事務所情報 | 出版物品 | 2013年12月
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技術審査官の意見を裁判官がその心証を開示することは、

裁判の品質を高める

 台湾の知的財産裁判所は20087月に設立し、技術審査官の訴訟手続に参加させる制度を採っている。本日まで技術審査官の訴訟手続き参加はもう5年あまりになっている。この頃知的財産裁判所は関連データを提出してこの制度の実施成果を評価している。それは知的財産裁判所が設立前の2年間(20067月~20086月)に、台北高等裁判所が審理する知的財産関係の行政訴訟事件で、1件の審結につき、284日がかかり、裁判に対する承服率(即ち裁判終結に上訴又は抗告を提起できる事件中、当事者が上訴または抗告を提起せず、若しくは上訴を取り下げた件数が全部上訴または抗告を提起できる件数に占めるパーセンテージ)はわずか47%だけで、ただし、最近の2年間(20118月~20137月)、知的財産裁判所が審理する行政訴訟事件は、142日で審結できる。そして裁判に対する承服率が61%にも達している。技術審査官の裁判に対する助けで、裁判の品質の高めに寄与していることは明らかである。

 知的財産裁判所のスポークスマンである李廷長がこのように語っている。知的財産裁判所が設立以前、彼が台北高等行政裁判所で8年間勤務していた。当時、知的財産事件の行政機関による原処分が同行政裁判所によって取り消された判決率はわずか10%だけで、ただし、現在原処分取り消すの判決率は、約20%に止まり、このことから仮令技術審査官が知的財産局の元審査官であっても、知財裁判所の裁判官の知的財産行政訴訟事件の裁判に対する公正さには影響しない。

 李廷長はさらに語っている。技術審査官が知的財産事件を審理する裁判官に、初歩の技術報告を提出して裁判官が開廷するときの参考とし、訴訟の両当事者は出廷時になお攻防を行わなければならない。若し争いがあった場合、裁判官は技術審査官に再度技術報告書を提供させる。多い時、知財事件1件の審理に当たり、裁判官の指示に従い、技術審査官の提供する技術報告書は、7回ないし8回に達することもある。この場合、技術審査官の意見は、既に裁判官の意見に溶け込んでいる。世間では「知的財産案件審理細則」に、技術審査官の書面意見は当事者に公開する必要がないと規定しているでは裁判の公正さに影響する虞があるとの疑わしい声について実在は裁判官が法廷にて技術審査官の専門意見を公けに当事者に弁論させることができるから、案件と判決の主導権はやはり裁判官の手中にあり、技術審査官の意見はあくまでも裁判官の参考に供することに過ぎず、技術審査官の地位は裁判官の助手に類同する。

 「知的財産案件審理法」第8条に、「裁判所が既に知っている特殊な専門知識は当事者に弁論させる機会を与えて初めて裁判の基礎として採用することができる。」かつ、「裁判長又は受命裁判官が事件の法律関係について当事者に対し、争点を諭して分からせるべきで、適時にその法律上の見解を表明するときに心証を適度に開示しなければならない。」と規定している故、技術審査官はその特殊な専門的背景に基づき、裁判所に提供する技術的知識による分析は裁判官が知っている特殊な専門知識として定義づけられることができ、当事者に弁論させる機会をあたえなければならず、また、民事訴訟法の手続保障の法理から言っても、心証を説明・公開する必要がある。最高裁判所では、多くの特許侵害事件の判決で上記条項を引用して裁判所が適度に心証の公開手続きを行うべしと強調している。従って、「知的財産案件審理法」の規定又は最高裁判所の判決趣旨では共に技術審査官の意見を規範する法理になっている。

 技術審理官の裁判手続参加制度は、実施した結果から見れば、たしかに正面的に評価する意義がある。世間の疑わしい声を避けるため、最も大事なことは裁判官がその心証を公開し、当事者に技術審査官の専門的意見について十分に弁論させる機会を与えなければならないことである。

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