Jason Wu（呉季剛）の商標出願「MISS WU」の拒絶査定に対する行政訴訟は知財裁判所の却下判決を受けた

　アメリカに在住する台湾出身のファッションデザインナーJason Wu（呉季剛）が2011年に「MISS WU」文字商標を商品及び役務分類表の第18類の「皮製および非皮製財布、ハンドバッグ、財布、キーホルダー、女性用ハンドバッグ、小銭いれ、バックパック、旅行用カバン、……傘」及び第25類の「衣服、即ちセレモニアルドレス、宴会服、ドレス、Tシャツ、ズボン、セーター、腹巻き、ジャケット、スカート、半袖シャツ、シャツ、ブラウス、靴、皮ベルト」を指定して台湾知的財産局へ商標登録を出願し、知財局は「MISS WU」は「呉嬢」（「呉」という姓の未婚女性に対する敬称）を意味し、我が国で一般国民が呉という姓の未婚女性に対する英語の呼称である習わしである。これを商標として上記商品の使用を指定したとき、関係消費者をしてそれが上記商品を表示する標識として認識させることに足りず、並びにこれをもって他人の商品と区別することができないと認定された。改正前商標法第23条第1項第1号の規定（改正後現行商標法第18条）によりその登録を許可すべきでなく、かつ、原告が提出された資料では十分に我が国の関連消費者をしてそれが商品又は役務を表示する標識として認識させ、かつ、それをもって他人の商品又は役務と区別して商標の後天的識別性を取得させたとは言いがたい。自づと改正前商標法第29条第4項（使用による識別性、改正後商標法第29条第2項商標の後天的識別性の取得）の適用がない。故に2012年1月31日に商標拒絶第335641号査定書でもって却下処分をした。原告が不服で訴願を提起し、却下決定を受けて、知財裁判所へ本件行政訴訟を提起した。

　本件で原告の主張は略して（一）文字商標「MISS WU」は先天的識別性がある。（二）たとえ「MISS WU」は先天的識別性がないとしても、識別性の審査基準によると、やはり「MISS WU」は後天的識別性を有するし、十分に関連消費者をしてそれが原告Jason Wuの服飾商品を表示する商標であることを認識できると認めるべきであると主張している。

　一方、被告官庁知的財産局は本件商標「MISS WU」はデザインを施されていない外国文「MISS WU」であり、MISSは少女、未婚女性の前につける「……嬢」と意味し、外国文「WU」は国内でよく見られる姓氏で、即ち「呉」という姓氏である。「MISS WU」は「呉」という姓のお嬢さんの意であり、商標の全体は特別なデザインもなく、単純な外国文字であるため、それを上記商品を指定したことは、なおも関連する消費者をしてそれが商品を表示する識別標識であり、それをもって他人の商品／役務と区別することは不十分で、自ずと識別性を有さないと結んだ。

　さらに、原告の提出されたインターネットの商品資料、メディア報道の証拠資料は数が少なく、かつ、我が国の市場において指定商品に広汎に使用している証拠資料が全くなく、MISS WU商標はすでに国内の消費者によりそれが指定商品を表示する標識になり、商標の後天的識別性を取得したとは認めがたいと論じた。

　知財裁判所第一法廷は原告の主張と被告官庁知的財産局の論駁を双方の提出ないし引用された証拠資料と照らしあわせて原告の文字商標「MISS WU」は現行商標法第29条第1項第3号にいう「単にその他識別性を有さない標識によって構成されるもの」の事情に該当し、かつ、同法第29条第2項にいう「出願人の使用により取引上すでに出願人の商品又は役務の識別標識になったもの」の事情がない、即ち先天的識別性と後天的識別性は共にないと論結し、2012年12月13日に弁論を終結し、2013年1月10日に101年度行商訴字第115号行政判決として原告の訴えを却下された。

　この行政判決に対して、判決正本が送達されたあと、原告が20日以内に更に上訴を提起することができる。

中国の著名商標は5級に分けられる。上下の順に並べると、中国馳名商標、中国著名商標、中国知名ブランド、中華老舗及び中国名ブランドとなっている。台湾企業が中国大陸において15万件の商標出願をしており、その中10万件が登録済み。2012年12月31日まで付表の如く30の商標だけが馳名商標の称号を授けられている。

