事務所情報 | 出版物品 | 2015年12月
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台湾知財法院判決:トランク類商品に使用される台湾商標Rowanaがドイツの先登録商標Rimowaと類似

当事務所はこの民事訴訟のドイツのRimowa商標権者の訴訟代理人である。Rowana商標を付されたトランク類商品が台湾で市販されていることを発覚され、消費者にとって混同誤認する虞があると見て台湾知財法院に対し民事訴訟(案号:103年度民商訴字第40号)を提起した。知財法院は201582日付け判決で被告台湾Rowana社が敗訴、原告ドイツRimowa社に対し新台湾ドル335万元あまりの賠償を命じる判決を下した。この判決に対し、両方当事者はいずれも上訴を提起することができる。

 ここに原告及び被告各々の登録商標の詳しくは下記の表の通り。

 

原告(ドイツ商・Rimowa社)

被告(台湾商・Rowana社)

商標態様

登録番号

446263

1621829

(商標異議申立審理中)

出願日

198885

2013731

登録日

1989616

2014116

指定商品

スーツケース、ハンドバック、手提げ袋、化粧箱、旅行用トランク。

カバン、リュックサック、トランク、スーツケース、旅行用トランク、旅行用衣物袋、手提げ旅行用トランク、手提げ袋、登山用袋、化粧箱、車輪付き買物袋、ベビー用品袋、ペット用品袋、ヨガ運動用袋、ズック背嚢。

商標態様

登録番号

442894

1563171

(商標取消審判審理中)

出願日

19881126

201276

登録日

1989516

201321

指定商品

撮影器材入れ箱、袋

カバン、リュックサック、トランク、スーツケース、旅行用トランク、旅行用衣物袋、手提げ旅行用トランク、手提げ袋、登山用袋、化粧箱、車輪付き買物袋、ベビー用品袋、ペット用品袋、ヨガ運動用袋、ズック背嚢。

商標態様

 

登録番号

1608889

(商標異議申立審理中)

出願日

2013430

登録日

20131116

指定商品

カバン、リュックサック、トランク、スーツケース、旅行用トランク、旅行用衣物袋、手提げ旅行用トランク、手提げ袋、登山用袋、化粧箱、車輪付き買物袋、ベビー用品袋、ペット用品袋、ヨガ運動用袋、ズック背嚢。

一、原告の主張:

1)原告の商標は著名商標である。

 原告の登録したRimowa商標2件は当初代表者のフールネームの前にある2文字から組み合わされたもので、1937年より最初にアルミ製トランクを出品してから今日まで世界中に販売されてきている。1931年からドイツ、米国、WIPO等国地域にて商標登録を取得している。2010年より台湾にて巨額の広告費を投入して販売しつづけ、現在台湾においては14の販売拠点があり、すでに迅速に著名商標に発展してきている。ネットサーチエンジンで検索した結果、同商標がはっきりと出ている。

2)被告商標が実際に使用されるときの態様は登録された態様と異なる

 被告の登録商標には蝶のタイ図形、中国文「諾瓦納」等文字を有するが、実際に使用するときに、わざとそれを除去して楕円形の外框で囲まれている。その結果、原告の商標と高度に類似する寓意と印象をもたらした(実際の使用態様は下の表の如く)。これは商標権の正当の行使ではなく、商標登録の廃止(取消審判)の事由になるばかりでなく、被告が消費者に混同誤認させる意図が窺われる。

 

 

原告(ドイツ商・Rimowa社)

被告(台湾商・Rowana社)

実際に使用する態様

3)消費者に両方当事者の間に関係企業、授権関係、加盟関係等の誤認を生じさせる可能性がある。

 被告は原告の商標と極めて類似する商標を原告の商品と同じ類に属する旅行用トランク、袋等商品に使用を指定することは、消費者にとって言えば、極めて容易に混同誤認を発生する。両方当事者の間に、関係企業、授権関係、加盟又はその他類似関係が存在されている誤認を生じる可能性がある。

