IPニュース | 特許・実用新案・意匠

間接侵害、専利法案に未加入

専利権侵害について、各国は何れも、専利の侵害は全ての技術特徴を侵害して初めて成立すると規定している。ただし、実務上、核心的技術(essential element)だけの侵害がよく起きる。このような場合は、侵害を構成してはいないが、もう一歩進んで組み合わせれば、事実上権利侵害を構成することになる。こうした行為に対し、民法に共同権利侵害の関連規定があるが、要件は比較的寛大である。そこで、専利の保護を更に完璧にするために、知的財産局は間接侵害の制度を導入することを考慮したのである。

いわゆる権利の間接侵害は、三つの要件に合致する必要がある。第一に、権利者は、間接侵害者の産品が、将来「明らかに」権利侵害を起こすと証明する必要がある。第二に、メーカーが権利侵害する疑いがあるものを製造、使用して利益を取得するのは、不法的悪性が高く重大である。第三に、間接侵害者が侵害するのは核心的技術であることが必須であり、核心技術であるかどうかについて、各案件を認定しなければならない。

例を挙げて説明する。甲社が持つある専利の要件は AおよびBであり、乙社はAだけを生産している場合、乙が明細書において消費者にBを合わせて使用してもよいと説明するのは、甲の専利を侵害することになる。そのうち、Aを提供する行為は「権利侵害の補助」で、説明書で消費者にBを合わせて使用するよう導く行為は、「権利侵害の誘引」であり、どちらも権利の間接侵害に属す。

産業面から見た例では、親会社がAを生産し、協力会社が部品Bを提供するのを請け負っている場合、親会社が権利侵害を避けるために、単に部品Aを提供し、取引の相手に協力会社から部品Bを取得することを要求した。このとき、協力会社は、明らかに権利侵害を構成すると知りながら、該取引相手に提供する部品Bを部品Aに合わせた場合、部品Bを提供する行為は、AおよびBのいずれの間接侵害をも構成することになる。

業界が間接侵害の制度を導入することに反対である主な理由は、台湾には大量の情報機器商品のOEMメーカーが有り、大量の部品群を生産しているため、もしこのような部品群をその他の要件を合わせて第三者に販売し、専利権の侵害を構成する場合、他人の専利権を侵害したかどうかの判断は、業者にとって多大な金銭的負担を生むことになる。また、間接侵害の制度を導入すれば、将来、OEMメーカーも警告の通知を常々受け取ることになり、権利侵害の疑いがあると警告される可能性があるため争議は尽きない。

一方、日本、韓国等では、特別立法により間接侵害を規定している。これには、当地の法律により共同権利侵害で犯罪を阻止することを用いることはできないため、侵害を排除するよう請求する権利が専利権利者に付与されていると明記されている。台湾民法では、既に共同権利侵害制度が規定されていて、知的財産裁判所も200871日から既に正式に運行しているので、裁判所は十分な時間をもって実際の案例を蓄積させ、実際的需要に応えるように、台湾の実務を発展させるだろう。

上記の理由により、知的財産局は研究討議が長引く専利法修正案が、間接侵害の一条文により争議を引き起こすことを望まないとし、専利法修正案に該条文を含まない決定を下した。

 

 

Top  
 
 
  11th F1., 148 Songjiang Rd., Taipei, Taiwan | Tel : 886-2-2571-0150 | Fax : 886-2-2562-9103 | Email : info@tsailee.com.tw
© 2011 TSAI, LEE & CHEN CO LTD All Rights Reserved
   Web Design by Deep-White
Best viewed with IE8.0 or higher with 1024*768 resolution