改正『専利無効審判事件
口頭審理作業方案』が公布日
(2019年4月2日)より実施
【出典:知的財産権ウェブサイト】
専利無効審判事件の口頭審理作業をより実務のニーズに近づけるために、知的財産権局は、外部の意見を求めて内部で検討した後、「専利無効審判事件口頭審理作業方案」の一部内容を改正した。当該方案の改正は2019年3月19日に予告手続きを経て、公布日より正式に実施された。今回の改正のポイントは下記の通りである。
(一)当事者の口頭審理の申請提出に関する規定を緩和し、当事者の何れか一方が申請すればよいとする規定に改正して、申請には両当事者の同意が必要との制限をなくした。
(二)当事者は、審判官に忌避事由が有ると考える場合、口頭審理通知を受け取ってから10日以内に理由を添えて申請を提出しなければならないとの規定を追加した。
(三)当事者が口頭審理の期日変更、非公開、忌避又は中止等の申請をした場合の本局の後続の処理方法を追加した。
(四)当事者が口頭審理通知を受け取った後に提出できる書類は、口頭審理陳述書又は既存資料の補充に限るとの規定を追加した。
(五)当事者が口頭審理当日に遅刻した場合、理由を説明して、進行役の裁量を経なければ口頭審理に出席することができないとの規定を追加した。
改正後の『専利無効審判事件口頭審理作業方案』の全文は以下の通りである。
専利無効審判事件口頭審理作業方案
1.依拠及び目的
1.1経済部知的財産局(以下、本局という)は、無効審判事件口頭審理を実施するために、行政手続法第107条第2項の規定及び第54条から第66条までの口頭審理手続きなどの関連規定に基づいて、『専利無効審判事件口頭審理作業方案』(以下、本方案という)を制定する。
1.2口頭審理の目的は、係争無効審判事件の当事者に紛争原因、証拠及び法律見解等について意見陳述並びに相互に質疑応答を行う機会を提供し、担当審判官が口頭審理で調査した全ての事実と証拠並びに相互の質疑応答の結果を斟酌して、論理及び経験則に基づいて事件の真相を判断し、心証を形成し、これによって審決を下すのに役立てることにある。
2.名詞の定義
2.1当事者:係争無効審判事件の請求人と被請求人。
2.2利害関係者:無効審判事件の当事者以外の下記の者。
(1)係争専利が関わる訴訟の当事者。
(2)係争専利の被許諾者、質権人。
(3)その他係争専利権の存否によって権利又は利益が影響を受ける者。
2.3代理人:前記当事者又は利害関係者の委任を受けた専利師、専利代理人又は弁護士。
2.4進行役:係争無効審判事件の担当審判官の中から1名が任命される。
3.口頭審理の実施
3.1係争無効審判事件の当事者は、相手方の当事者と相互に質疑応答し又は証人若しくは鑑定人に質問する必要があると考える場合、具体的な理由を明記した申請書を提出して口頭審理を申請しなければならず、本局が口頭審理の必要があると認めたとき、実施する。
3.2本局が口頭審理の必要があると認めたとき、職権により実施することができる。
4.口頭審理公告前に提出された関連書類又は証拠に関して、本局は当事者が提出した関連書類又は証拠を相手方の当事者に転送しなければならない。口頭審理の公告後に、当事者が引き続き提出した関連書類については、その当事者が自ら相手方の当事者及び本局に送らなければならない。
5.予備口頭審理
5.1口頭審理を順調に進めるために、本局は事件の複雑さに応じて、下記の事項について予備口頭審理を実施することを当事者に通知することができる。
(1)口頭審理の進行の手順を協議して決める。
(2)書類及び証拠の適格性を明確にする。
(3)争点を明確にする。
(4)その他口頭審理と関連する事項。
5.2予備口頭審理を実施するときは、記録を作成しなければならない。
6.口頭審理実施の通知と公告
6.1口頭審理の実施日の30日前に、書面にて下記の事項を当事者に通知するとともに本局の事務所又はウェブサイトに公告しなければならない。
(1)口頭審理の理由及び根拠。
(2)当事者の氏名又は名称。
(3)口頭審理の期日及び場所。
(4)口頭審理の主な手順。
(5)当事者は代理人を選任することができる。
(6)当事者は口頭審理時に、意見陳述することのみできる。新しい攻撃・防御方法を提出してはならず、また進行役の同意を得た上で、証人、鑑定人、その他の当事者又はその代理人に質問することができる。
(7)当事者が合法的な通知を受けたが口頭審理に出席しなかった場合は、当事者の一方のみの口頭審理を実施することができる。
(8)口頭審理を公開するかどうか又は非公開の場合の理由。
6.2当事者が証人又は鑑定人への質問を申請し、本局が必要と認めた場合、口頭審理を実施する前に、証人又は鑑定人に通知しなければならない。
