事務所情報 | 出版物品 | 2019年 6月
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立法院の三読会を通過
セットトップボックスの著作権侵害で
最高2年以下の有期懲役

 

 【出典:知的財産局ウェブサイト、中央社】

 2019416日著作権法の一部条文の改正案が立法院の三読会を通過した。改正条文では、不法コンピュータプログラムの提供者がセットトップボックス(Set Top Box、以下「STB」という)又はAPPを利用して、ユーザーに違法な映像・音楽コンテンツを視聴できる著作権侵害サイトにアクセスさせた場合、2年以下の有期懲役若しくは最高50万元以下の罰金に処し、又はこれらを併科するといった刑事責任が課せられる。

 今回の改正は、新興技術から派生した権利侵害の形態に対応するため、法律を制定して、悪質で深刻なインターネットの権利侵害問題を効果的に抑制することが狙い。民進党の蘇震立法委員ら18人の立法委員による改正案の提出説明では「近年、違法な映像・音楽コンテンツを視聴可能なウェブサイトにアクセスできる便利な手段を民衆に提供する様々な新興のデジタル著作権侵害の形態が出現している。例えば、一部のSTBには、ユーザーが著作権侵害サイトにアクセスして違法な映像・音楽コンテンツを視聴できるコンピュータプログラムが内蔵又は設定されていたり、APPでは、インターネットプラットフォーム上において、民衆がタブレットPC、携帯電話などにダウンロードした後、それを利用して違法な映像・音楽コンテンツを視聴できるものが販売されている。事業者は許諾を得ずに月額利用料を徴収し又はSTBを販売するといった方法で暴利をむさぼっており、著作権者や合法的に使用許諾を取得しているOTT業者の権益に深刻な損害を与え、更には台湾のコンテンツ産業の発展に影響を及ぼしている。

 この種のSTB業者又はAPP業者は、ユーザーに映像・音楽コンテンツ見放題、永久無料を明示又は暗示し、ケーブルテレビの月額利用料の支払い不要などキャッチフレーズを用いて、ユーザーに当該コンピュータプログラムを利用して著作権侵害サイトにアクセスするよう誘導や扇動して、広告費や月額利用料を徴収したり、販売利益を獲得したりしている。このような行為は、著作権者の合法的な権益を著しく侵害し、更にコンテンツ産業の発展に影響を及ぼすため、文化創意産業とコンテンツ産業の健全な発展を促進するために、悪意のある権利侵害行為を適切に規制すべきである。」ということが指摘された。

 立法院経済委員会は、2019327日に著作権法一部条文改正草案の審議を行った。出席した立法委員及び官僚が議論した後、本改正案は合意に達し、初審を通過した。

 立法委員が提出した改正草案では、以下の3種類の行為が著作権侵害行為として追加された。行為者は民事責任として損害賠償責任を負うほか、刑事責任として2年以下の有期懲役若しくは最高50万元以下の罰金に処され、又はこれらが併科される。

 一、違法な映像・音楽へのリンクをまとめたAPP(台湾で「追劇神器」と呼ばれている)をgoogle playストア、アップルストア等のプラットフォーム又はその他のウェブサイトで販売し、民衆がそれをダウンロードして使用できるようにする行為。

 二、コンピュータプログラムを直接提供していないが、公衆がコンピュータプログラムをダウンロードして使用できるように、指導し、協力し或いは予め仕組みを設定する行為。例えば、STBには前記のAPPが内蔵されてないが、民衆にそれをインストールするよう指導し又は協力すること、又はSTB内に民衆がインストールして使用できるような仕組みを予め設定すること。

 三、前記のコンピュータプログラムが組み込まれた設備又は器材を製造、輸入又は販売する行為。例えば、この種のAPPを内蔵したSTBを製造、輸入又は市販すること。将来的に、自身が販売するSTBが違法にコンテンツにアクセスできるものであることを知りながら販売し続けた場合も違法となる。

 悪質な業者がケーブルテレビの月額利用料無料又は永久支払い不要などのキャッチフレーズで消費者に多数の違法コンテンツにアクセスできるSTBの購入を扇動していることから、改正草案では、このような悪質性が高いSTB又はAPPの取締りに焦点が当てられた。但し、科学技術の中立原則に基づき、違法にコンテンツにアクセス可能なAPPを内蔵していない携帯電話、タブレットPC、又は合法的なOTTSTB等の装置はこの影響を受けない。また、この種のSTB又はAPPを既に購入した民衆は法律違反にあたらないが、この種のSTB又はAPPが提供するコンテンツは違法であり、随時取り締られ配信が遮断される可能性があるため、知的財産権財産局は、出所不明のSTBを購入しないよう民衆に呼びかけている。

 全改正案が委員会の初審を経過する時、召集委員は政党団体の協議を経る必要がないと決定し、416日の立法院院会の議論事項に組み込んだ。与党と野党の立法委員ともに意見がなかったため、当日三読会を通過した。

 

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