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台湾:発明専利審査の費用改正

台湾知的財産局は、「使用者による支払い」の理念を実現するため、先日、「発明専利実体審査費」の課金制度の修正版を公布し、現行の審査では請求項総数にかかわらず単一価であるところを、請求項数により課金するよう改正した。しかし、こうした課金標準に対し民間から多くの意見が出た為、知的財産局は2008年1月に最終報告を提出し、再度検討してから決定する予定である。

審査資源を無駄にする不必要な専利を減らすため、知的財産局は、発明専利の実体審査費を調整する法案を提出した。それによると「請求項総数に比例する課金」に改正し、各案件の請求項総数は基本を6項とし、一定数を超えると一請求項増加ごとに台湾ドル800元を課す、とする。これにより、現行の「請求項付け足し効果の悪用」を防ぐ狙いである。

新法案と現行の実体審査費を比較した場合、現行制度では審査の基本費用が一律8000元であるところを、新制度では原則、請求項6項以上10項以下の案件は、元の8000元で据え置き、請求項6項以下の場合、一律4800元とし、10項を超える場合は、1項増す毎に800元の追加を支払うとする。

上記より、新制度では請求項の総数が6項未満の発明専利案件は、出願コストが安価になる。しかし、一部の専利代理人は、新制度は、表面上はコスト減少に見えるが実際はコスト増加になる、との見方を示す。発明専利の実務を例に挙げると、実際のところ、一案件当たりの平均請求項数は、15項から20項が一般的であり、6項が課金の基本数となった場合、大多数の発明者は、「表面上は費用が下がるように見えるが、実際のところは上がる」「課金形式が変わって値上がりする」と感じているのが実情なのだ。

さらに実際の案件で説明すると、一案件に請求項20項の発明専利の場合、現行の審査費用が8000元であるのに対し、将来、新制度に改正後は、16,000元となる。その上、ある一定の種類の発明、例えば化学分野の発明では、専利一件につき請求項が50項、ひいては100項に及ぶものもあり、発明者側にとって多大な負担となる。それでも発明者は、研究開発面での高いリスクを避けるためには、多数の請求項のままで出願し、コストを増やさざるを得ない。

こうした批判に対応し、知的財産局は以下のように述べた。新制度は、本来上述の多請求項の案件に対して特別に設計したものである。 各請求項が各々の権利を主張できるならば、請求範囲が小さいものは、費用を少なくすることができ、請求範囲が大きいものは、請求項ごとに審査する必要があるので、費用がかさむのは当然である。これは、理にかなっており、外国でもこうした請求項数による課金制度を採用している所は少なくない、との見解を示した。

 

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