りんごジュース（apple cider）ガラス瓶の立体商標登録出願は識別性なしとして台湾知財裁判所により却下決定
りんごジュース（apple cider）を生産する大西洋飲料股份有限公司（以下「大西洋公司」という）は、2012年4月16日に台湾知財局へガラス瓶の立体商標を、国際分類第32類飲料に指定して登録を出願し、出願番号は101020346号と列せられている。
大西洋公司では本件出願する「ガラス瓶の立体図形」商標は、中段に丸く横の形はやや突出した環状の縁で、瓶体の下段に、その環状から底面までにめぐる間は、半円形隆起した形の肋条が複数をなしてややくぼんだ造型のデザインで、一般市販されている飲料又はアルコール類商品がよく見かける細首に丸身で、瓶自体には何らデザインを有さない容器とは明らかに差異があり、業界に通常採用されている容器の形とは明らかに異なり、十分に消費者に深い印象を付けられ、実に顕著な識別性を有する。故に立体商標（下の六つの図面に示す）を登録する必要があると認めている。
知財局で審査した後、本件立体商標は一般によく見かける長方形の瓶体で、それを立体商標として飲料、フルーツジュース商品に使用を指定した場合、通常商品の包装容器の形状とみなされるだけ、一般の消費者をしてそれが商品のソースを表示する標識と認識させ、そしてそれをもって他人の商品と区別させることができない故、識別性がないと認めて、2013年3月7日に第345357号商標拒絶査定書をもって拒絶査定をした。
大西洋公司は不服で訴願を提起し、経済部は2013年6月17日付経訴字第10206102190号訴願決定書でもって却下決定をした。大西洋公司はやはり不服で知財裁判所へ行政訴訟を提起した。
知財裁判所で審理した後、まず、最初の意見として立体商標は他の形態の商標と同じく、ともに識別性を要し、立体形状が、商品自体の形状若しくは商品包装容器の形状である場合、それが商品と密接不可分若しくは緊密な関連を有する故、消費者の認知によれば、通常それを商品機能を提供する形または装飾的デザインとみなし、当該形状が商品のソースを伝達する情報と認めず、伝統的平面の商標と比較する場合、立体商標は識別性を有することを証明することは比較的難しいという。
その次、本件商標は先天的識別性を有さない。瓶体の全体的デザインを見た場合、本件立体商標は単に市場によく見かける飲料又は酒瓶自体の形状の簡易な修飾変化に過ぎず、習知の瓶体形状と顕著な差異の印象を発生せず、それを立体商標として、アルコールを含有しない飲料等商品に使用を指定したら、一般消費者は通常それをよく見かける商品の包装容器若しくは実用的または装飾的機能を有する形状とみなすだけで、商品のソースを識別する標識とすることはできないので、識別性を有すべきではない。
第三に、商標が兼ねて機能性のデザインを有することは、それが識別性を有することとは別個のことである。若し機能性を有する商品のデザイン又は特徴が商標登録取得できるなら、当該永久的保護は同業者の公正競争及び社会の進歩を阻害することになる。こういう状況の発生を避けるため、商標が単に商品又は役務の機能を発揮するに必要である場合、登録を取得することができない。故に、大西洋公司は係争する商標は機能性を有することと主張していることは自分に有利な論拠ではない。
第四に、本件商標は後天的識別性をも有さない。係争する商標は275MLのガラス瓶詰めのりんごジュースに中国文「蘋果西打」（りんごジュース）又は中国文「蘋果西打及びりんご図形」商標と一緒に使用している。消費者が商品のソースを弁別するときに、一般に注意力を瓶体上の中国文「大西洋」、中国文「蘋果西打」又は「蘋果西打及びりんご図形」などの標識に集中的に傾いている。飲料瓶自体の形状に注意力を傾いているのではなく、瓶体の立体的造型単独だけで商品又は役務のソースを指示し、そして他人の商品又は役務と区別できる識別性が存在することと認定することはできない。かつ、また、275MLのガラス瓶詰めりんごジュース商品は単に鍋物食堂、軽食堂、ファースト炒める食堂等通路で販売されているだけで、販売量および接触する消費者は限りあるのである。
従って、台湾知財裁判所は102年度行商訴字第96号判決でもって大西洋公司の行政訴訟を却下した。本件はなお上訴を提起することができる。 |