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2016年 
中国の特許、商標及び
意匠の出願数がいずれも一位に


【出典:WIPOウェブサイト】

 世界知的所有権機関(WIPO)は、2017126日にウェブサイトで、「『世界知的財産権指標』(WIPI)の報告によると、2016年の世界各地のイノベーターによる特許出願は310万件で、8.3%増加し、7年連続の成長となった。新たに増えた約240,600件の特許出願のうち、中国が受理したのは約236,600件で、増加件数の98%を占めた。商標の出願件数は16.4%増の約700万件であった。世界全体の意匠の出願件数は、10.4%増の約100万件であった。商標及び意匠出願件数の増加も中国が主な要因である」との発表を行った。

 実際、ここ数年の統計によると、中国の知的財産権に対する需要は絶えず高まっており、この傾向は10年続いている。中国の発展は世界の特許、商標の出願総数にはっきりと現れており、中国が徐々にイノベーションとブランドの世界のリーダーになりつつあることが見て取れる。

 今年度、WIPIは、初めて地理的表示に関連するデータを収集した。地理的表示は、商品に用いられる標識であり、このような商品は特定の地域を出所としており、且つこの出所によってもたらされた品質や名声を有している。例えば、スイスのグリュイエールはチーズに使用され、テキーラは酒類に使用されている。これらのデータは54カ国及び地域の主務官庁をカバーしており、約42,500の保護されている地理的表示が含まれている。このほかに、WIPOは、各国の特許庁から審査官の人数規模、出願の審査期間及び特許審査の結果などの業績に関する特定の方面のデータを収集した。これらのデータによると、大部分の特許庁の審査能力は、特許出願の受理件数の増加に比例して向上している。

u  特許

 2016年に中国国家知識産権局は計130万件の特許出願を受理した。次いで、米国特許商標庁(605,571件)、日本特許庁(318,381件)、韓国特許庁(208,830件)、欧州特許庁(159,358件)の順となった。ただし、人口一人当たりでみると、中国の特許出願件数は、ドイツ、日本、韓国、米国の後に続く形となった。

ランキング上位5位の特許庁の出願件数は、世界全体の出願件数の84%を占めており、そのうち中国(+21.5%)と米国(+2.7%)の出願件数はいずれも増加したが、欧州特許庁(-0.4%)、日本(-0.1%)、韓国(-2.3%)が2016年に受理した出願件数は2015年に比べて減少した。

 ドイツ(67,899件)、インド(45,057件)、ロシア連邦(41,587件)、カナダ(34,745件)、オーストラリア(28,394件)も上位10位に入った。

 アジアの特許出願数の世界全体の出願総数に占める割合は、2006年の49.7%から2016年の64.6%に成長した。これは、主に中国の特許出願件数の大幅な増加によるものである。また、アジアの特許主務官庁が受理した出願件数は200万件を少し上回った。

 国外での特許出願では、米国居住者が引き続き世界をリードしている。米国居住者の国外での特許出願件数は215,915件であり、中国居住者(51,522件)の4倍であった。米国に次ぐ2位は日本(191,819件)であり、3位はドイツ(75,378件)、4位は韓国(69,945件)であった。大型の中所得国の居住者の出願では、ブラジル、インド、マレーシア、メキシコ、南アフリカの出願総数における国外での出願割合は、ブラジルの27.3%からインドの47.5%まで幅はあるものの比較的高い傾向にある。これらの国の国外出願はほとんどが米国特許商標庁へ出されたものである。

 国外への特許出願は、知的財産権保護の国際化を表しており、また外国市場において技術を商業化する意思があることを示してもいる。特許出願のコストの高さを考えると、出願人が自国以外に、さらに他国へ出願して保護を受けようとする場合、そのような特許はより高い価値を有している可能性がある。

 2016年、世界全体の有効特許は1,180万件で、そのうち米国が280万件、日本が200万件、中国が180万件であった。

 WIPOは名前認識技術を開発し、この技術を利用してWIPIに国・地域主務官庁の居住者の特許出願における女性参加率に関するデータを組み入れたところ、ロシア連邦の女性参加率が38.7%(居住者による特許出願の38.7%は、少なくとも女性が1名含まれるものである)と比較的高く、メキシコ(36.4%)、米国(27.5%)、スペイン(24.6)、ブラジル(24.5)がこれに続くことが分かった。これらの国は生物などの生命科学分野の出願割合が比較的高く、この分野の女性参加率も他のテクノロジー分野より高い。

u  商標

 2016年、世界全体で977万区分について約700万件の商標出願があった。2015年の出願件数に比べ16.4%増となり、商標出願も7年連続の成長となった。2001年から、世界全体の商標出願件数は2倍に増え、現在のビジネス環境におけるブランド資産の保護の重要性を反映している。

 商標出願数(区分数による計算)では中国主務官庁が約370万と最も多く、2位は米国(545,587)、3位は日本(451,320)、4位は欧州連合(369,970)、5位はインド(313,623)となった。上位5位の主務官庁のうち、中国(+30.8%)、日本(+30.8%)、インド(+8.3%)の出願数は安定した成長を保っている。上位20位の主務官庁のうち、その他の急速に成長している主務官庁は、ロシア連邦(+14.8%)、イギリス(+19.1%)、ベトナム(+21.1%)であった。

 スイス(77%)、米国(46%)、ドイツ(45%)、オランダ(44%)、スウェーデン(42%)の出願人は、自国以外での保護を求める割合が高いのに対し、中国の出願人による出願全体のうち約95%は中国で行われたもので、国外で保護を求めたのは5%のみであった。

 2016年には広告とビジネス管理に関する商標が、世界全体の商標出願数の10.5%を占め、続いてコンピュータ、ソフトウェアおよび機器(6.9%)、教育および娯楽(5.8%)とアパレル業(5.7%)の順となった。

 有効登録商標は世界全体で約3,910万件あり、そのうち中国だけで1,240万件あり、続いて米国が210万件、3位は日本の190万件、4位はインドの130万件、5位はメキシコの110万件であった。

u  意匠

 2016年に世界全体で120万の全てのデザインを含む意匠出願は10.4%増の計963,100件であった。世界全体の意匠数は8.3%増となったが、これは中国の堅調な成長の影響が主な要因とみられる。

 中国の主務官庁が2016年に受理した意匠出願には650,344のデザインが含まれており、これは世界全体の52%に相当する。次いで、欧州連合(104,522)、3位は韓国(69,120)、4位はドイツ(56,188)5位はトルコ(46,305)となった。ランキング上位20位の主務官庁のうち、意匠数の成長が最も急速なのはイラン・イスラム共和国(+34.8%)で、次いでウクライナ(+17.4%)、中国(+14.3%)、米国(+12.1%)となった。

 スイス(84.2%)、スウェーデン(66.8%)及び米国(55.8%)の出願人が出願した意匠はほとんどが国外で保護を求めているのに対し、中国、インド及びイラン・イスラム共和国の出願人は、そのほとんどが自国の国内市場で保護を求めている。

 

 種類別でみると、家具関連の意匠が全出願の10.8%を占め、次いで、衣料品(8.6%)、包装及び容器(7.3%)に関するものとなった。世界全体の有効意匠は6%増の計360万であった。そのうち、中国は約136万有し、次いで、韓国(338,234)、米国(307,018)、日本(250,819)、欧州連盟(194,781)の順となった。

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