事務所情報 | 出版物品 | 2018年 9月
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北京知識産権法院
「TWITTER」と「推特」の商標は類似と認定


 【出典:中国知識産権報】

 同一の区分に属する、英語と中国語の2つの商標は類似にあたるか?両者の併存は、関連公衆に役務の出所について誤認または混同を生じさせるおそれがあるか?2018412日に北京知識産権法院は、以下の二つの商標の紛争について、南通百泰生物科技有限公司(以下、百泰公司という)の訴えを退け、商標評審委員会(以下、商評委という)が下した被異議申立商標の登録を認めないとの復審決定を維持する一審判決を下した。

 中国語と英語の商標は類似に当たる

 米ツイッター社は20071026日に引用商標の登録出願をし、2010528日に、電子メール、コンピュータ端末による通信など第38類の役務への使用について登録が許可された。

 20091211日、南通共贏天下貿易有限公司(のちに企業名称を現在の百泰公司に変更)は、情報伝送、コンピュータ端末による通信、電子メールなど第38類の役務を指定して被異議申立商標の登録出願をした。商標局は審査して、20101213日に、被異議申立商標に対し初審査定をし、その旨を公告した。その後、商標局の許可を経て、被異議申立商標の出願人の名義が百泰公司に変更された。

 2011311日、米ツイッター社は、被異議申立商標に対して「被異議申立商標は引用商標と同一または類似の役務に使用される類似商標に該当する」と主張し、商標局に異議申立を提出した。審査した結果、商標局は20121022日に、被異議申立商標の登録を認めない裁定を下した。

 百泰公司は商標局の裁定を不服として、2012123日に、商評委に「被異議申立商標は引用商標と同一または類似の役務に使用する類似商標に当たらず、米ツイッター社が提出した証拠は、引用商標が被異議申立商標の登録出願日前に、既に中国で高い知名度及びより大きな影響力を有することを証明するに足りるものでなく、しかも被異議申立商標の文字「推特」(訳注:ツイッターの中国語音訳としてよく使われている)と引用商標の文字「TWITTER」とは、唯一の対応関係にあるのではないと主張して、復審請求を提出した。

 審査した結果、商評委は20131126日に、被異議申立商標の指定役務は、引用商標の使用が許可された役務と同一または類似の役務に属し、被異議申立商標の文字「推特」は引用商標の文字「TWITTER」と称呼において似ており、また米ツイッター社が提出した証拠は、「推特」が英語の「TWITTER」の中国語訳として既に中国の関連公衆に認知され対応関係も形成されていることを証明することができ、被異議申立商標と引用商標が上記役務において併存すると、関連公衆に混同または誤認を生じさせるおそれがあるため、被異議申立商標は引用商標と同一または類似の役務に使用される類似商標に当たると判断して、被異議申立商標の登録を認めない裁定を下した。

 百泰公司は、商評委が下した上記裁定を不服として、その後、北京知識産権法院に行政訴訟を提起した。

▓ 法院は強い対応関係が存在すると認定

 百泰公司は、「引用商標の「TWITTER」の意味は「鳥のさえずり」で、元々ある言葉であるが、被異議商標の「推特」は中国語に元々ある言葉ではなく、百泰公司が特産品を販売する電子商取引プラットフォームサイトを開設する時に、「推銷土特品(特産品を販売する)」を要約し、簡略化して創った造語であるため、両者の意味は完全に異なる。称呼の点においては、被異議申立商標と引用商標はある程度類似しているが、唯一の対応関係にあるのではない。また、米ツイッター社は、引用商標の登録出願をしてから2014113日までの間、社名の中国語音訳としてずっと「特維特」を使用しており、このことから、米ツイッター社が「推特」を「TWITTER」に対応する中国語の音訳であると考えていなかったことが分かる。同時に、米ツイッター社は2014年に中国市場への参入計画がないことを明確に表示していることから、引用商標は、2014年の時点で中国で実際に使用されたことがないことが分かる。」と主張した。

 法院は、審理した結果、「被異議申立商標の指定役務は、引用商標の使用が許可された役務と、同一または類似の役務に当たる。同時に、被異議申立商標と引用商標の文字の発音は非常に似ていて、前者は後者の簡潔な音訳で、両者は比較的強い対応関係を形成しており、被異議申立商標と引用商標が同一または類似の役務において併存すると、関連公衆に役務の出所について誤認又は混同を生じさせるおそれがある」とした。

 つまり、法院は、被異議申立商標が引用商標と同一または類似の役務に使用される類似商標に当たると判断した。そのため、一審の法院は百泰公司の訴えを退ける判決を下した。

 百泰公司は一審判決を不服として、北京市高級人民法院に、「商標権の保護範囲と保護強度は当該商標の識別性及び知名度と比例すべきで、外国語商標の保護範囲を任意に拡大することはできない」と主張して、上訴を提起した。百泰公司側の考えは、「米ツイッター社は、証拠を示して被異議申立商標の登録出願日前に中国語の「推特」について商標的使用をしたことを証明しておらず、引用商標が馳名商標に該当することも証明できないため、引用商標に対する保護はその中国語の訳名にまで拡大すべきではない」である。

 中国の法院によるこの種の中国語・外国語の訳名が類似商標に当たるか否かの判断については、今後も引き続き注目する必要がある。

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