
六 専利権の存続期間の延長登録がされた医薬品が動物用薬品であるとき。
2 専利権の存続期間の延長登録が無効審判によって取り消すべき旨の審決が確定した場合、その延長登録による存続期間の延長は、初めからされなかったものとみなす。但し、前項第3号の規定に該当することにより無効審判で延長登録を取り消すべき旨の審決が確定したときは、当該超える期間について、その延長がされなかったものとみなす。
第71条
1 特許権が次の各号のいずれかに該当するときは、何人も、専利主務官庁に無効審判を請求することができる。
一 第21条から第24条まで、第26条、第31条、第32条第1項、第3項、第34条第4項、第6項前段、第43条第2項、第44条第2項、第3項、第67条第2項から第4項まで、又は第108条第3項の規定に違反するとき。
二 専利権者の属する国が中華民国国民の専利出願を受理しないとき。
三 第12条第1項の規定に違反するとき、又は特許権者が特許を受ける権利を有する者ではないとき。
2 利害関係人に限り、前項の第3号を理由に、無効審判を請求することができる。
3 特許権について無効審判を請求することができる理由は、特許をすべき旨の査定時の規定に従う。但し、第34条第4項、第6項前段、第43条第2項、第67条第2項、第4項又は第108条第3項の規定に違反したことにより無効審判を請求するときには、無効審判請求時の規定に従う。
第73条
1 無効審判は請求の趣旨及びその理由を記載した請求書を備え、かつ証拠を添付しなければならない。
2 専利権に2以上の請求項があるときには、一部の請求項に対して無効審判を請求することができる。
3 無効審判請求の趣旨は、請求後変更又は追加をすることができない。但し減縮することができる。
4 無効審判を請求する理由又は証拠を補充する場合、無効審判請求人は無効審判請求の日から3ヶ月以内に行わなければならない。前掲期間の満了後に提出されたものは参酌しない。
第74条
1 専利主務官庁は、前条に定める請求書を受理したときは、その副本を専利権者に送達しなければならない。
2 専利権者は副本送達の日から1ヶ月以内に答弁しなければならない。予め理由を説明して期間の延長が許可された場合を除き、期限が経過しても答弁しない場合は直ちに審理する。
3 無効審判の審理中は、専利権者は答弁すべき、答弁を補充すべき、もしくは意見書を提出すべき旨 の通知を受けたときに限り訂正を請求することができる。但し、特許権が訴訟に係属している場合は、この限りでない。
4 専利主務官庁が必要があると認め、無効審判請求人に対し理由を提出・補充すべき旨、又は専利権者に答弁を補充すべき、もしくは意見書を提出すべき旨を通知した場合、無効審判請求人又は専利権者は送達の日から1ヶ月以内にしなければならない。期間の延長が許可された場合を除き、期限が経過してから提出されたものは参酌しない。
5 前項の規定により補充した理由又は答弁が審理を遅延させるおそれがあり、又はその事実・証拠が既に明確であると認めるとき、専利主務官庁は直ちに審理することができる。
第77条
1 無効審判の審理期間において訂正の請求があるとき、併合して審理及び審決を行わなければならない。
2 専利主務官庁が前項の訂正の請求を審理した結果、訂正を許可すべきと認めるとき、訂正後における明細書、専利請求の範囲又は図面の副本を無効審判請求人に送達しなければならない。但し、訂正が請求項の削除のみの場合は、この限りでない。
3 同一の無効審判案の審理期間において、2以上の訂正請求があるときには、先の請求は取り下げられたものとみなす。
第107条
1 実用新案出願に係る考案が実質上2以上の考案であるときは、専利主務官庁の通知又は出願人の請求により、出願を分割することができる。
2 出願の分割は、次の各号に掲げる期間内に行わなければならない。
一 もとの出願の処分前。
二 もとの出願の実用新案登録をすべき旨の処分の送達後3ヶ月以内。
第118条
実用新案権者は第120条において準用する第74条第3項の規定に従うほか、次の各号に掲げる期間内に限り訂正の請求を行うことができる。
一 実用新案権に関する実用新案技術報告の請求が受理されているとき。
