IPニュース | 知的財産裁判所

知的財産裁判所が判決で「多数の引用文献で進歩性を判断できる」との見解を示す

【連邦代理案件ニュース】

 知的財産裁判所は20141218日に、全家便利商店(日本語でファミリーマート。以下「全家」と略称する)と知的財産局との、全家の出願した「Method for Buying Variable Points (バリアブルポイントの購入方法)」の特許性をめぐる争いで、103年度行専訴字第75号判決を下した。判決の結果は、全家の出願した購入方法の進歩性を認め、一般の先行技術から容易に完成できるものではないとし、知的財産局は出願番号第96132800号の「Method for Buying Variable Points」特許出願を特許査定にすべきとの判決を下した。

 

一、事実の概要

1. 全家は200793日に知的財産局に特許出願した。請求項は21項、出願番号は第96132800号で、審査の結果、拒絶査定となった。

2. 全家はこれを不服として、2012224日に再審査を請求するとともに、特許請求の範囲の補正書を提出した。知的財産局は審査した後、2013730日付(102)智専三()04206字第70221008150号審査意見通知書により、拒絶理由を通知した。

3. 全家は意見書を提出したが、知的財産局は2014114日付(103)智専三()04206字第10320046010号再審査拒絶査定書により、当該出願に拒絶査定の処分を下した。

4. 全家は訴願を提起したが、経済部は2014625日付経訴字第10306105980号により棄却した。

5. 全家はこれを不服とし、行政訴訟を提起した。

 

二、事件の争点:係争特許出願は、進歩性があるか否か。

三、判決のポイント

1. 知的財産裁判所の意見

  台湾の特許法第22条第2項の規定によれば、発明が、当該技術分野における通常の知識を有する者が出願前の先行技術に基づいて容易に完成できるときは、特許を受けることができない。つまり特許には進歩性が欠かせない。進歩性の判断は、まず先行技術を基礎としなければならず、ポイントは発明又は創作と先行技術との相違点を容易に達成できるか否かである。その相違点を認定するときは、その構成要件に対して個別に考慮するのではなく、出願に係る発明又は創作の全体を判断しなければならない。したがって、発明が進歩性を備えているか否かの判断は、1つ又は複数の引用文献をもって判断することができ、これと、ただ1つの書類をもって認定する新規性の判断方法とは異なる。

2. 全家が出願した「Method for Buying Variable Points」の技術的特徴は、消費者が購入金額を任意に指定でき、そのチャージパスワードは、ゲームの名称及び指定購入金額等のデータに基づく必要があり、そのデータに対応して生成されるというものである。これは、知的財産局による当該発明が「ゲーム名称と指定購入金額を確認した後、物流サーバーがチャージパスワードを生成して電子装置に送り返す」従来技術であるとした元の認定とは異なる。つまり、係争特許出願は、従来技術の組み合わせによって導き出されたものではないため、裁判所は、当該発明の進歩性を認め、専利法第22条第2項に規定された「当業者が出願前の技術に基づいて容易に完成できるもの」ではないとした。

 

全家が出願した発明は、ゲームポイントを任意の金額で購入する方法の提供であるが、任意の購入金額を入力した後、消費者は後続のチャージのためのチャージパスワードを取得するのみで、任意の購入金額を入力した後、同時に消費者のアカウントに対しチャージ動作を行うものではない。この特許と、既存の取引方法とは異なるため、知的財産局による当該発明の相違点は単に商品にのみあるとの認定を採用しなかった。

Top  
 
 
  11th F1., 148 Songjiang Rd., Taipei, Taiwan | Tel : 886-2-2571-0150 | Fax : 886-2-2562-9103 | Email : info@tsailee.com.tw
© 2011 TSAI, LEE & CHEN CO LTD All Rights Reserved
   Web Design by Deep-White
Best viewed with IE8.0 or higher with 1024*768 resolution