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専利権寄与侵害概念、専利法修正案中に明記の計画

知的財産局は、専利法修正を検討する中、専利権侵害の規定に関して、2008年10月31日に学者や専門家、司法実務界および産業界の代表を招いて、専利権侵害にかかる主観的要件、類型、損害賠償範囲および証拠保全等の関連事項について、助言性の公聴会議を開いた。

公聴会中、最も熱心な討論は、「専利権の寄与侵害(contributory infringement)の概念」を、専利法修正案中に確定するかどうかである。これに対して、知的財産局長王美花氏は、間接的権利侵害は「保障」であり、「権利侵害の無限の拡張」ではない、と強調した。

台湾の現行の専利法は「直接的侵害」しか規定しておらず、即ち、専利を実施するのに必要な「全部」の要件がそろって初めて、専利を侵害することになり、「全要件」を満たす必要がある。しかし、時には被告の権利侵害者が実施の全ての条件を満たしてなくても、実施が最も核心の部分(essential element)に当たっていると、直接的権利侵害を構成しなくとも、実際上、直接的権利侵害の可能性が極めて高く、それが「間接的権利侵害」である。

専利における寄与侵害概念は、主に、早期の各国の専利権利侵害の認定においては、権利侵害案件の被告が請求項に記載されている「全部」の事項を実施するのを前提に、専利を侵害したと初めて認められる。ただし、いくつかの情況下では、権利侵害案件の被告は、専利発明中の全部の内容を実施しなくとも、実施している部分が該専利権の「核心部分」(essential element)であり、専利権に直接的侵害を及ぼす可能性が極めて高く、且つ権利侵害案件の被告が主観的に明白にそれを知っている場合、これらの行為を処置しなければ、発明専利権の保護にその実益を失わせることになる。これにより、アメリカ、日本、韓国およびヨーロッパ等の国家では、これらが直接に権利を侵害する可能性が極めて高い専利権の予備または寄与侵害の行為とし、併せて専利法中に専利権の寄与侵害行為に属すると明記されている。

しかしながら、権利の寄与侵害の規定について、各国で多少異なるのに加え、「寄与」(援助)および「誘引」(教唆)の概念の区別も難しく、知的財産局は、専門家や学者を集めて詳しく再度討論する計画である。

知的財産局法務室の主任、石博仁氏は例を挙げて説明した。企業「甲」が持つ専利の要件がAとBで、企業「乙」はAのみ生産している。ただし説明書上には、消費者がBを併せて使用できると書いており、「甲」の専利を侵害するに至る。そのうち、Aを提供した行為は「寄与侵害」であり、説明書中に、消費者がBを使用する行為を組み合わせるよう導いた行為は「権利侵害の誘引」であり、この二つは、どちらも間接的権利侵害に属する。アメリカ、日本、韓国、およびヨーロッパ等の国々では間接的権利侵害の規定を有するが、台湾では、依然として権利侵害にはならない。

権利侵害の態様は極めて多く、間接的権利侵害の概念を含めると、専利の保護は益々完璧に近くなるが、間接的権利侵害を規定すると、事情を知らない情況で製造業者に、「寄与侵害」に誤って触れさせてしまう可能性があり、どのような言葉を用いて、「間接」の境界を定義するか、極めて難しい。

台湾は、ここ10年で、専利出願案件数の成長が65.90%に達し、今も上昇を持続しており、いかにして専利権の保護を強化するかが緊急である。間接的権利侵害は、先進国では普遍の規定であるが、実務上の案件例が少なく、目下のところ知的財産裁判所は、日系企業武田の、中化が生産、販売する、専利権が既に切れたジェネリック薬品(Generic Drug)の一件を有するのみであるが、説明書中に、消費者がその他の薬品と併せて使用してもよいと勧めていることは、間接的権利侵害を疑う案件であるが、将来、判決により裁判官の実務上の見解を知ることができるとした。

 

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