厦門市政府は2012年に率先して上記「先行先試」政策の実現を果たし、台湾商標の厦門市著名商標の申請を開放した。これは最初の台湾商標の中国大陸における省レベルブランド商標の認定を受けられた。今日厦門市著名商標の認定を受けられた台湾企業は大同、新東陽、美吾華、南亜、宜蘭食品、梵輔路、穂瑩美美、鄭福星、漁拓企業及び耐斯企業ら10社、15商標であり、その中宜蘭食品一社だけが6つの著名商標の認定を受けられた。

2012年10月29日、厦門市工商行政管理局長陳海彊氏が渡台し、台湾商業総会理事長張平沼氏と一緒に「厦門市著名商標」を得た台湾企業に証書発行の儀を行った。

 

シリーズナンバー	認定日	商標	所有者	商品／役務類別及び名称
1	2004/2/25	捷安特	巨大機械工業股份有限公司	第12類：自転車。
2	2004/11/13	正新及び図形	厦門正新橡膠工業有限公司	第12類：タイヤ、タイヤチューブ。
3	2006/10/16	哥弟GIRDEAR	施複元	第25類：服装等。
4	2006/10/16	統一	統一企業股份有限公司	第30類：インスタントラーメン等。
5	2006/10/16	震旦	上海震旦傢俱有限公司	第20類：オフィス用家具等。
6	2007/9/14	名典及び図形 MINGTIEN	名典実業有限公司	第43類：コーヒーショプ、レストラン等。
7	2007/9/14	BENQ	明基電通股份有限公司	第9類：液晶ディスプレー装置、スキャンナー（資料処理装置）。
8	2008/3/25	旺旺	宜蘭食品工業股份有限公司	第30類：キャンディー、菓子等。
9	2008/3/25	宏碁ACER	宏碁股份有限公司	第9類：コンピューター及びその部品。
10	2008/3/25	自然美NATURAL BEAUTY	自然美化妝品股份有限公司	第42類：美容。
11	2010/1/15	金門高粱酒	金門酒廠実業股份有限公司	第33類：高粱酒。
12	2010/1/15	桜花	厦門正新橡膠工業有限公司	第12類：タイヤ。
13	2010/1/15	慈済及び図形	財団法人台湾省仏教慈済慈善事業基金会	第36類：慈善ファンドの募集、組織募金。
14	2011/5/27	宝島及び図形	宝島眼鏡商業諮詢有限公司	第44類：メガネ屋。
15	2011/5/27	KENDA	建泰橡膠（深圳）有限公司	第12類：各種タイヤ、自動車のタイヤチューブ、タイヤ。
16	2011/11/29	旺仔	宜蘭食品工業股份有限公司	第29、30類：ビスケット、キャンデー、米菓、ゼリー、牛乳製品。
17	2011/11/29	桜花SAKURA及び図形	桜花衛廚（中國）股份有限公司	第11類：レンジフード、電気湯沸かし器、料理用ストーブ、料理用レンジ。
18	2011/11/29	美利達MERIDA及び図形	美利達工業股份有限公司	第12類：自転車。
19	2011/11/29	南寶NANPAO	南寶樹脂化学工廠股份有限公司	第2類：ペイント、塗料。
20	2011/11/29	克麗緹娜	克緹智慧産権有限公司	第3類：化粧品、精油、スキンクリンナー。
21	2011/11/29	CHLITINA	克緹智慧産権有限公司	第3類：化粧品、精油、スキンクリンナー。
22	2011/11/29	安拓ARROW及び図形	寧波安拓実業有限公司	第6類：ねじ、ねじぶた、ねじくぎ。
23	2012/4/27	明基	明基電通股份有限公司	第9類：カラーディスプレイ装置、白黒ディスプレイ装置。
24	2012/4/27	永大	永大機電工業股份有限公司	第7類：エレベーター。
25	2012/12/31	宝島及び図形	天津市新寶車業有限公司	第12類：自転車、電気自転車、電気三輪車。
26	2012/12/31	海昌HAICHANG	海昌隠形眼鏡有限公司	第9類：コンタクトレンズ、メガネの箱、矯正レンズ。
27	2012/12/31	KMC及び図形	桂盟企業股份有限公司	第12類：車両用チェーン。
28	2012/12/31	EVERLIGHT	億光電子工業股份有限公司	第9類：発光ダイオード、半導体器具器材、光電管。
29	2012/12/31	億光	億光電子工業股份有限公司	第9類：発光ダイオード、半導体器具器材、光電管。
30	2012/12/31	泰山	泰山企業股份有限公司／泰山企業（漳州）食品有限公司	第32類：ミネラルウォーター（飲料）、サイダー、乳清飲料。