事務所情報 | 出版物品 | 2014年9月
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贈答品行為は商標権の維持使用若しくは侵害使用が成立するか否か。その判断要件は何であるか。(台湾知財局が主催する2014年商標使用座談会の会議資料及び記録より)

商標の使用は固より「販売の目的」で限縮的適用であるが、末端消費者の購買行為を含まない。しかし贈答品をもって販売促進する方式で無償で模倣品を散布する行為はいったい侵害行為を構成するか否か。普段から争いがあり、本局では解釈上「販売の目的」でないと認めているが、学界では規範する法律がない疑いを生じると認めている。ここに、現在実務上の見解に基づいて贈答品が商標権の維持使用若しくは侵害使用に対する判断について説明する。
(一)国内贈答品の使用に関連する判決:
1.知的財産裁判所98年(2009年)行商訴第202号行政判決(商標権の維持使用)
 商標法第6条の規定によれば、商標の使用は販売の目的がなければならない。販売の目的とは、商品販売を推進するかまたは販売の意図で商品を押し広める意である。故に、商標を付した商品を販売に付随する贈与に用いられた場合、販売を促進する機能があり、販売と密接な関係を発生するので、販売の目的を有することと認めるべきで、単純な贈与と区別があり、商標の使用と認められるべきである。
 原告の上記皮革製写真入れの枠実物は消費者がその「誠品卡」(誠品書局の購買カード)を使用して物品購買の贈答品とするので、消費者をして誠品卡(カード)を使って品物購買を促進する機能を有するため、単純な贈与ではなく、かつ当該皮革写真入れの枠実物に「eslite誠品卡」文字の表示があるほか、枠内あわせ頁の左上のかどに「Eslite誠品カタログ」の表示をし、左下の文字の中、「詳しくは誠品3月、4月、5月のカタログを参照」との表示をしており、原告の別の商標esliteと並べられているが、しかしマーケットの商品には多数の商標が並べているものが至るところにある。商標法にも同時に二つ以上の商標を同一商品に使用されることを禁止していない。故に、上記表示は消費者をして原告会社が主催する「2007(年)の瞬間を枠で囲む」活動は、200711日から同年1231日までの活動期間中、凡そ「誠品カード」を使用して一定の条件にマッチする者に誠品の皮革写真入れ枠をプレゼントするので、販売目的を有する故、係争する「誠品」商品の使用と認めなければならない。
2.知的財産裁判所99年(2010年)民商上字第6号民事判決(侵害使用)
 被上訴人が商業取引過程中に行った販売標的は生命保険サービスで、係争する模倣品でなく、被上訴人の業務員は若し保険にかける金額を上げれば、贈答品がよくなることを告げられたが、これは単に消費者の保険にかける金額の選択に影響するだけで、消費者が係争商標の表彰する商品の出所または品質によって被上訴人の保険サービスを購買する意欲に影響することなく、被上訴人は主観的に表示商標の係争模倣品を販売することもなければ、若しくは係争商標を通じてその保険サービスを販売する目的がなく、客観的には関連する消費者が被上訴人の販売しようとする保険サービスと他人の提供する保険サービスと区別する結果が発生しないので、消費者は係争商標によって被上訴人の表彰する商品またはサービスの出所を識別することがない以上、即ち商標の使用ではない。
3.知的財産裁判所99年(2010年)民商訴第52号民事判決(侵害使用)
携帯用カップは被告がその会社の販売する標的とせず、入園者の交換する贈答品の一つとした以上、当該贈答品の商標表示が商標の使用を構成するか否かは、使用する人が主観的に当該商標表示をしている商品を販売する目的があるかないか。かつ、客観的に関係する消費者をしてこれをもって使用する人が販売しようとする商品と他人の商品と区別する結果があるかないかを総合して判断しなければならない。
被告が経営する西土瓦農荘で販売されているものは、農場内の有機農産品および被告の個人的商品並びにその考案した商品のほか、また農場内のレージャ娯楽活動をも含まれ、かつ係争する携帯用カップは入園者が入園後交換できる贈答品の一つであって、被告が販売する商品でない等事情で、消費者は係争する携帯用カップで表彰される商品の出所または品質によって、被告が経営する西土瓦農荘へ行ってレージャ・消費する意欲に影響することなく、被告は主観的に係争商標を表示してある携帯用カップ模倣品を販売する意欲もなければ、係争商標を西土瓦農荘のレージャ娯楽および有機農産品若しくは被告の個人的商品を販売する目的がないばかりでなく、客観的には関係する消費者をして係争商標でもって西土瓦農荘で表彰される商品又はサービスの出所を識別することもない以上、即ち商標法に言う商標の使用ではない。
