IPニュース | 知的財産裁判所

「青啤」商標は生啤酒(生ビール)と容易に誤認、最高行政裁判所の判決により不登録が確定 

 台湾青啤株式会社は2008915日に、当時の商標法施行細則第13条に定める商品及び役務区分表第33類の商品を指定商品として、知的財産局に「青啤」商標の商標登録出願をした。知的財産局の審査の結果、2012430日に、商標登録出願を拒絶すべきとして(第338576号査定書)、拒絶査定の処分が下された。台湾青啤会社はこれを不服として、訴願を提起したが、2012725日に知的財産局の処分を維持する決定が下された(訴字第10106109630号)。台湾青啤会社はこれを不服として、行政訴訟を提起した。一審の知的財産裁判所では、訴願の決定及び原処分をいずれも取消し、知的財産局に出願第097043250号「青啤」商標登録出願に対し、該判決の法的見解に基づき別途処分を下すことを命じる判決が下された。知的財産局はこの判決を不服として、上訴した(原審理で台湾青啤の訴えは一部棄却となったが、棄却部分については、上訴しなかったため、確定となった)。
 一、知的財産局が2013430日に発行した拒絶査定通知書((101)智商40295字第10180235170号の第0338576号)及びその後の訴訟で主張した拒絶理由は以下の通りである。
 本件商標図の「青啤」の2文字は、登録地である台湾の方言(即ち台湾語又は閩南語)では「CHI-A BAY」或「CHI-A MEH AH」と発音され、「生啤酒(生ビール)」の意味を有し、業者のいう「生啤酒(生ビール)」は発酵を経ないビールを指しており、発酵を経たビールと区別される。本件については商標権属地主義の原則に基づき、係争商法について登録地の大多数の人が使用する「台湾語方言」における「青」の発音及び意味も含めて斟酌するべきである。「青」の文字の台湾語の発音である「CHI-A」は、「生」又は新鮮を意味し、該「CHI-A」の音を「啤酒」と組み合わせると、「CHI-A啤酒」即ち「生啤酒(生ビール)」を意味する。「CHI-A啤酒」は、台湾の一般的な社会通念からすると、商品そのものの説明であり、商品叙述の性質を有している。出願人が「青啤」を商標として、指定商品である「薬味酒、ブランディ、ウィスキー、ウォッカ、果実酒、カクテル、清酒、高粱酒、白ワイン、赤ワイン、ぶどう酒、梅酒、米酒、リキュール、各種酒(ビールを除く)、アルコール飲料(ビールを除く)」に使用したとき、商標が表彰する商品の性質について生ビールであると一般消費者に誤認誤信を生じさせる虞があるため、自ずと商標法第23条第1項第11号の規定が適用される。
 二、台湾青啤の主張
 1.「青啤」の2文字は、指定商品に使用するとき、それ自体特殊な意味などなく、関連消費者に商品の性質、品質又は産地などの重要な特性に関する如何なる説明も与えるものではなく、その購買意欲にも影響しない。したがって、係争登録商標は明らかに「公衆に商品の性質、品質又は産地について誤認を生じさせる」虞はない。
 2.台湾青啤は他にも数件、いろんな商品や役務において「青啤」商標を登録している。それには知的財産局が、商品説明又は商品の性質、品質又は産地について公衆を誤認誤信させる虞はないと認定した「青啤」の代表である「生啤酒(生ビール)」商品及び「生啤酒(生ビール)」とは関連のない多くの商品や役務も含まれており、既に登録査定されて今日に至っている。例えば、知的財産裁判所が992010)年に登録を許可した「啤児」商標(行商訴字第171号)や、台湾青啤の他の出願で第32類ビール、アルコールを含まない飲料等を指定商品とした第1364815号「黒啤児」商標や、既に登録されたが3年未使用のために取消となった第1205277号「青啤及び図」商標や、台湾青啤の関連企業が所有する出願第1095631号「維士比青啤」商標がある。
 三、一審の知的財産裁判所が(事件番号:1012012)年度行商訴字第141号)20121227日に知的財産局敗訴の判決を下した理由は次の通りである。
 係争商標「青啤」はその使用について、ビール類商品を指定しているのではなく、アルコール度数の比較的高い酒類を指定しており、例えば規模の大きい量販センターや小さいコンビニなどの小売店などといった売り場の形式に関わらず、いずれも同じような種類の商品が置かれており、消費者が選択購入するときに、係争の登録商標が表彰する商品が置かれている商品エリアにあるその他の異なるメーカーの酒類商品から、生ビール類商品に属するか否かを自然に判断でき、しかも酒類商品の包装は、特殊性があって、瓶のふたや瓶そのものの設計及び材質で見分けることができ、比較的高価格な酒類商品は、その箱の包装に価値がはっきりと表れている。一方ビール類商品は、比較的低価格で、開封後は保存がきかず、即刻飲み終わる必要があるという特性のため、商品の保管場所もそのほかの酒類商品とは異なり、消費者は購入する商品がビール類商品でない酒類商品であるか否かを簡単に識別することができ、係争商標が「青啤」であるというだけで、購入する商品が生ビール類商品であると誤認誤信してしまうことはない。
四、二審の最高行政裁判所が(事件番号:1022013)年度判事第384号)2013625日に一審判決を棄却とする判決を下した理由は次の通りである。
 1.係争商標自体の図や文字の外形、観念又は読み方が一般の消費者や公衆に与える印象に観察を加えると、係争商標が表彰する商品がビール類である可能性が生じないとは言い難い。原審理での、消費者が選択購入するとき、係争の登録商標が表彰する商品が置かれている商品エリアにあるその他の異なるメーカーの酒類商品から、生ビール類商品に属するか否かを自然に判断でき、しかも酒類商品の包装は、それぞれ特殊性があって、係争商標が「青啤」であるというだけで、購入する商品が生ビール類商品であると誤認誤信してしまうことはないという部分について、一般消費者の立場でない場合、商標自体の図や文字等全体的な外観、観念又は読み方の人に与える印象が商品又は役務の性質、品質又は産地について誤認誤信を招くか否かの可能性に観察を加えるというのは、適当でない。
 2.係争商標は単純な「青啤」の2文字をもってその商標図とし、その使用を前述の非ビール類及びアルコール濃度の高い酒類商品に指定するが、一般消費者に係争商法が表彰する商品の性質について生ビールであると誤認誤信を生じさせる虞があるため、前述の商標法第23条第1項第11号の規定が適用される。
 結論:「青啤」は「生啤酒(生ビール)」と容易に誤認され易いため、拒絶査定処分維持の判決が下され、これにより全案件は確定した。
 
Top  
 
 
  11th F1., 148 Songjiang Rd., Taipei, Taiwan | Tel : 886-2-2571-0150 | Fax : 886-2-2562-9103 | Email : info@tsailee.com.tw
© 2011 TSAI, LEE & CHEN CO LTD All Rights Reserved
   Web Design by Deep-White
Best viewed with IE8.0 or higher with 1024*768 resolution