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元従業員による営業秘密漏洩は最高懲役10年、罰金は得た利益の10倍

 台湾では近年、台積電(TSMC)の従業員が韓国のサムソンにヘッドハンティングされたり、聯発科(MediaTek)と晨星(MStar)の合併前に、従業員が営業秘密を晨星に持出したり、友達(AUO)の従業員が中国の企業華星(CSOT)に移籍したり、またアメリカの康寧(Corning)の営業秘密が窃取されたり等の事件が起きている。

 こうした営業秘密侵害事件がしばしば発生したことで、与野党から現行法制度では不十分であるとの声が上がっていた。そこで、立法院司法委員会と経済委員会で20121125日に、営業秘密を侵害する者に対し、刑事責任を追加し、海外への営業秘密漏洩は加重処罰し、最高で懲役10年、罰金は最高で得た利益の10倍とする規定が盛り込まれた「営業秘密法増訂部分条文草案」が初審を通過した。

 営業秘密法の追加条文の中で、国内部分について「自己もしくは第三者の不法な利益を意図した、又は営業秘密所有者の利益を損害することを意図した営業秘密の窃取、不法占拠、不法取得あるいは漏洩を含む行為は、五年以下の懲役または拘留に処し、100万新台湾ドル以上、1000万新台湾ドル以下の罰金を併科することができる。犯罪により得た利益が罰金の上限である1000万新台湾ドルを超えた場合は、得た利益の三倍の範囲内で加重することができる。」と規定した。

 海外部分については、営業秘密を国外(中国、香港またはマカオ等の地域を含む)で使用する意図がある場合、加重処罰され、1年以上10年以下の懲役が科せられ、100万新台湾ドル以上、5000万新台湾ドル以下の罰金を併科することができる。但し、得た利益が罰金の上限である5000万新台湾ドルを超えた場合、得た利益の2倍から10倍の範囲内で加重することができる。

 比較的特別なのは、国内の秘密漏洩は親告罪なのに対し、外国に漏洩した場合は、親告罪ではないことである。

 法務部は更に「離職した従業員が海外へ転職した場合、台湾は現在ほとんどの国と関連条約を締結していないため、司法の互助メカニズムと個別案件協力の方法により努力するしかないが、中国に関しては、既に司法の協力ルートがあるので、海峡両岸犯罪共同取締りおよび司法相互協力協議に基づき、犯罪収益を差押えることができる。」と説明した。

 

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