事務所情報 | 出版物品 | 2014年3月
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台湾改正特許法に水際措置の規定を新設

台湾立法院は2014110日に特許法増改設を三読通過し、特許侵害に関する水際措置を新設(特許法第97条の1から4まで)並びに第143条を改正した。特許所有権者が書面で申請し、かつ、相当する保証金又は担保を提供すれば、税関に容疑侵害品の差押えを申請することができる。これに対し、被差押人も2倍の保証金又は相当する担保を提供して税関に差押えの廃止を申請することができる。この増改正はすでに2014122日付華総一義字第10300008991号総統令でもって公布、124日より施行された。
経済部知財局の関係筋によると、国内情報通信産品に関わっている特許項目が他の産業より多いため、国内情報通信製造業者がこの水際措置から得た利益は比較的に多い。この水際措置が実施された後、特許権者は輸入商品が自分の特許を侵害する疑いがあると判断すれば、輸入商品完税価格を担保金としたら税関に輸入商品の差押えを申請することができる。商品の完税価格は税関の査定を経たので、販売費及び一般管理費並びに利益が減少した故、通常市場価格より低い。被差押人の権益を保障するため、もし被差押人が商品完税価格の2倍の担保金を提供したら、輸入商品の差押えの解除を申請することができる。
知財局の関係筋がさらにこのように注意を喚起する。商品の差押え完成後、特許権者は12日以内に被差押人に侵害訴訟を提起しなければならない。さもなければ、差押えが解除されるばかりでなく、特許権者も差押えによって生じた倉庫のリース代、積荷、卸荷代等費用を負担しなければならない。甚だしいときは、被差押人の請求する損害賠償をも負担する必要がある。一方、若し被差押人が最終的に勝訴すれば、特許権者に求償することができる。換言すれば、仮に十分な把握がない状況の下では、相手方の商品に対して差押えの申請をしたら、将来払う代価が大きいリスクがある。
以下は新設する水際措置に関する特許法第97条の1から4までの条文並びに第143条の改正条文の内容である。ちなみに、増改正条文は2014122日より発布、2014124日より施行。
97条の1(水際措置)
 特許権者はその特許権を侵害するおそれがある輸入物品に対して税関に予め差押えを申請することができる。
2 前項の申請は書面で行わなければならず、かつ、侵害の事実を釈明し、また税関が査定するその輸入物品の完税価格に相当する保証金又は相当な担保を提供しなければならない。
3 税関は差押えの申請を受理したとき、直ちに申請人に通知しなければならない。若し前項の規定と合致すると認めて差押えを実施するときは、書面でもって申請人および被差押人に通知しなければならない。
4 被差押人は第2項の保証金の2倍の保証金又は相当する担保を提供して税関に差押えの廃止並びに輸入物品に関する通関規定に基づいて処理することを請求することができる。
5 税関は差押え物品の機密資料の保護に損なわれない状況の下、申請人又は被差押人の申請により、その差押物品の検査に同意することができる。
6 差押物品が申請人によって裁判所の確定判決を取得して、特許権の侵害に属するときは、被差押人は差押物品のコンテナ延滞費、倉庫のリース代、積荷、卸荷代等関連費用を負担しなければならない。
97条の2(差押えの廃止)
次に掲げる事情の1つを有するときは、税関は差押えを廃止しなければならない。
一 申請人が税関から差押えの受理通知をした翌日から12日以内に、第96条の規定によって、差押物品について侵害物の訴訟を提起しなかったとともに税関に通知しなかったとき。
二 申請人が差押物品について侵害物の訴訟を提起して裁判所の却下裁定を経て確定したとき。
三 差押物品が特許権の侵害に属する物でないと裁判所の確定判決を受けたとき。
四 申請人が差押えの廃止を申請したとき。
五 前条第4項の規定に合致するとき。
2 前項第一号に規定する期限については、税関が必要に応じて12日を延長することができる。
3 税関は第1項の規定により、差押えを廃止するとき、輸入物品に関する通関規定に基づいて処理しなければならない。
4 差押えが第1項第一号から第四号までの事由によって廃止されたとき、申請人は差押物品のコンテナ延滞費、倉庫のリース代、積荷、卸荷代等に関する費用を負担しなければならない。
97条の3(非侵害時の補填および保証金の返還)
 差押え物品が裁判所によって特許権侵害に属さない物である確定判決を経た場合、申請人は被差押人が差押でまたは第97条の14項に規定する保証金の提供で受けた損害を賠償しなければならない。
2 申請人が第97条の14項に規定する保証金、被差押人が第97条の12項に規定する保証金については、質権人と同一の権利を有する。但し、前条第4項及び第97条の16項に規定するコンテナ延滞費、倉庫のリース代、積荷、卸荷代等に関する費用は申請人又は被差押人の損害に優先して弁償を受ける。
3 次に掲げる事情の1つを有するときは、税関は申請人の申請により、第97条の12項に規定する保証金を返還しなければならない。
一 申請人は勝訴の確定判決を取得し、または被差押人と和解を達成して、保証金を継続的に提供する必要がない場合。
二 前条第1項第一号から第四号までに規定する事由で、差押えが廃止されて、被差押人に損害させた後、または被差押人が勝訴の確定判決を取得した後、申請人がすでに20日以上の期間を定めて、被差押人に権利行使の催告をして、未だに行使していないことを証明した場合。
三 被差押人が返還に同意した場合。
4 次に掲げる事情の1つを有するときは、税関は申請人の申請により、第97条の12項に規定する保証金を返還しなければならない。
一 前条第1項第一号から第四号までに規定する事由で、差押えが廃止され、または被差押人と申請人が和解を達成して、保証金を継続的に提供する必要がない場合。
二 申請人が勝訴の確定判決を取得した後、被差押人がすでに20日以上の期間を定めて、申請人に権利行使の催告をして、未だに行使していないことを証明した場合。
三 申請人が返還に同意した場合。
93条の4(水際措置、差押えの廃止、非侵害時の補填および保証金の返還に関する取り扱い規則)
 前三条に規定する差押えの申請、差押えの廃止、差押物品の検査、保証金又は担保の納付、提供、返還の手続、必要書類及びその他遵守しなければならない事項の取扱い規則は、主務官庁が財政部と合同してこれを定める。
143条(特許保存書類の保存と貯存)
 特許保存書類の中、出願申請の書類物件、明細書、特許請求の範囲、要約書、図面及び図面の説明は、特許専門機関によって永久に保存しなければならず、その他の保存書類は、最長30年間保存する。
2 前項特許保存書類は、マイクロフィルム、磁気ディスク、磁気テープ、光ディスクら方式で貯存することができる。貯存記録は、特許専門機関によって確認されたとき、原保存書類とみなし、元来の紙本の特許保存書類を廃棄することができる。貯存記録の複製品は特許専門機関によって確認されたとき、それが真正するものと推定する。

3 前項貯存代替物の確認、管理及び使用規則は、主務機関によってこれを定める。

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