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台湾農委会:専利法の保護対象に農作物品種を含む計画

台湾では、農作物の品種保護に関して、現行の専利法第24条第一款規定に動植物および動植物生産にかかる主な生物学の方法には発明専利が与えられないと規定している。よって現段階では、野菜、果物、花弁など農作物の新品種には、「植物品種および種苗法」しか適用せず、品種に対する知的財産保護が不足している情況である。

中国と台湾の往来が頻繁になるにつれ、近頃、多くの台湾の農作物が中国各地に渡って栽培されているが、商人が不法に台湾の農作物の品種を乱用したり、盗用したりするのを防ぐために、行政院農委会の科技処は、4月17日に台中の中興大学で開催された「植物品種の産業発展論壇」において、農作物品種の知的財産権の保護を拡大するため、品種の国境外授権制度を推進するとともに、農作物品種を専利法の保護対象に含むことも、積極的に検討した。

品種の国境外授権制度の推進に関して、農委会は以下の一例を挙げた。かつて高雄三号(商品名「夏雪」)のマンゴー品種について、日本の農林水産省を通して品種権を登録し、その日本国内での種苗販売や栽培の権利を、日本の中島美雄商店に授権することに成功した。しかし、該果物は、台湾に運び戻され販売されるのを禁止すると、明確に規定されている。また、この授権料の総額は台湾ドル数百万円に上り、台湾マンゴー品種の国境外授権の先例となった。農作物品種市場のビジネスチャンスを広げ、農作物品種の知的財産を保護するためには、今後農委会は、品種の国境外授権制度を継続して推進し、農作物の品種を専利法保護に加えることを更に検討している。

高雄三号「夏雪」マンゴー以外にも、高雄農改場の枝豆6号、7号も既に日本品種権の登録を果たし、日本雪印の子会社である種苗会社に授権され、上記の品種の枝豆が販売されている。また将来、中国または東南アジアの枝豆業者が台湾の枝豆品種を乱用した場合には、権利侵害を構成する虞がある。

種苗は農作物生産の根源であり、台湾は、1988年に「植物種苗法」を施行して以来、品種培養育成研究開発の技術は国際水準にあるが、植物品種の保護に関しては、欧州、米国、日本などに比べ依然として遅れをとっている。台湾は、アジアの種苗の中心、亜熱帯果物の中心、および世界クラスの花弁の島という三大中心として「農業科学技術国」となるためにも、更に積極的に国内の植物品種の保護を推進しなければならないだろう。

欧州連盟は、20073月に既に、台湾の植物品種の権利所有者が、自然人または法人の名義で欧州連盟植物品種事務局(CPVO)に出願するものについて、それを受理することに同意することを正式な書面で台湾に通知した。なお、その出願の品種権の権利保護範囲は、全欧州連盟27会員国まで及ぶ。米国、日本、オーストラリアもまた、具体的に、台湾の植物品種権の出願を受理する意向であると表明した。今後、植物品種の権利人が合法的権益を得られるよう、台湾の農委会は、立法において、植物の新品種が専利法保護に含まれるよう推進する努力を続けなければならない。

 

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