IPニュース | 知的財産裁判所

健全な管理こそ企業の営業秘密を守る道

近年台湾の製造業において離退職した従業員がもと勤務していた会社の秘密情報を盗み、新しく就職した企業に持参して使用した事件が何件か起きている。当該機密情報が極めて市場価値を有し、競争相手に研究開発の時間を短縮し、製造工程を更新させ、若しくは優良率を高める等正面的効果を有するため、機密情報を盗まれた会社に補い難い大きな損害を与えられる。

思うに、企業の機密情報を盗まれる大きなリスクの一つは離退職された従業員による。従業員が離職する前に既に競争相手とジョブホッピングの話を相談した対策は尚更会社の機密情報の保護の重要な鍵である。

機密情報を盗まれた会社は若し司法ルートに従って賠償を求めようとする場合、まず盗まれた情報は「営業秘密」に属することを証明しなければならない。しかし、あらゆる市場価値を有する情報はすべて営業秘密と認定されることではない。言い換えれば、企業が自社の営業秘密は侵害されたと主張する以前に先ず証明しなければならない。

台湾では営業秘密の保護に対して営業秘密法を定めて規範されている。その第2条によれば、「営業秘密とは、方法、技術、製造工程、処方、プログラム、デザイン若しくはその他生産販売又は経営に用いられる」等情報類型の外、下記要件に合致しなければならない。

1 該類情報は一般的に該類情報に関わっている人が知る者でない。2 その秘密性によって実在的又は潜在的経済価値を有するもの。3 所有者が既に合理的秘密保護措置を採られている。」

上記営業秘密の構成要件の規定によれば、会社は必ず先ず認定された情報に対して合理的な秘密保護措置を採ってはじめてこれら情報が営業秘密に属することを主張することができる。また一歩進んで営業秘密法第13-1条の規定によって(注)、行為者が営業秘密侵害で5年以下有期懲役の刑事責任を負うことを主張することができる。

従って、会社の機密情報に対して前もって合理的な秘密保護措置及び管理制度を採ることによって、営業秘密の外への漏泄を予防することができる一方、訴訟上攻防挙証の重点所在でもある。但しいったい如何なる管理措置を採られるべきか、若しくは如何なる管理制度を建てるべきか、初めて「合理的秘密保護措置」である。

若し会社が機密情報に対して秘密保護措置を行い、さらにこれによって営業秘密と認定する時、その前提はまず会社の市場競争の優勢がどこにあるかを先ず明確にさせばければならない。

即ち一体どんな情報が会社の市場競争の優勢を直接又は間接的に支持又は構築することができるか、そしてこれらの情報は経済的効益がある、かつ保護を加えるべきと認定することができる。

保護すべき機密情報を一々と点検したあと、進んで当該機密情報の生命の過程を分析し、当該情報(例えばKnow How)でいかに研究開発、生産、応用、ファイル管理、使用許諾などを包括する。さらに生命過程によって分析した結果に基づいて、対応するコントロールする措置を制定する。

例えば、製薬工場が薬剤の研究開発を行う場合、研究開発部門の研究開発プロジェクト会議からはじまり、研究開発記録簿の記載、各段階の研究開発成果の実験データ等まで、特許権を取得する前に、やはり会社の重要な機密情報に属する。実体の紙本か、若しくはデジタルファイルかを問わず、その権限及び保存はともに厳格の管理統制を取らなければならない。最後の生産段階で、処方、比例及び混合流動速度等データをUSBまたはインターネットで自動化生産設備にアップロードし、当該デジタルファイル自体及び生産設備中の設定ファイルは共に厳格に管理すべき機密情報に属する。

従って、機密情報の生命過程を点検したあと、進んで使用及び保管の管理規範を設計し、かつ、必要な物理管理環境で補助したあとも、必要な管理制度の監査をとり行い、もって諸管理規範が適切に執り行う及び従うことを確保しなければならない。

尤も、注意すべきことは本年11日から施行された公開発行会社の内部統制制度処理準則第7条第1項第8号改正規定によれば、知的財産権の取得、維持保護及び運用等政策を研究開発循環の内部統制の中に組み込まなければならない。

企業は直ちに営業秘密の管理状況について差異的分析及び評価を行い、並びに管理制度の建立又は調整のベースとしなければならない。さもなければ企業の知的財産権は既にうまく維持、保護されているとは認められがたい。企業及びその責任者の民刑事法律上のリスクも有効にコントロールすることが難しい。

(注)営業秘密法

13-1

自己または第三者の不法の利益を意図し若しくは営業秘密所有者の利益を損害する意図のため、次に掲げる事情の一を有する場合、5年以下の有期懲役又は拘役を処し、新台湾ドル100万元以上、1000万元以下の罰金を併科することができる。

1)窃取、横領、詐術、脅迫をもって勝手に再製し若しくはその他不正な方法で営業秘密を取得して使用し、漏泄したとき。

2)営業秘密を知っている若しくは持っているが、授権されずに若しくは授権の範囲を越えて再製使用し、若しくは当該営業秘密を漏泄したとき。

3)営業秘密を持っていて、営業秘密所有者により営業秘密を削除、廃棄すべくと告知されたあとでも、削除、廃棄しなかったとき。

4)他人の営業秘密であることを明らかに知っている若しくは持っているが、前記3号に定めた情報があってそれを取得し、使用し、若しくは漏泄したとき。

2 前項の未遂犯はこれを罰する。

3 罰金を科するとき、若し犯罪行為者の所得は罰金の最高額を超えたとき、所得利益の三倍範囲内に酌量して加重することができる。

Top  
 
 
  11th F1., 148 Songjiang Rd., Taipei, Taiwan | Tel : 886-2-2571-0150 | Fax : 886-2-2562-9103 | Email : info@tsailee.com.tw
© 2011 TSAI, LEE & CHEN CO LTD All Rights Reserved
   Web Design by Deep-White
Best viewed with IE8.0 or higher with 1024*768 resolution