二 実用新案権が訴訟に係属しているとき。
第119条
1 実用新案権が次の各号のいずれかに該当するときは、何人も、専利主務官庁に無効審判を請求することができる。
一 第104条、第105条、第108条第3項、第110条第2項、第120条において準用する第22条、第120条において準用する第23条、第120条において準用する第26条、第120条において準用する第31条、第120条において準用する第34条第4項、第6項前段、第120条において準用する第43条第2項、第120条において準用する第44条第3項、第120条において準用する第67条第2項から第4項までの規定に違反するとき。
二 専利権者の属する国が中華民国国民の出願を受理しないとき。
三 第12条第1項の規定に違反するとき、又は実用新案権者が実用新案登録を受ける権利がないとき。
2 利害関係人に限り、前項の第3号を理由として無効審判を請求することができる。
3 実用新案権について無効審判を請求することができる理由は、その実用新案登録をすべき旨の処分時の規定に従う。但し、第108条第3項、第120条において準用する第34条第4項、第6項前段、第120条において準用する第43条第2項又は第120条において準用する第67条第2項、第4項の規定に違反したことを理由に、無効審判を請求するときには、無効審判請求時の規定に従う。
4 無効審判の審決書には審査官の氏名を記載しなければならない。
第120条
第22条、第23条、第26条、第28条から第31条まで、第33条、第34条第3項から第7項まで、第35条、第43条第2項、第3項、第44条第3項、第46条第2項、第47条第2項、第51条、第52条第1項、第2項、第4項、第58条第1項、第2項、第4項、第5項、第59条、第62条から第65条まで、第67条、第68条、第69条、第70条、第72条から第82条まで、第84条から第98条まで、第100条から第103条までの規定は、実用新案に準用する。
第135条
意匠権の存続期間は、出願日から起算して15年をもって終了する。関連意匠権の存続期間は、本意匠権の存続期間と同時に終了する。
第143条
1 専利主務官庁は保存価値があると認める専利ファイルにある出願書類、明細書、専利請求の範囲、要約書、図面及び図面説明を永久に保存しなければならない。
2 前項以外の専利ファイルは次の各号に定める期間内において、保存しなければならない。
一 特許に係るものは、特許をすべき旨の査定を受けたものを30年保存するものとし、その他のものを20年とする。
二 実用新案に係るものは、実用新案登録をすべき旨の処分を受けたものを15年保存するものとし、その他のものを10年とする。
三 意匠に係るものは、意匠登録をすべき旨の査定を受けたものを20年保存するものとし、その他のものを15年とする。
3 前項の専利ファイルの保存期間は査定、処分、取り下げ又は取り下げとみなす日の属する年の翌年の初日から起算する。
4 この法律の2019年4月16日に改正した条文の施行前の専利ファイルの保存期間は、改正後の規定を適用する。
第157条の2
1 この法律の2019年4月16日に改正された条文の施行前にまだ査定されていない専利出願は、この法律で別段の定めがある場合を除き、改正施行後の規定を適用する。
2 この法律の2019年4月16日に改正された条文の施行前に査定されていない訂正の請求及び無効審判は、改正施行後の規定を適用する。
第157条の3
この法律の2019年4月16日に改正された条文の施行前に査定又は処分された特許出願は、第34条第2項第2号又は第107条第2項第2号に規定する期間を超えていない場合、改正施行後の規定を適用する。
第157条の4
1 この法律の2019年4月16日に改正された条文の施行日にまだ存続している意匠権の存続期間については、改正施行後の規定を適用する。
2 この法律の2019年4月16日に改正された条文の施行前に第142条第1項において準用する第70条第1項第3号の規定により当然消滅したものとされた意匠権が、改正施行後に同条第2項を準用して専利権の回復を請求する場合、その存続期間は改正施行後の規定を適用する。