事務所情報 | 出版物品 | 2013年9月
前のページ 1 2 3 4次のページ
 

TSMC社前研究開発処長の営業秘密侵害訴訟事件で、知財法院はTSMC社の2つの禁止命令請求を認めた

 Taiwan Semiconductor Manufacturing Company LimitedTSMC)社の前研究開発処長梁孟松氏(以下梁氏という)はTSMC社で17年間務めてきました。勤務期間中に多くの半導体特許技術の研究開発に参画してきた。2011年中韓国のSAMSUNG ELECTRONICS CO., LTD.によりスカウトされて、業界を大いに驚かせ、台湾に営業秘密法の部分改正を速めさせた。改正法は2013130日に施行。窃取、勝手に再製等不正な方法で、営業秘密を取得、使用、漏泄する行為について刑事責任を増設。国境外において使用する場合加重処罰する。但し、営業秘密法の条文改正前に営業秘密法侵害者が民事上の責任を負うのみである。
 梁氏19927TSMC社に入社、20092月に研究開発処長の職を離れて台湾清華大学電子工学研究所で一学期教鞭を執った。梁氏の妻が韓国人で、20099月妻の兄弟の紹介で梁氏が韓国の成均館大学で教鞭を執るようになり、20115月スカウトされてSAMSUNG ELECTRONICS CO., LTD.の研究開発部の副総経理を担当した。
 梁氏のスカウトーされた事件に対し、TSMC社は梁氏に対して、三つの禁止命令請求を提起した。1. 梁氏が不正な方法で彼がTSMC社に勤務している期間中知り、接触しまたは取得したTSMC社の製品、製造工程、顧客又はサプライーヤ等に関連する営業秘密を使用しまたは漏泄してはならない。2. 梁氏が不正な方法でTSMC社の従業員、サプライーヤ又は顧客等第3者からTSMC社の営業秘密を取得してはならない。3. 梁氏が競業禁止期間中、その他同業者に勤務若しくは役務を提供してはならない。
 TSMC社の上記請求に対し、梁氏がこのように反論している。営業秘密の内容について、何ら漏泄したことがない。競業禁止条項については、競業禁止期間満了後、初めてSAMSUNG ELECTRONICSに就職したので、何ら規定に違反していることがない、と弁解している。
 知財法院で審理した後次の通り判決した。
営業秘密に関する上記12の禁止命令請求に関して、TSMCの提出した添付資料により、確かにTSMCの営業秘密であることを十分に証明でき、かつ、梁氏が2009213日離職する前、TSMCとの書面の約定があり、梁氏が添付資料に表す内容について秘密を保持する義務があり、開示又は使用してはならない。しかし、梁氏が既に営業秘密法第10条第1項第1号又は第4号に規定するTSMCの営業秘密を侵害する高度な可能性があり、TSMCの営業秘密は確かに侵害を受ける虞がある。従って、営業秘密に関する上記12の禁止命令請求に関しては、TSMC側の勝訴になり、梁氏が当然秘密を保持する義務がある。しかし競業禁止に関しては、TSMCと梁氏が締結した競業禁止期間2年間がすでに満了したため、人民の労働権に対する憲法上の保障に基づき、梁氏が自由にSAMSUNG ELECTRONICS社又はその他会社に行って就労することを選択する自由がある。全案が上訴を提起することができる。
上記TSMCの提起する禁止命令の12の請求に対して裁判官が認めた理由は、主にTSMCの提出された添付資料はTSMCの営業秘密であることを十分に証明できるからである。しかも、2009213日梁氏が離職する前、TSMCが梁氏との書面で梁氏が添付資料に表す内容について秘密を保持する義務があり、開示又は使用してはならない約定である。前掲の通り、梁氏が既に営業秘密法第10条第1項第1号又は第4号に規定するTSMCの営業秘密を侵害する高度な可能性があり、TSMCの営業秘密が確かに侵害を受ける虞があるからである。
<営業秘密法改正・増設条文>
13条の1
 自己又は第三者の不法利益を意図し、若しくは営業秘密の所有者の利益の損害を意図して次に掲げる事情のいずれか一つに該当するときは、5年以下の有期懲役又は拘役に処し、新台湾ドル一〇〇万元以上一千万元以下の罰金を併科することができる。
 1 窃取、横領、詐術、脅迫、勝手に再製又はその他不正な方法で営業秘密を取得し、若しくは取得後進んで使用し、漏泄したとき。
 2 営業秘密を知っている又は持っていて、使用許諾を経ず、若しくは使用許諾の範囲を超えて当該営業秘密を再製、使用又は漏泄したとき。
 3 営業秘密を持っていて、営業秘密の所有者によって削除、廃棄すべくと告知された後にも拘わらず、当該営業秘密を削除、廃棄せず又は隠匿したとき。
 4 他人の知っている又は持っている営業秘密は上記三号に定めた状況があることを明らかに知っているのに、取得、使用又は漏泄したとき。
 前項の未遂犯は処罰する。
 罰金を科するとき、若し犯罪行為者の得た利益は罰金の最高金額を超過した場合、所得利益の三倍範囲内に酌量して加重することができる。
13条の2
外国、大陸地区、ホンコン又はマカオにおいて使用することを意図して、前条第1項各号の罪を犯したときは、一年以上十年以下の有期懲役に処し、新台湾ドル三〇〇万元以上五〇〇〇万元以下の罰金を併科することができる。
前項の未遂犯は罰する。
罰金を科するとき、若し犯罪行為者の得た利益は最高金額を超過した場合、所得利益の二倍から十倍までの範囲内に酌量して加重することができる。
13条の3
 第13条の1の罪は告訴を待って論ずる。
 共犯の一人に対して告訴しまたは告訴を取り下げたときは、その効力がその他共犯に及ばない。
 公務員又は曾つてに公務員に任じた者が職務上知り、若しくは持っている他人の営業秘密を、故意に前二条の罪を犯したときは、その刑を加重して二分の一に至る。
13条の4

 法人の代表者、法人又は自然人の代理人、被傭者又はその他従業者が業務執行上第13条の1、第13条の2の罪を犯したときは、当該条文の規定によりその行為者を処罰する他、当該法人又は自然人に対してもまた当該条文の罰金を科する。ただし、法人の代表者又は自然人が犯罪の発生に対して既に防止行為に尽力したときは、この限りでない。

Top  
前のページ 1 2 3 4次のページ
 
 
  11th F1., 148 Songjiang Rd., Taipei, Taiwan | Tel : 886-2-2571-0150 | Fax : 886-2-2562-9103 | Email : info@tsailee.com.tw
© 2011 TSAI, LEE & CHEN CO LTD All Rights Reserved
   Web Design by Deep-White