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中国 専利保険による零細企業の
自主イノベーションの効果的な保護


【出典:上海金融報】

 長い間、中小企業が発展の過程において、製品の品質及び市場販路以外に、最も気にかけていることは、競争相手の模倣や権利侵害によって、巨額の損失を被っても、適時かつ合理的に権利を保護することができない点である。権利侵害に遭ったときに困難を乗り切るための支援として、現在、専利保険商品のタイプ、補償範囲などが拡張している。したがって、企業は関連保険商品との対応を強化し、保険加入により権利保護に係るコストの削減を図るべきである。

 零細企業にとって、「専利権の保護」は、「執行が難しく、侵害期間が不確定であり、繰り返し侵害されやすく、権利保護で得られる賠償金額は保護にかかる金額より低く、無効抗弁のコストが高く、権利保護の結果の予測が難しい」などの難点がある。ここ数年、中国の保険業界は零細企業の知的財産権について、発生する可能性のあるリスクをできるだけカバーし、中小企業への影響を軽減する、様々な新商品を設計してきた。

 専利保険とは、知的財産権保護に保険業務を導入して作り出した新しいビジネス保険の種類のことで、被保険者は成立済みの専利を対象として、保険会社を通じて保険に加入する。保険期間中に、被保険者が侵害行為にあった場合、保険会社は契約の約定に基づいて、被保険者が専利権を保護する過程で支出した調査費用、弁護士費用を補償する。

 20178月、中国の平安産険と深圳市知識産権局は、平安専利権利侵害損失保険の「深知保」を共同で発表した。「保険+サービス」のモデルにより、零細企業の専利権保護過程における問題を解決する。同時に、深圳市政府が最近発表した『深圳市零細企業創業イノベーション拠点都市モデル特別プロジェクト資金知的財産権項目のプロセス規程<暫定>』によると、「深知保」に加入した零細企業の保険費用を全額、深圳市政府が補助する。

 平安産険の団体商品開発責任者は、「『深知保』には、判決書に基づく賠償について、訴訟企業は保全手続きを取る必要がないこと、訴訟中に専利無効宣告請求が提起された場合、最終的に被保険者の専利を維持する審決がでれば、無効審判期間中で発生した合理的な費用が補償されること、法院の判決の金額より訴訟にかかった費用の方が高い場合、被保険者にはかかった費用と判決の金額との差額が補償されること、保険期間を1年から3年に延長した場合、原則的に専利の権利侵害を受けてから訴訟を提起した期間を含んでもよいこと、といったいくつかの特徴がある。これらだけではなく、その専利が複数回にわたり権利侵害を受けた場合、一回の訴訟で補償限度額を使いきれなかったときは、残りの金額を当該専利に係る他の訴訟に当てることができる」と述べた。

 注目すべきは、通知を受けた後、平安産険は被保険者が賠償金請求時に提供する資料に基づいて、主に専利の安定性と侵害比較の両方面の訴訟リスクを含む訴訟リスク提示報告を被保険者に提供し、訴訟において、平安産険が被保険者に無料で専門の第三者チームを紹介し、被保険者の権利保護訴訟を助ける点である。

 近年、中国国内の保険業者による企業の専利リスク回避支援サービスの効果が出始めている。20178月に大地保険は、蘇州市の某新材料テクノロジー会社の「知的財産権保護費用保険」案件を引受けた。この保険の被保険者である蘇州市の某新材料テクノロジー会社は、国家ハイテク企業である。当該保険に加入した後は、保険の範囲内の知的財産権侵害行為が発生した場合、契約の約定に基づき企業の権利保護費用を大地保険が負担する。当該保険は、専利技術の権利保護において効果的な保障を提供し、効果的に企業の心配事を減らす。

 20173月、天津かもめ時計グループ有限会社も、中国人民財産保険株式会社の天津支社と専利保険契約を結んで、中国で最初の「海外展覧会専利紛争訴訟費用保険」に加入した企業となった。将来、かもめ時計グループ有限会社が海外の産業展で専利紛争に巻き込まれ法的手段による解決を求めた場合に、保険により経済的な補償を得ることができる。

 「海外展覧会専利紛争訴訟費用保険」は、独自の知的財産権財産権を有するテクノロジー型企業のための専利保険商品である。保険に加入した企業が海外の展覧会へ出展中に、第三者が、出展品がその第三者の専利権を侵害したと出張して警告状を送付し、または、税関、専利行政主務官庁若しくは司法機関に強制措置を取るよう請求した場合、上述の専利権侵害紛争で支出した弁護士費用、訴訟費用などの費用に応じて、保険会社がその費用を補償する。

 知的財産権保護は、どの国にとっても難問であり、知的財産権の証拠収集、訴訟の複雑さは小企業にとっては「精神的にも金銭的にも重荷」である。20168月国家知識産権局は全国72の地区と機関において、3年間の専利を担保とした融資、専利保険試行モデル業務を展開することを決めた。 

 多くの小企業は商品のレベルアップ、イノベーション設計をする際に、専利権侵害に遭う。企業は、楽観的に考えずこの問題に十分注意を払わなければならない。実際に、このようなリスクに対して、中国の国内市場には、既に多数の保険商品が存在している。企業は権利保護の意識を強め、ニーズに合った様々な商品を選んでこそ、将来の発展が保障されるのである。

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