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侵害訴訟容認の判決確定後の無効審決確定審決での再審請求が知的財産裁判所に認められません~知的財産裁判所102年民専上再字第4号判決~

 知的財産案件審理法が2008年に施行された以降、特許権侵害訴訟を審理する民事裁判所は、特許権に無効理由があるか否かについて判断することができるので、特許権侵害訴訟の被告が特許無効の抗弁及び特許権無効審判で当該特許の有効性を争うことができる。然るにダブルトラック制度を採る我が国では判断権者間において同一無効理由に係わる判断が齟齬を発生する可能性がある。例えば侵害訴訟容認の判決確定後、無効審決が確定審決になる場合には、特許権侵害訴訟の被告が再審請求をすることができるか否か。台湾の現行法には、日本特許法104条の4のような禁止規定がないので、上記のような再審請求の可否が問題になる。この問題に対して、学説上の対立があるが、最近知的財産裁判所102年民専上再字第4号判決は再審請求を棄却する旨を行った。

 再審請求を賛成する学説によると、無効審決に遡及効(台湾特許法第82条第3項)があるので、この状況は「判決の基礎となった民事、刑事、行政訴訟判決及びその他の裁判又は行政処分が、その後の確定裁判又は行政処分によって変更されたとき」という台湾民事訴訟法第496条第1項第11号所定の再審事由に該当する。これに対し、再審請求に反対する学説によると、再審請求を認めれば、訴訟経済原則及び法的安定性に反する。上記知的財産裁判所の判決は後者の学説を採用した上、更に特許侵害訴訟容認の判決の基礎は特許権という行政処分ではなく、裁判所が特許の有効性に対する独立な判断であるという旨を述べ、再審請求を棄却した。

 但し、無効審決に遡及効があるので、無効審決確定審決後、特許侵害訴訟を行った際にも、その特許権がないと見なされるべきである。特許権がなければ特許侵害もないはずである。上記の裁判の「特許侵害訴訟容認の判決の基礎は特許権という行政処分ではない」という見解はロジックに反すると考えられる。なお、台湾の現行法には、日本特許法104条の4のような禁止規定がないので、上記知財裁判所の見解は現行法に反するものと見なされる恐れがあります。この裁判は最高裁判所及び他の裁判所に認められるか否かは、観察すべき課題である。

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