6.3当事者は、審理期日の変更を申請する場合、既に決められた口頭審理日の10日前までに、具体的な理由を記載した申請書を提出して申請しなければならず、正当な事由がある場合、本局は口頭審理実施の期日の変更に同意し且つ変更を通知することができる。正当な事由がない場合、本局は期日通りに口頭審理を実施することを通知する。
6.4当事者は、口頭審理の公開が明らかに公益に反する虞がある又は当事者の利益に重大な損害を与える虞があると考える場合、口頭審理通知を受け取ってから10日以内に、具体的な理由を記載した申請書を提出して口頭審理の非公開を申請しなければならない。正当な理由がある場合、本局は口頭審理の非公開に同意し且つ口頭審理の非公開を通知する。正当な理由がない場合、本局は口頭審理の公開実施を通知する。
6.5利害関係者が口頭審理に出席する場合、口頭審理公告後20日以内に、関連証明書類を提出して口頭審理への出席を申請しなければならない。
6.6本局は職権により口頭審理の期日を変更したり口頭審理の実施を取消したりすることができ、口頭審理の期日を変更する場合は、改めて通知及び公告しなければならない。
6.7当事者は、審判官に法定忌避事由があると考える場合、口頭審理通知を受け取ってから10日以内に、具体的な理由を記載した申立書を提出して裁判官の忌避を申立てなければならない。
7.口頭審理実施の申請に対する口頭審理を実施しない回答について、本局がその申請理由は明らかに事件と関係ない又は事件内容は既に明確であり口頭審理を実施する必要がないと判断した場合、申請者に口頭審理を実施しない理由を通知し又は審決書にその旨を明記しなければならない。
8.口頭審理の進行役の職権
口頭審理の進行役は中立公正の立場で、口頭審理を進行させなければならない。進行役は口頭審理において、下記の職権を行使することができる。
(1)事実又は法律問題について、当事者、その他の出頭者に質問する。
(2)職権又は当事者の申請により、関連機関に必要な調査を委託する。
(3)証人又は鑑定人に出頭するよう通知する。
(4)職権又は申請により、利害関係者の口頭審理への参加を通知し又は許可する。
(5)当事者及びその他の出頭者の発問又は発言を許可する。
(6)口頭審理の進行が滞ることを避けるために、当事者又はその他の出頭者の発言を禁止することができる。口頭審理の進行の妨げとなり、その情状が深刻な場合、退場を命じることができる。
(7)当事者が口頭審理に遅刻した場合、口頭審理への出席を許可しない。但し、進行役が事件の内容を明らかにさせるために必要であると認める場合、口頭審理に出席することを許可することができる。
(8)当事者が理由なく欠席した場合、口頭審理を直ちに開始、延期又は終了する。
(9)当事者が予備口頭審理において関連書類を提出した場合、その記載内容を陳述と見なすことができる。
(10)必要があると認める場合、その日の口頭審理が終了する前に、次回の口頭審理の期日及び場所を決定することができる。
(11)天災又はその他の事故により口頭審理が実施できない場合、職権又は当事者の申請により口頭審理の中止又は期日変更を通知することができる。
(12)口頭審理を順調に進めるために必要なその他の措置を講じる。
9.口頭審理の進行
9.1口頭審理は公告で指定された期日に、本局又は指定された場所で実施しなければならない。
9.2口頭審理は審判官、当事者又はその代理人及び必要な証人、鑑定人のほか、事前に申請し且つ出席を許可された利害関係者又は傍聴を許可された一般民衆のみ参加することができる。
前項の当事者が法人の場合、その従業員に口頭審理への出席を委任することができる。代理人は、当該無効審判事件の専門知識を有する者に口頭審理への出席を委任することができる。
9.3口頭審理は原則的に公開とする。但し、当事者が口頭審理の実施前に既に非公開を申請し又は口頭審理において関連書類及び証拠内容を公開するとその利益に重大な損害を与える虞があることを声明した場合、進行役は全部非公開又は一部非公開を決定することができる。
9.4口頭審理の開始前には、先ず口頭審理に出席する者の身分証明書を照合し、出席資格の有無を確認しなければならない。口頭審理に出席する者は、確認のため自発的に身分証明書を提示しなければならない。提示できず又は適時に補正できない場合、進行役はその者の出席を認めないとすることができ、その場合、その状況を口頭審理記録に記載する。
9.5口頭審理は3名以上の審判官からなる合議体方式で行い、口頭審理が実施されるとき、審判官は出席しなければならない。
9.6口頭審理は、進行役が口頭審理の開始を宣言した後に、まず出席者の資格及び法定忌避事由の有無を確認しなければならない。いずれについても異議がなければ、口頭審理の要旨説明、予定された発言、相互の質疑応答の順番及びその他の注意事項を発表する。
9.7当事者は、進行役が口頭審理の進行中になした処置が違法又は不適切であると考える場合、口頭審理の進行中に直ちに進行役に異議を申立てることができる。進行役がその異議の理由が成立すると判断した場合、原処置を取り消さなければならない。異議の理由が成立しないと判断した場合、異議を却下しなければならない。