4)消費者に既に混同誤認を発生し、原告の商品に影響する故、2500万元の損害賠償を請求する。

更に、被告商品の販売ルートテレビショッピングチャネルであり、原告は幾度も消費者からの電話を受け、被告の商品を原告の商品と誤認する旨で、ショッピングチャンネルの広告内容のように割引させてくれるよう原告に要求してくるので、明らかに消費者にはすでに誤認を構成している。被告のこのような原告の商誉に縋って悪意にフリーライドする不公正な競争行為は既に原告の商標権を侵害している。原告は曾てに警告状を発信すると同時に知的財産局へ被告商標の廃止(取消審判)を請求したが、しかし、被告はインターネット、テレビ媒体を通じて販売するので、その影響は広くて異常に深遠のせい、消費者の混同誤認の情況は厳重である故、被告各類型の販売金額の総額35,550元の1,500倍で計算する結果、僅か2,500万元(NTD)を請求する。

二、被告の主張

1)両方当事者の商標は類似を構成しない。

 被告の商標は養殖する龍魚(Arowanafish)から発想するもので、原告の商標をコピーするのではない。台湾の国民の英語の程度なら、両方当事者商標の読音の異なることについて混同誤認する虞がないはず。被告も又商標の文字のスタイルを変更しておらず、単に識別性のない外框を加えただけ、これは同業者の慣習的標示用法に属し、かつ、簡単なすじ・しま及び単純な幾何図形は識別性を欠くため、原告も専用することを主張することができない。被告の商標に外框を加えただけで原告の商標と類似することがない。

2)原告の商標は著名商標ではない。

 原告が提出した証拠資料の内容が重複で、市場における大量な価格鑑定及び販売ランキングがなく、公信力のある機構が出された証明書類及び市場調査報告もない。

3)両方当事者商標は各々強烈な識別性を有し、商標の信用・名誉の消極的な連想を発生しない。

 被告は商標法に基づいて商標専用権を取得し、また知財局の許可査定に対する信頼に基づいて商標を使用するが、外框を加えることは商標の要部を変換せず、やはり同一性を具する。原告の商標を模倣する意図がない。旅行用トランク商品に金属製楕円形銘板をもって商標を表示することはメーカーの慣用方法であり、原告は被告の使用停止を要求する権利がない。

4)原告の主張する損害賠償の計算方式は高すぎる

 原告は被告の販売する15品目の商品に1500倍を乗じて賠償金額を計算することはイコール小売単価22,500倍で最高賠償額を計算する。こうすれば原告が見つけ出して押収する商品数量は1500件以上に達しなくてもすぐあらゆる商品を1,500倍で計算することができる。商標法の規定に違反し、原告は不当利得の疑いがある。贈答品、商品組み合わせ、重複性商品を排除すべく、かつ、公告の定価でなく、実際の販売価格で計算する方が初めて合理的である。

三、知財法院の判決:

1)係争商標は著名商標である。

 原告は台湾で旗艦店14ヶ所の販売拠点を設けてある。2013年に台湾版飛行機旅行トランクを出品したことがあり、多くの著名人に愛用そして宣伝されていた。しかも厖大な広告費用を投入して係争商標商品を販売し、新聞雑誌及びインターネットに多く報道され、台湾における売上高は迅速に成長し、係争商標は登録出願前に既に著名商標となっている。

2)被告商標が外框を加えて使用することは原告の商標権を侵害する。

1.被告商標は外框を加えて使用している。意匠・デザインが彷彿し、客観的に十分に消費者をして両方当事者の商標を付した商品が同一のソースから来る系列商品と誤認させられる若しくは異なるソースであるが関連あるソースであるため、類似を構成する。

2.被告の商標は腕時計に使用を指定している。商品の類似程度が低いため、混同誤認する虞がない。但し、被告の商標はその他その他時計でないもの、若しくは原告と同一又は類似する商品に使用を指定しているため、消費者にとって、混同誤認を構成する可能性があり、商標侵害罪を構成する。

3)原告は被告に防止を請求するとともに侵害を除去することを請求することができる。

 被告は原告の係争商標に類似する商標に外框を加えた態様で腕時計以外の商品に使用することは関係消費者に混同誤認させる虞があり、原告の商標権を侵害しているほか、かつ、原告は書簡で使用の停止を要求したあと、なおも引き続き使用していた故、腕時計以外の商品について原告は侵害の防止並びに侵害の除去を主張することができる。

4)損害賠償金額の計算。

 原告は法定の損害賠償を主張してそれに基づいて原告がこれによって受けた損害範囲を推算することは法的根拠がある。被告の関連行為及び商品の具体的販売通路等すべての情況を斟酌して腕時計を差し引いた商品の販売価額に100倍を乗じた金額を損害賠償の金額とすることは妥当である。

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