台湾のCD-R及びDVD-Rの製造量は、全世界の八割近くを占める。しかし、これらの技術にかかわる多くの専利権(日本でいう特許権)は、フィリップス社が所有することから、台湾企業は毎年、巨額のロイヤリティをフィリップス社に支払わなければならない。そのため、近年におけるCD業界の利潤は非常に低く、台湾企業は、フィリップスとCD-R専利ライセンスにおける協議を行ったが、破談に終わった。達信(Daxon_Talent)、錸德(Ritek)、中環(CMC Magnetics)及び精碟科技の四大ディスク業者は、台湾情報記録技術協会(TISA)を通し、フィリップが不合理に徴収したロイヤリティを返金し、不当なライセンス契約により被った損害を賠償させるよう要求するとし、法的手段に訴える決定を下した、と発表した。
2006年の初め、フィリップスは、新規のライセンス方式として、CD‐Rのロイヤリティの金額を、一枚あたり0.045米ドルから0.025米ドルに引き下げるという表面上44%に達する大幅値下げを宣言した。しかし、実際のところ、フィリップスが収得するロイヤリティは、製品出荷価格の25%を占めるため、(一般に、ロイヤリティは商品販売価格の5%以下)業者の利潤はほとんどロイヤリティの支払いに消えてしまうのが現状である。台湾四大ディスク業者は、台湾情報記録技術協会(TISA)を通して反対声明を公開、発表したが、最終的には、やむを得ず新しいライセンス契約にサインする結果となった。その後2007年9月、四大ディスク業者は損失に耐え切れず、フィリップスに対し訴訟を起こす決定をした。
実際のところ、フィリップスは、台湾業者からはロイヤリティを徴収しているが、中国やインドからはロイヤリティを一銭も受け取っていない。このような深刻な差別待遇によって、台湾企業は他国の企業と公平に競争できなくなってしまう。こうした現状から台湾四大ディスクは連合して、フィリップスを起訴し、該社がライセンス機制を再度調整し直すよう期待している。