4.知的財産裁判所99年(2010年)民商上第13号民事判決(侵害使用)
 贈答品行為の部分について詳しく論述していないが、「過失」要件の判断に重きを置き、判決の結果は係争商標権の過失侵害の責任を負わなければならないことである。
(二)明らかに他人が製造した商標模倣の商品を贈呈する行為は若し商標法第5条「販売の目的」等要件に合致するとき、仮に贈答品行為は消費者の商品購買の意欲を高め、販売促進の機能を具する場合、商標の使用行為に当たるべきである。
決議:
商標の使用については販売の目的を除き、第5条第1項に挙げられている各号の使用情況のいずれかに該当するほか、その使用はなお「十分に関係する消費者をしてそれが商標であると認識させなければならない」。故に、権利の維持使用を判断するときに、商標権者が本当に登録商標を使用していることを証明しなければならない。即ち、十分に消費者をして当該「登録商標」の指示する商品又はサービスは商標権者から由来することを認識させなければならない。一方、侵害の使用については、商標権者の同意を経ない人が他人の登録商標を使用することは、消費者をしてその指示する商品/サービス出所の商標に対して混同誤認を発生する恐れがあるかないかでもって判断しなければならない。故に贈答品に表示している商標が商標の使用を構成するか否かは「贈答品」が出所を表彰する商標の機能があるかないかでもって判断しなければならない。
商標権者が商業活動の中、自分の経営する商品/サービスの販売促進のために贈答品を提供する行為については、消費者の認識により、主商品/サービスに付随している物であり、かつ贈答品に表示されている商標も亦商標権者の所有の場合、その同じ商標を使用する贈答品は市場に投入して他人の商品と競争することを目的としない、即ち真実使用の要件に合致しないため、権利を維持する使用にはならない。例えばA商標登録は服飾及び飲料商品に使用を指定している。その飲料商品の商標使用資料は飲料にA商標を印製しているが、しかし単に服飾を販売する店頭またはその他の宣伝活動中に贈呈する場合、外国裁判所の見解(注記)では、「真実使用」とは必ず「商標の基本的機能に合致する」実際使用であり、「当該商標は既に市場における当該類商品又はサービスに使用されている」ことは商標権を維持する最も重要なことであると認めている。若し贈答品として提供される飲料は単に服飾商品の購買並びに後者販売の奨励のものとするなら、当該条件は未だに満足されていない。故に、登録廃止(取消)案件、「飲料」商品は「真実使用」を構成するとは認められない。この情況の下では、たとえ商標権者がマーケットにこれら物品を散布していたとしても、該類商品には当該商品の出所を指示する商標の機能がないため、たとえその他のメーカが該類商品(贈答品)に同一又は類似する商標を登録しているにしても、商標権者の贈答品がマーケットに当該商品の出所指示機能が破壊されることがないため、自ずと侵害を構成しない。例えばA商標は百貨店のサービスに使用されているが、風船にA商標を印製して百貨店の入り口でまたはその他宣導活動の中に贈呈することは、他人が風船商品にA商標を登録している権利の侵害にはならない。
しかし、注意すべきことは行為者が商業上他人の商標を付した商品を贈答品として自分の販売または提供する商品又はサービスの販売を促進する場合、例えば他人B商標を付した鞄をA商標を付した百貨店サービスを販売促進する贈答品とする場合、若し贈答品自体は他人の行った侵害物品であるなら、贈答品にB商標が商品の出所を正確に指示する識別機能は既に破壊されているので、B商標の権利者は自ずと権利救済を行使することができる。その商標権を侵害する者に対し、その除去を請求することができ、侵害する虞がある場合、防止することを請求できる。行為者に故意または過失があるとき、損害賠償を請求することもできる。個別案件の客観的事実の判断については、やはり裁判所によって具体的事実証拠に基づいて認定を行わなければならない。

(注記)贈答品は権利の維持使用を構成するか否かについてEU裁判所は曾て「Wellness」商標のC-495/07判決例(http://www.bailii.org/eu/cases/EUECJ/2009/c49507.html)の中、無料の販売促進物品を提供することは商標の当該商品における真実使用には構成しないと認めている。

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