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特許協力条約実施細則の改正

 第44回特許協力条約(PCT)同盟国総会において、PCT実施細則の一部改正草案が可決されたとともに、国際機関の品質関連業務、PCTの一部改革議題などの内容について討論が行われた。また、総会では、ウクライナ特許庁をPCT国際調査機関及び国際予備審査機関に指定する議案が可決された。
 統計によると、PCTに基づく国際出願件数は上昇を続けている。PCTは、出願人が世界各国に特許出願するのに非常に役立つだけでなく、統一フォーマット及び国際調査報告により各国特許庁の重複作業が軽減され、特許出願人にとって多くのメリットがある。「特許協力条約」及びその実施細則は1970年の締結以来、3回の条約改正と30回余りの実施細則改正を行ってきた。今回のPCT同盟総会では「トップアップサーチ」及び「国際公開の日から、国際調査機関が作成した見解書を取得できる」の二つの実施細則改正案が討論され可決された。

一、トップアップサーチ

 トップアップサーチは、国際予備審査機関が、国際調査報告書の作成後に公開された又は予備審査機関が取得可能となった資料を発見するために、審査過程において行う調査のことである。国際予備審査機関が現在のITシステム及び内部の手続フローを更新するのに係る時間を考慮して、改正は201471日から発効するものとし、且つその日又はその後国際予備審査請求する国際出願にのみ適用される。
 トップアップサーチには以下の実質的メリットがある。
 (一)国際予備審査機関からすると、トップアップサーチは国際調査段階ではまだ取得可能でない文献を補充検索することができるため、国際予備審査機関の手続がより完備化され、審査結果もより包括的なものになり、国際予備審査報告の質向上に繋がる。
 (二)出願人にとっては、トップアップサーチで検索された文献が、出願の特許性に影響を与える可能性がある。国際予備審査段階でこの問題が発見されれば、出願人は国際段階で出願書類の補正を完成させることができ、新たに検索される文献により生じる可能性のあるリスクを克服しておくことで、国内段階移行後の作業が軽減され、その作業に付随する費用も生じなくなる。
 (三)各国の特許庁にとっては、国際予備審査報告の質が向上することにより、各国特許庁の該報告の利用率がより高くなり、国内段階での重複審査作業が軽減される。
 PCT実施細則の改正案が可決された後、WIPOはトップアップサーチ導入にあたり、「PCT実施細則」及び「PCT国際調査及び予備審査ガイドライン」について更に修正を加えていく。

二、国際公開の日から国際調査機関が作成した見解書が取得可能

 現行の規定では、特許代理人と指定国特許庁は優先権日から30か月経過しないと国際予備審査報告書を取得できなかったが、改正後の規定では、国際公開の日から、如何なる者もデータベースPATENTSCOPEから国際調査機関が作成した見解書(元の言語)及び出願人が応答時に提出した非公式の意見書(元の言語)を取得できる。報告書の取得時期が1年早くなるのである。新規定は、201471日に発効し、201471日以降(その日を含む)に提出された国際出願にのみ適用される。
 この改正はPCT手続の透明性を高め、出願人以外の関係者が案件の審査結果を即時知ることができ、検索結果を有効的に利用できるメリットがある。指定国特許庁にとっては、国内段階で早めに見解書を利用することで必要のない重複作業を減らすことができ、特許代理人にとっては、より早く、ある国際出願の検索及び審査状況を理解することで、それに応じた対策を即時取ることができる。
 このほか、総会では、ウクライナ特許庁が国際調査機関及び国際予備審査機関として選定された。その有効期間は、協議の日から起算して20171231日までとなっている。
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