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台湾専利法改正 
専利猶予期間を12ヶ月に延長

【出典:知的財産局ウェブサイト】

専利権者の権益を守り、イノベーション及び技術の流通環境を作るために、2017118日に『専利法』の一部条文を改正する総統令が発布された。将来、特許及び実用新案の猶予期間が、6ヶ月から12ヶ月に延長されることとなる。具体的な施行日は、専利法第159条第1項の「本法の施行日は行政院が定める。」との規定により決められるため、改正条文は、行政院が施行日を公布した後に、発効することになる。

 特許出願人が享受できる猶予期間は6ヶ月で、且つ特定の様態で公開された発明に限られていたが、台湾の企業及び教育機関・研究機関が特許出願する前に産業活動又は学術活動において、様々な形でその発明を公開しているという現状に応じて、その公開された発明が特許権の保護を受けられる可能性と、特許出願するための充分な準備時間を保障するために、アメリカ特許法第102条第(b)項、日本特許法第30条、韓国特許法第30条などの規定を参酌して、現行の猶予期間の6ヶ月を12ヶ月に延長し、さらに出願人によるその発明の公開様態を制限しないよう公開事由を緩和することで、技術の公開と流通の奨励を図る(改正専利法第22条第3)

 元来、特許は特定の公開様態に合致しなければ、猶予期間を適用することができないが、技術の公開と流通を促すため、改正専利法第22条第3項では、条件が緩和されて、公開が出願人の意図によるものでも、意図に反するものでも、適用できる。つまり、出願人による当該発明の公開様態が限定されないこととなり、さらに、出願時に猶予期間の主張を声明しなければならないという手続要件が削除された。なお、出願人の意図による公開とは、その公開は出願人の意思又は行為によるものであることを指すが、出願人が自ら行うことに限定するものではない。また、出願人の意図に反して公開されたとは、出願人が出願に係る技術内容を公開する意思がないにもかかわらず、公開されたことを指す。

 専利の公報公開の目的が、他人の研究開発経費の重複投入を避けること、または、専利権の範囲を明確に公衆に知らせることにあること、そして猶予期間の主な目的が、出願前の新規性及び進歩性喪失の例外の公開行為によって専利による保護が受けられなくなることを避けるためであることを考慮すると、公報公開の目的と猶予期間の目的は、規定する行為及び制度上の目的が異なるため、専利法第22条に第4項を追加して、出願により台湾または外国において法律に基づき公報に公開されたことが、出願人の意図によるものであるときは、同条第3項の規定を適用しないことを明確に定めた。また、同法第122条の産業上利用可能なデザインについて、出願して意匠権が取得できる公開事由も併せて緩和されたが、猶予期間については依然として6ヶ月間を維持することとした。

 今回の猶予期間に関する規定の改正は、特許の取得ができるか否かの認定に係るので、明確さを期し、適用しやすくするために、関連条文の施行後に提出された出願に限り適用することを規定した。(第157条の1追加) 

2017118日総統華総一義字第10600005861号令により第22条、第59条、第122条、第142条の改正、並びに第157条の1の追加を公布する。施行日は行政院が定める。


22

産業上利用することができる発明は、次に掲げる発明を除き、この法律により出願し、特許を受けることができる。

一、出願前に既に刊行物に掲載された発明。

二、出願前に公然実施をされた発明。

三、出願前に公然知られた発明。

前項各号に掲げる事情がないが、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が出願前の従来技術に基づいて容易に完成することができたときは、その発明については、特許を受けることができない。

出願人の意図による公開または出願人の意図に反する公開の事実が発生してから12ヶ月以内に出願したときは、その事実は第1項各号、又は前項の特許を受けることができない事由に該当するに至らなかったものとする。

出願により台湾または外国において法律に基づき公報に公開されたことが、出願人の意図によるものであるときは、前項の規定を適用しない。 

59

特許権の効力は、次の各号の事項には及ばない。

一 商業上の目的によらない未公開の行為。

二 研究又は試験の目的で発明を実施するのに必要な行為。

三 出願前既に国内で実施がされていたもの、又はその必要な準備が既に完了していたもの。但し、特許を受ける権利を有する者からその発明を知らされてから12ヶ月未満、かつ特許を受ける権利を有する者がその特許権を留保する旨の表明をした場合は、この限りでない。

四 単に国境を通過するに過ぎない交通手段又はその装置。

五 専利を受ける権利を有しない者の受けた専利権が、専利権者による無効審判請求のために取り消された場合、その実施権者が無効審判請求前に、善意で国内で実施していたもの、又はその必要な準備を既に完了していたもの。

六 専利権者が生産した又は専利権者の同意を得て生産した物が販売された後、その物を使用する又は再販売する行為。前記の生産、販売行為は、国内に限らない。

七 専利権が第70条第1項第3号の規定により消滅した後から、専利権者が第70条第2項により専利権効力を回復させ、かつそれが公告される前において善意で実施していたもの、又はその必要な準備を既に完了していたもの。

前項第3号、第5号及び第7号の実施者は、その元来の事業の目的範囲に限り継続して使用することができる。

1項第5号の実施権者は、当該専利権が無効審判請求により取り消された後も、依然として実施を継続する場合、専利権者による書面通知を受領した日から、専利権者に合理的な対価を支払わなければならない。 

122

産業上利用することのできるデザインで、次の各号のいずれかに該当しないときは、この法律により出願し、意匠登録を受けることができる。

一 出願前に既に同一又は類似のデザインが刊行物に記載されたもの。

二 出願前に既に同一又は類似のデザインが公然実施されたもの。

三 出願前に既に公然知られたもの。

 デザインが、前項各号の事情に該当しなくても、それが属する技芸分野の通常知識を有する者が出願前の従来技芸に基づいて容易に思いつく場合には、意匠登録を受けることができない。

 出願人の意図による公開または出願人の意図に反する公開の事実が発生した6ヶ月以内に出願されたもので、かつその事実は第1項各号、又は前項の意匠登録を受けることができない事由に該当するに至らなかったものとする。

出願により台湾または外国において法律に基づき公報に公開されたことが、出願人の意図によるものであるときは、前項の規定を適用しない。 

142

28条、第29条、第34条第3項、第4項、第35条、第36条、第42条、第43条第1項から第3項まで、第44条第3項、第45条、第46条第2項、第47条、第48条、第50条、第52条第1項、第2項、第4項、第58条第2項、第59条、第62条から第65条まで、第68条、第70条、第72条、第73条第1項、第3項、第4項、第74条から第78条まで、第79条第1項、第80条から第82条まで、第84条から第86条まで、第92条から第98条まで、第100条から第103条までの規定は、意匠において準用する。

28条第1項に定める期間は、意匠登録出願においては6ヶ月とする。

29条第2項及び第4項に定める期間は、意匠登録出願おいては10ヶ月とする。

59条第1項第3号のただし書に定める期間は、意匠登録出願おいては6ヶ月とする。 

157条の1 

 20161230日に改正された第22条、第59条、第122条及び第142条は、改正条文の施行後に提出された出願に限り、これを適用する。

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