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台湾 知的財産裁判所と商業裁判所の合併が
立法院の初審を通過

 

【出典:中央社】 

 台湾の立法院(日本の国会に相当)司法及び法制委員会は20191028日に「商業事件審理法草案」、「知的財産裁判所組織法改正草案」の初審を通過させた。草案によると、知的財産裁判所と商業裁判所を合併して、専門の「知的財産及び商業裁判所」を設立し、合併後の裁判所は、高等裁判所の二級二審制を採用し、訴額が1億台湾元以上の紛争、公開発行企業の紛争、市場秩序に影響を与える重大な事件を取扱う。審理は専門の裁判官が行い、また弁護士強制主義を採用する。この新制度は早ければ2年以内に施行される見込みである。

 草案では、専門家証人制度を導入し、調停の前置手続きを採用し、罰則を規定し、重大な民事商業事件を審理することなどが盛り込まれた。全草案が立法院の初審を通過した後、次の段階では与野党間で協議や調整が行われる。

 商業紛争の裁判は迅速性、妥当性、専門性、判決の一貫性及び予見可能性などの要件を満たすことが求められることから、司法改革国是会議の第二組は、2017年に専門裁判所や法廷の設置の議題について、商業裁判所の設置を推進すべきとする決議を採択した。司法院は20193月に計81条からなる《商業事件審理法草案》を完成させた。

 立法院司法及び法制委員会は、司法院から提出された《商業事件審理法草案》を審査し、出席の立法委員(日本の国家議員に相当)と官僚の討論を経た後、初審を通過させた。初審を通過した条文のポイントは、重大な商業事件及び知的財産案件の審理効率を高めるため、専門裁判所を設置し、商業裁判所を高等裁判所レベルとして二級二審制を採用することなどである。

 「商業事件」の定義については、初審を通過した条文によると、「商業訴訟事件」と「商業非訴訟事件」に分け、商業裁判所の商業法廷が取り扱うとしている。

 初審を通過した条文では、商業訴訟事件の範囲について、会社責任者が業務執行する上で生じた会社との民事上の権利義務に関する紛争で、「訴訟物の金額又は価額が1億台湾元を超えるもの」、証券取引法、先物取引法におけるインサイダー取引や目論見書不実記載などで生じた民事上の権利義務に関する紛争で、訴訟物の金額又は価額が1億台湾元を超えるものなどの七種類が明確に定められている。

 また、この条文では、専門家証人制度、当事者照会制度を採用し、営業秘密に係わる場合、裁判所に「秘密保持命令」を発するよう申立てできること、当事者はオンラインシステムで書類を提出しなければならないことなどが規定されている。このほか、審判効率を高めるため、商業訴訟事件は、訴えを起こす前に商業裁判所の調停手続を経なければならないことや、当事者は弁護士又は弁護士資格を有する者に委任して手続行為をしなければならないことも定められている。

 営業秘密保持に関しては、初審草案の条文に関連の罰則が定められた。当法の秘密保持命令に違反した場合、3年以下の有期懲役、拘留に処し又は10万台湾元以下の罰金を併科することができる。なお、この部分は親告罪に属する。

 このほかに、専門家証人が商業裁判所の審判時に、事件に係る重要な事項について、宣誓したにもかかわらず虚偽の陳述をした場合、7年以下の有期懲役に処することができる。

 施行日については、初審を通過した条文には、司法院がこれを定めると規定されている。

 これ以外に、立法院司法及び法制委員会はこの日、知的財産裁判所組織法の改正草案も初審を通過させた。改正草案では名称を「知的財産及び商業裁判所組織法」に改め、将来的に、知的財産裁判所と商業裁判所が合併して「知的財産及び商業裁判所」なる。

 初審を通過した条文には、知的財産及び商業裁判所が審理する事件は、知的財産権に係る民事事件の第一審手続きを1名の裁判官が単独で審理する以外は、3名の裁判官の合議体により審理を行うことなども規定されている。

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