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中国 研究開発のアウトソーシングで注意すべき知的財産権問題

 現在、技術主導型の企業が研究開発をアウトソーシングするケースが増えてきている。こういった傾向は特にアメリカにおいて、例えば、製薬業界、バイオテクノロジー業界でよく見られ、更には、技術のアウトソーシングは21世紀のビジネス計画の核心部分となる可能性が考えられる。中国は高い専門性を持った人材の宝庫であり、政策も経営環境に有利となっており、特にこの種の巨大な研究開発活動にとって魅力のある投資先となっている。
 研究開発のアウトソーシングは一般的に2つのタイプに分けられ、一つは企業の管理を受けるタイプ、もう一つは共同開発するタイプである。もちろんどのタイプであっても、あらゆる段階で知的財産権問題は存在する。中国での研究開発について注意すべき知的財産権関連の重要事項を以下の通りまとめた。

一、先ずは中国で特許出願

 中国で完成させた発明は、中国国内の特許権喪失を避けるために、先ず中国の国家知識産権局に特許を出願するか、又は秘密保持審査を請求し、国家知識産権局により許可される必要がある。
 秘密保持審査に通る前に、中国国外において中国内で完成させた発明が既に特許出願されていた場合、その後取得した中国の特許権が無効と認定されてしまう可能性がある。発明者がアメリカで就業する中国国民である場合、出願人はアメリカで許可されてから中国に特許出願する必要がある。中国国内で完成させた発明については、一部の会社は《特許協力条約》(PCT)により中国で出願し、その後PCT特許出願をアメリカ国内段階に移行させている。

二、輸出管理審査

 研究開発のアウトソーシングは一般的に、委託会社から受託会社へのいくつかの技術の譲渡に関係するが、もし特許出願しようとする発明が国家の安全や重要な利益に及び秘密保持を必要とする場合、関連規定に従い手続しなければならない。そうしなければ、国外で特許出願する際に、国家機密が漏洩してしまった場合、行政処分、延いては刑事責任を追及されかねない事態となる。

三、知的財産権の帰属

 研究開発アウトソーシングは、後で争議が起きるのを避けるためにも、まずは書面契約で知的財産権の帰属をはっきりと規定することが肝心である。研究開発アウトソーシングの知的財産権は、原則的に委託会社と受託会社の共有に属するが、企業の管理を受けるタイプは、一般的に委託会社側がより大きなコントロール権を持つため、このコントロール権によって、将来にわたる全ての知的財産権を得ることになり、また、共同開発するタイプは、受託会社が独立した実体であるので、委託関係の特殊性によって将来の知的財産権の帰属は不確定となる。

四、知的財産権取得「前」と「後」の権利帰属

 研究開発のアウトソーシング関係を締結する「前」に既に得た権利と、アウトソーシング任務が完了した「後」に発生する可能性のある将来権利の帰属については、いずれも研究開発アウトソーシング契約で明確に規定しておかなければならない。と言うのも、委託会社若しくは受託会社が前に既に取得した知的財産権が、今回の研究開発においてその効果を発揮する可能性があり、特に受託会社は委託会社の先の知的財産権を利用して、それに改良を加えて任務を完成させたいと考えている可能性があるため、委託会社はどの特許権を受託会社に提供するか、また使用期限や関連制限などについて全て契約の中に明記しておく必要がある。さらに、将来研究開発アウトソーシングで派生した知的財産権の権利分配についても予め約定しておく必要がある。

五、契約の中止

 万が一、やむを得ずアウトソーシング関係を中止しなければならなくなってしまった場合に、共同開発が継続できない、或いは前倒しでアウトソーシングを中止しなければならないに関わらず、契約ではいずれも技術の将来使用の問題、特に前述した知的財産権「前」と「後」の権利帰属について考慮し、明らかにしておかなければならない。特許の出願が遅れてしまうのを防ぐためにも、研究開発をアウトソーシングする場合は、その関係が終わった後の特許の出願に係る問題について特に注意を払う必要がある。

 

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