中国国務院
常務会議で専利法改正案(草案)が可決
【出典:国家知識産権局ウェブサイト】
2018年12月5日に、中国国務院常務会議で『中華人民共和国専利法改正案(草案)』が可決し、中国人民代表大会常務委員会に提出して審議されることが決定した。草案は2019年初めには承認される見込みである。
国務院常務会議で、国務院の李克強総理は、北京、天津、河北、上海、広東などの8つの地域では、既にイノベーション促進のための改革措置が試行されており、2017年には最初の13項目の改革措置が既に中国全土に推進されていることを説明した。これにより、次に新たな23項目の改革を更に広範囲に普及させることが決定した。
中国全土に普及させる内容は主に次の通りである。
一、科学技術成果の実用化奨励を強化する。企業に転換した研究機関と公的機関の管理職、研究員が「技術株+現金株」の方式で株を保有することを許可する。科学技術成果実用化の全プロセスに参与する技術管理者を配置する。大学、研究機関が発注などの方式で企業の技術的進歩に参与することを奨励する。
二、科学技術への融資サービスをイノベーションする。資産が少ない企業、利益を創出していない企業を含む中小の科学技術企業向けの融資ルートを開発する。政府株式ファンドによるシードステージ、アーリーステージの科学技術企業への投資を推進する。イノベーション・起業団体は、投資元本及び同時期の事業資金融資の利息に基づき、政府投資ファンドが保有する株式の買い戻しを約定することができる。イノベーション主体の権利侵害による損失を低減するために、専利執行保険、専利権被侵害損失保険などの保険商品の開発を奨励する。
三、科学研究の管理を改善する。国有科学研究機器設備の市場化による運営を推進して、共用化を実現させる。イノベーション政策決定のフォールトトレラントメカニズムを構築する。それと同時に、もともと先に個別の地域で試行されていた3つの改革措置、即ち科学研究者に一定割合の職務成果の所有権を与えること、地域の株式市場にテクノロジー・イノベーション専用ボードを設置すること、地方の大学が独自に人材を採用し職称評定することを許可することを8つの先行試行地域全てに拡大することを推進する。常務会議では、上記の内容の段階的普及とその他の先行試行改革措置の追跡評価、経験の総括、政策の改善、改革の深化を強化し、質の高い発展を推進するためのテクノロジー・イノベーションの重要な役割をさらに発揮させることが求められた。
専利権者の合法的権益の保護を更に強化し、発明創造を奨励するメカニズム・制度を改善し、実務における効果的な専利保護の成熟した手法を法制化するために、常務会議で、『中華人民共和国専利法改正案(草案)』が可決した。草案では、知的財産権の侵害取締り強化に重点を置いて、海外の制度を参考にして、専利を故意に侵害、模倣した場合の賠償額と罰金額を大幅に引き上げた。これによって、権利侵害に係るコストを顕著に増大させて不法行為の抑制を図る。また、権利侵害者が関連資料の提供に協力するといった挙証責任を明確に規定し、インターネットサービスプロバイダが速やかに権利侵害行為を阻止しなかった場合は連帯責任を負わなければならないことが示された。草案では、発明者或いは創作者が職務発明創造の収益を合理的に享受できるようにするための奨励メカニズムも明確に規定され、また、専利付与制度も整備された。
付録:中国専利法改正草案意見募集稿
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