逆偽称行為は台湾では商標権侵害を構成するか否か（台湾知財局が主催する2014年商標使用座談会の会議資料及び記録より取材）
商標法の中商標の使用に関する適用についての世間一般の疑義をはっきりさせるために、台湾知財局は2014年4月8日に裁判官、弁護士および知財法を担当する大学教授らを招き、現行商標法第5条商標の使用の定義に関する規定に関連した条文規定並びに実務上のいくつかの問題について、いかに法律を適用すべきか。座談会を開いて決議を行った。紙幅の関係上今回はまず掲題の問題について座談会の資料及び記録から摘要し、翻訳して皆様の理解に助ける。また、次回は更に別の問題について摘要して翻訳する。
（一）いわゆる「逆偽称行為」とは、商標権者の同意を得ずに商標権者の商品に貼り付けた登録商標を除去し、自分又は第三者の商標を貼り付けて当該商品を市場に投入して販売させ、自己又は第三者が生産製造する商品を宣言する行為を言う。
（二）商品の元来標示されている商標を取り除くことは明らかに商標が真正商品のソース又は出処を示す効能を傷つくほか、さらに商標の累積してきた声誉の権利を傷つくので、自ら商標権の侵害行為に属する。商標権者は商標法第69条第1項の規定により、その商標権を侵害したものに対してこれを除去することを請求することができ、侵害のおそれがあるときは、これを防止することを請求することもできる。
（三）外国実務上の事例では、逆偽称行為は、不正競争行為と位置付けられていることが多く、また、逆偽称行為は商標の侵害行為と認定する事例も至る所にある。しかし、我が国司法上の実務では商標権の消尽理論を引用して逆偽称行為はが商標法によって権利を主張することを否定する個別の事案もある。然るに、商標法第36条第2項但書「商品が市場に流通されたあと、変質の発生、損害を受けることを防止するため、またはその他の正当な事由があるときは、この限りでない」との文義を見れば、解釈する空間は残るはずである。また、商標権者の権益を保護し、不正な競争行為を防止すると消費者を保護し、欺かれることを免れるために、商標法の立法目的を貫くべく、商品が末端の消費者の手中に流入する前、やはり商標の真正商品／役務のソースを指示する効能並びに権利者がすでに累積してきた商標の声誉の権益を保護すべきである。
（四）台湾高等裁判所2008年度上訴字第10号刑事判決「SOLUX」電球
商標を付される商品が商標権者によりまたはその同意した人により市場において流通させたとき、商標専用権者は当該商品について商標専用権を主張することができない。但し、商品が市場に流通された後、変質の発生、損害を受けることを防止するため、又はその他正当な事由があるときは、この限りでないとは固より（1997年5月7日付改正）商標法第23条第3項（現行商標法第36条第2項に相当）に明文で規定しているが、しかし当該条項にいう商標を付される商品が商標専用権者によりまたはその同意した人により市場において取引流通させるとは当該商品の原状のままで市場において継続的に取引・流通させることをいう。買取り人や第三者が商標を付される商品の原状について、変更を加え、又は包装を変更した後、再び継続して流通させること、甚だしきは本法第26条（現行商標法第33条に相当）の規定している商標権者またはその同意した人の許諾を得ることなく自ら同一商標を印刷製造して同一商品に使用し、継続して流通させて本条項の規定によりその刑事責任の免除を主張できることではない（最高裁判所1995年台非字第408号判決主旨参照）。
決議：
逆偽称行為事件において、他人の商標を塗り消し、または置き換える等状況は、商標法第5条各号の使用状況の規定に適用する範疇に属さない、また商品において他人の商標があって権利の消尽を主張する問題とも関係がない。外国の実務においては商標法の中に、侵害の構成要件を明文で規定しているほか、不正競争の関連法規として取り扱う例が多々ある。我が国の商標法には、明文の規定がない以上、逆偽称行為事件は公正取引法の取り扱う範疇に属した方がよかろう。知的財産局としては関連する適用状況に関して公正取引委員会とコンタクトすべく、不公正な競争行為が規範上あなになることを避けなければならない。 |