9.8進行役は、簡潔に事件内容を説明し、当事者が提出した証拠を照合し、争点の確認を行う。
9.9当事者が第4点に基づいて提出する関連書類は、既存書類の補充又は口頭審理陳述書に限るものとし、口頭審理日の10日前までに、書面で提出するとともに相手方の当事者にも送付しなければならない。
9.10当事者は、相互に質疑応答をするとき、質問をする前に、まず進行役の同意を得なければならない。
9.11口頭審理の進行中に、無効審判請求人が無効審判を取り下げる意思を表示した場合、進行役は口頭審理を中止することができ、その場合、本方案第10点の口頭審理の中止に関する規定に従って処理する。
9.12進行役は、当事者が相互の質疑応答を充分に行ったと判断した場合、当事者が最後の意見陳述をした後、口頭審理の終了を宣言しなければならない。相互の質疑応答を充分に行うことができなかった場合、その日の口頭審理が終了する前に、次回の口頭審理の期日及び場所を決定しなければならない。
9.13口頭審理の進行中に、当事者は主張するうちの一部争点、事由を放棄することができる。前記放棄した争点又は事由は、口頭審理記録に記載しなければならず、審理はしないものとする。
9.14当事者は、事件の争点又は手続き上の問題について、進行役に説明を求めることができ、進行役は簡潔に説明することができる。但し、当事者は進行役に事件の実質的な問題について心証開示を要求することはできない。
9.15進行役は、行政手続法第109条の規定により口頭審理で下された行政処分に対し不服がある場合、その行政救済手続では、訴願手続きが免除され、直接行政訴訟を提起できる旨を当事者に告知しなければならない。
10.口頭審理の中止
10.1口頭審理を中止する事由
無効審判請求人が無効審判を取り下げる意思を表示した場合、又は係争無効審判事件の認定結果に重大な影響を与える事実を提出した場合、進行役は申請又は職権により口頭審理を中止することができる。
10.2進行役が口頭審理の中止を決定した場合、口頭審理記録に中止の理由を明記しなければならない。
10.3口頭審理が中止したことによってなされた無効審判の審決には、行政手続法第109条の規定を適用しない。
11.口頭審理秩序の維持
(1)口頭審理の進行中、出席者及び傍聴人は進行役の指示に従わなければならない。
(2)口頭審理の進行中、喫煙や飲食は禁止するものとし、電子設備は電源を切るか、マナーモードにしなければならない。
(3)発言者の意見陳述に対して、拍手したり騒ぎ立てたりしてはならない。
(4)他人が発言するときに、妨害したり質問したりしてはならない。
(5)発言するときは、事件の関連事項について意見を陳述しなければならず、人身攻撃してはならない。
(6)口頭審理の進行中、出席者及び傍聴人は録音、録画又は撮影をしてはならない。但し、進行役の同意を得た場合は、この限りでない。
(7)口頭審理の進行中、秩序を妨げる行為又は不適切な行為があってはならない。
12.口頭審理の記録
12.1口頭審理及び予備口頭審理は書記官が口頭審理記録の添付書類を作成しなければならない。前記の記録には、下記の事項を明記しなければならない。
(1)事件の概要。
(2)出頭した当事者及び利害関係者、証人、鑑定人の氏名。
(3)口頭審理の期日及び場所。
(4)当事者及び利害関係者、証人、鑑定人がした陳述又は発問の要旨及び提出された書類、証拠。
(5)当事者の口頭審理における異議申立の事由及び進行役の当該異議に対する処理。
(6)質問事項及び質問を受けた者の回答の要旨。
12.2口頭審理の記録について、本局は記録の補助として録音又は録画することができる。
12.3口頭審理の記録はその場で完成させて、審判官、当事者、利害関係者、証人及び鑑定人がそれに署名又は押印しなければならない。記載に対して異議がある場合は、直ちに申立なければならない。進行役は異議の理由が成立すると認めた場合、訂正又は補充をしなければならない。異議の理由が成立しない場合、その異議を明記しなければならない。
12.4当事者、利害関係者、証人及び鑑定人が署名又は押印を拒絶した場合、その事由を明記しなければならない。
13.一般民衆の傍聴
13.1傍聴を申請する場合、口頭審理実施日前10日以内に、本局に口頭審理の傍聴申請を提出しなければならない。
13.2傍聴の申請は申請順に許可し、傍聴数は設置された傍聴席の席数に限るものとする。
14.口頭審理に使用される言語
口頭審理時には、中国語を使用しなければならない。外国語で意見陳述をしたい場合は、自ら通訳者を用意しなければならない。
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