事務所情報 | 出版物品 | 2013年12月
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登録商標「幸福空間」に関する商標権侵害事件(台湾知的財産裁判所101年度民商訴字第22号民事判決)の摘要

争議の目的:

キーワード(Keyword)の広告は原告の商標権を侵害するか、否か。公正取引法24条の規定に違反するか否か。

係争の目的:

キーワード「幸福空間」を利用して検索を行って現す検索結果のウェブページ。

係争に引用する商標:「幸福空間」(登録番号:1316081

本案の争点:

(一)被告は改正前商標法2922号にいう原告の商標権を侵害する行為があるか否か。

(二)被告は公正取引法24条又は民法1841項後段、2項に違反する行為があるか否か。

関係条文:

改正前商標法2922号、公正取引法24条、民法1841項後段、2項。

改正前商標法2922号:

本法第30条に別段の定めがある場合を除き、次に掲げる事情は、商標権者の同意を得なければならない。

類似の商品または役務について、その登録商標と類似する商標を使用して関連する消費者に混同誤認を生じさせる虞があるとき。

公正取引法24条:

 本法に別段の定めがある場合を除き、事業はその他取引秩序に影響するに足りる欺瞞又は著しく公正さを欠く行為を行ってはならない。

民法1841項後段、2

 ……。故意に善良の風俗に反する方法で他人に損害を加えた者もまた同じである。(損害賠償の責任を負う)

 他人を保護する法律に違反したときは、過失があるものと推定する。

判決要旨:

1.被告米国・Google International LLC社の行ったキーワード広告業務は、Google検索者が特定のキーワードを入力したあと、サーチページの広告空間はすぐ当該キーワードを選択した広告主が作成する広告文を現す。従って、検索結果のページに、捜索の欄にキーインしたキーワードが係争する広告と同じページに置かれてはいるが、当該キーワードが、ネットの使用者によりキーインしたので、被告と係わりがない。被告が検索結果のページに、広告空間を広告主に広告を置かせる行為は、いかなる商標の積極的表示も無ければ、引用商標をもって商品又は役務を表示する標識にも用いず、かつ、ネット使用者がキーワードをキーインして検索したあと、サーチページの広告欄に係争する広告を現している広告を見たとしても、当該広告には何ら商標を表示する意思を認識することもできず、故に被告が明らかに商標を使用する意図がなく、自ずと被告が商標を使用する行為があるとは認めがたい。

2.係争する広告文に、「幸福空間」の文字もなければ、「幸福空間」一語を記述的に使用していることもないことは、既に前段に述べている通り。係争する広告の内容は、原告と係わりがあることを引き合いに出すこともなく、いかなる誤認に導く用語をもってネットの使用者をして原告のウェブアドレスと誤認して誤ってウェブサイドに導かれてアクセスすることもない。全体的観察をするとき、取引の相手または潜在的取引の相手をして係争する広告が原告と同一のソース、同系列の産品若しくは関係企業に属すると誤認させる効果があるとは認めがたい。若しくは訴外人禾林公司などで提供する役務の品質が原告の役務内容に替わることができると誤認させることは認めがたい。また、係争する広告の右上の方に、共に「広告」の文字を現していることは前記の通りで、現今のインターネットの科学技術の発達及び普及度では、ネットの検索者が自らどれが広告か、どれが検索の結果かを弁えることができ、係争する広告には原告の係争に引用する商標をもって自己の商品又は役務のソースを表示することもなければ、文中に原告の商誉に頼って消費者を誤って導いたこともなく、自ずと何ら原告の経済的利益及び努力の成果に対して損害を与えて進んで市場の公平競争の秩序に影響することは認めがたい。

判決の結論:

 被告は原告の商標権を侵害し、ないし十分に取引の秩序に影響する欺瞞若しくは明らかに公平を失する行為がない。従って、原告は前掲商標法、公正取引法及び民法の条文規定に違反せず、請求を却下しなければならない。

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