中国最高人民法院が「喬丹」
商標案件の判決を宣告

　中国最高人民法院は2016年12月8日に再審申立人Michael Jeffery Jordan氏が被申立人国家工商行政管理総局商標審判委員会、一審第三者喬丹体育股份有限公司に深くかかわっている商標争議行政紛争案件10件について公開判決を宣告した。Michael Jeffery Jordan氏が中国文「喬丹」に対して姓名権を享有し、中国式表音ローマ字「QIAODAN」、「qiaodan」については姓名権を有しないと判決した。

　最高人民法院審判委員会で討論を経て決定を下し、判決はこのように認定している。「喬丹」商標にかかわっている3つの案件に関して争議商標の登録は再審申立人が「喬丹」に対して享有する先姓名権を損害し、商標法「商標登録出願は他人現有の先権利を損害してはならない」に関する規定に違反しているので、取り消さなければならない。故に、商標審判委員会が作成した訴えられた裁定及び一、二審の判決を取り消し、商標審判委員会が争議商標に対して改めて裁定を行うよう判決した。

　中国式表音ローマ字「QIAODAN」に関する4つの案件及び中国式表音ローマ字「qiaodan」並びに関係図形で組み合わせた商標の3つの案件、合計7件の案件に関しては、再審申立人が表音ローマ字「QIAODAN」、「qiaodan」に対して姓名権を享有しないため、争議商標の登録が再審申立人の先姓名権を損害していない。争議商標も商標法に規定された「社会主義道徳風習を害し、又はその他の悪影響を及ぼすもの」。「欺瞞の手段又はそのほか不正手段で登録を取得するもの」の状況に該当しない故、二審判決維持、再審申立人の再審申立を却下する判決を下した。

　中国最高人民法院はこのように指摘している。商標法の関連規定を適用するに当たり、自然人が特定の名称について姓名権の保護を主張する場合、その特定の名称は下記3つの条件に合致しなければならない。

1.当該特定名称は中国において一定の知名度を有し、関係する大衆に知られている。

2.関係する大衆が当該特定の名称を使用して当該自然人を指して呼んでいる。

3.当該特定名称は既に当該自然人との間に安定した対応関係を樹立している。

　「言語と文化等方面の差異及び呼称に利するため、中国の関係する大衆が通常外国人の外国文姓名の部分的中国語の訳名で、当該外国人を代表的に指し、呼称する習わしとなっており、その完全の姓名の中国語訳名を使用しない。さらにはその完全の姓名の中国語訳名を了解せず、なじまない。従って「3つの案件中、再審申立人の主張する中国文『喬丹』にせよ、商標審判委員会が訴えられて裁定を行った中、誤った再審申立人の全名の認定された『邁克爾・喬丹』にせよ、実質上ともに再審申立人の部分的中国文訳名であるが、共に関係する大衆に再審申立人を呼称及び代表的指すことに用いられる。」

　本案現有の証拠では、中国文「喬丹」が中国において比較的に高い知名度を有し、関係する大衆に知られ、関係する大衆が通常中国文「喬丹」をもって再審申立人を代表的に指す。かつ、中国文「喬丹」が既に再審申立人との間に安定した対応関係を形成しているゆえ、再審申立人は中国文「喬丹」について姓名権を享有することを十分証明できる。

　再審申立人Michael Jeffery Jordanはアメリカ著名なバスケットボール選手である。一審第三者喬丹公司は中国では比較的高知名度を有するスポーツ用品の企業で、国際分類第25類、第28類等商品又は役務において「喬丹」、「QIAODAN」等登録商標を有する。喬丹公司の多くの商標に対し、再審申立人は商標審判委員会に対し、取り消しの申し立てを提出し、商標審判委員会はすべて裁定でそれらの申し立てを却下した。再審申立人は不服して行政訴訟を提起した。2015年再審申立人は北京市高級人民法院が作成した68件の商標争議行政紛争案件の二審判決に不服して最高人民法院に再審を申し立てた。2015年12月最高人民法院は法にもとづいて今回公開宣告された10件の案件の再審理を裁定し、そしてその他8件の審査を中止すると裁定した。同時に最高人民法院は法によって再審申立人が別の50件の再審申し立てを裁定で却下した。

　多くの国内外マスコミの記者、当事者の代表及び社会大衆、関係する国の中国駐在使節及びWIPO等国際組織の代表が判決の宣告を傍聴した。判決宣告後、当該案件の判決書全文は中国裁判文書のネットに掲載された。