事務所情報 | 出版物品 | 2013年3月
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営業秘密法増設部分条文立法院で三読通過

 営業秘密法増設部分条文(注1)は2013111日に立法院院会で三読通過された。今回の増設条文は我が国産業の営業秘密及び国際的競争力を強めるため、窃取、横領、詐術、脅威を以って勝手に再生若しくはその他不正な方法で営業秘密を取得し、若しくは取得後更に使用し、漏洩した行為に対し、刑事責任を増設し、領域外で使用させた場合は、加重して処罰する。
 営業秘密法第12条:「故意又は過失により不法に他人の営業秘密を侵害した者は、損害賠償の責任を負う。数人が共同で不法に侵害した時は、連帯に損害賠償の責任を負う。」とある。つまり、増設条文以前に、営業秘密を侵害したときは、単に民事責任をのみ負うのであった。
 ただし、今回の改正は第13条の1から第13条の4まで刑事責任に関する規定を増設した、窃取、横領、詐術、脅威を以って勝手に再生、若しくはその他不正な方法で営業秘密を取得、使用、漏洩した行為に対して刑事責任を増設した。最高5年以下の懲役に処し、新台湾ドル100万元以上、1000万元以下の罰金を併科することができる。犯罪行為者が得た利益が罰金の最高額を超えたとき、所得利益の3倍の範囲内に、酌量して加重することができる。
 また、海外部分において、営業秘密を海外(中国大陸地区、香港、マカオを含み)において使用する意図を持っていたときは加重処罰する。即ち1年以上10年以下の懲役に処し、新台湾ドル300万元以上5000万元以下の罰金を併科することができる。更に、若し犯罪行為者が得た利益が罰金の最高額を超えたとき、所得利益の2倍から10倍の範囲内に、酌量して加重することができる。
 なお、被害者が営業秘密法に基づいて損害賠償を主張した時、第12条により損害賠償を請求するとき、被害者が固より民法第216条(注2)の規定(法定損害賠償範囲)により請求することができるが、しかし、被害者がその損害を証明できないときは、その使用時に通常の状況で得られる予期利益から侵害されたあと同一の営業秘密を使用して得た利益を差し引いた差額をその受けた損害とすることができる。そして損害行為が若し故意である場合、裁判所は被害者の請求により、侵害の事情によって損害額以上の賠償を酌量して定めることができる。但し、すでに証明された損害額の3倍を超えてはならない。
(注1)営業秘密法増設条文第13条の1から第13条の4までの内容
2013130日付け   
華総一義字第10200017761
13条の1 自己又は第3者の不法利益を意図し、若しくは営業秘密所有者の利益を損害し、次に掲げる事情のいずれか一つに該当するときは、5年以下の懲役または拘役に処し、新台湾ドル100万元以上、1000万元以下の罰金を併科することができる。
一、窃取、横領、詐術、脅威を以って勝手に再生若しくはその他不正な方法で営業秘密を取得し、若しくは取得後更に使用し、漏洩したとき。
二、営業秘密を知りまたは所持し、許諾を得ず又は許諾の範囲を超えて当該営業秘密を再生、使用若しくは漏洩したとき。
三、営業秘密を所持し、営業秘密所有者より削除、廃棄すべくと告知されたあとにも拘わらず、削除、廃棄せず、若しくは当該営業秘密を隠匿しなかったとき。
四、他人の知り又は所持する営業秘密が上記前3号に定めた事情があることを明らかに知りながら、取得、使用または漏洩したとき。
2 前項の未遂犯は、罰する。
3 罰金を科すとき、若し犯罪行為者が得た利益が罰金の最高額を超えたとき、所得利益の3倍の範囲内に、酌量して加重することができる。
13条の2 外国、大陸地区、香港またはマカオにて使用することを意図して前条第1項各号の罪を犯したときは、1年以上10年位かの懲役に処し、新台湾ドル300万元以上5000万元以下の罰金を併科することができる。
2 前項の未遂犯は、罰する。
3 罰金を科すとき、若し犯罪行為者が得た利益が罰金最高額を超えたとき、所得利益の2倍から10倍の範囲内に、酌量して加重することができる。
13条の3 第13条の1の罪は、告訴を待って論ずる。
2 共犯の一人に対し告訴をし、または告訴を取り下げたときは、その効力がその他共犯に及ばない。
3 公務員又はかつてに公務員だった人が職務で知り又は他人の営業秘密を所持して、故意に前二条の罪を犯したときは、その刑の二分の一までを加重することができる。
13条の4 法人の代表者、法人又は自然人の代理人、被雇用者若しくはその他従業員は業務執行で第13条の1、第13条の2の罪を犯したとき、当該条文の規定によりその行為者を処罰するほか、当該法人または自然人に対してもまた当該条文の罰金を科する。ただし、法人の代表者又は自然人が犯罪の発生について、すでに防止行為を尽力したときは、この限りでない。
(注2)民法第2161

損害賠償は、法律に別段の規定があるか、または契約に別段の定めがある場合を除いて、債権者の受けた損害及び失った利益を補償することを限度とする。

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