事務所情報 | 出版物品 | 2011年6月
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台湾特許法改正草案が立法院経済委員会で初審通過

台湾立法院経済委員会で201146日に特許法改正草案を初審通過した。

生物技術産業は台湾政府が全精力を傾けて推し進めている6大新興産業の一つである。この度の特許法改正も全面的に動植物の特許出願を開放する。将来「クローンシープのドーリー」、「ハーバードマウス」の複製(クローン)に類似するクローン生物又は遺伝子を改造した動・植物はみんな特許保護の範囲に組み入れられる故、国内生物技術産業の発展を促進することに期待をかけている。

このほか、今回の法改正も医薬品又は農薬品の特許権期間の延長申請に関する規定を緩和した。現在の医薬品の特許権期間は20年で、実務上往々にして特許権者が特許出願が許可された後、まだ行政院衛生署の販売許可証を取得していないため、特許権を実施して製薬を行うことができない。

従って、草案では医薬品等特許権者は第1次の許可証で特許権期間の延長を申請することができ、かつ、1回に限るものとする。多くても5年延長することができる。即ち医薬品の特許権存続期間は最長25年間で始めて消滅する。しかも学名薬の製作に投入する意欲がある第三者をして高額の投資リスク及びコストを冒さないですむことができる。

もう一つ改正の重点は意匠特許の関連規定を大幅に改正した。即ち「意匠特許」の名称を「デザイン特許」に変更し、かつ、部分デザイン、派生デザイン、組み物デザイン、Computer Generated IconsIcons、アイコン)及びGraphical User InterfaceGUI、グラフィカルユーザーインターフェイス)等創作のデザイン特許の出願を認める。

「派生デザイン」は改正草案の第129条に新設、派生デザインは元来のデザインと同等の保護効果を有する。若し同一の人に二つ以上の近似デザインを有する場合、デザイン特許及びその派生デザイン特許を出願することができる。改正草案に新設する第132条では特許出願するデザインは実質上二つ以上のデザインを有する場合は、分割出願申請ができると規定している。

また、「組み物デザイン」については、現行法はナイフ、フォーク、椅子など「組物物品」のデザイン特許の出願に対して分けて出願しなければならないと規定している。例えばナイフのデザイン特許が一件、フォークのそれが別に一件で出願しなければならず、法改正後は同じデザイン概念のナイフ、フォーク、スプーン等物品であれば、セットしてデザイン特許を出願することができる。

例えばiphone等スマートフォンのユーザーインターフェース、起動画面及びAPPApplication program graph/ image)等については将来共にデザイン特許を出願することができる。このことはHTC Corp.等のような国内企業の製品特許の保護強化に寄与する。

なお、特許強制実施については、改正草案には国家の緊急危難またはそのほか重大な緊急状況に対応するとき、特許専門機関は必須の特許権を強制実施することができると規定している。公益増進の非営利実施、発明又は実用新案特許権、品種権、裁判所の判決又は特許権者が競争制限又は公平競争等4種の状況があるとの公平取引委員会の処分に合致するため、強制実施許諾を申請することができる。

侵害の損害賠償については、草案は発明特許の実施許諾は合法的であることを証明すれば、将来まさに実施許諾の金額を損害賠償金額とし、故意による侵害の場合は3倍以下の懲罰金との規定を削除し、特許権者の挙証責任を軽くした。

このほか、農民が種取りをして自分で使用する範囲及び植物特許を開放した後の農業科学技術政策等事項に関しては、経済部知的財産局はまさに積極的に行政院農業発展委員会と具体的配合措置を協議する。

初審で通過された「特許法改正草案」の全条文は162条(改正108条、増設39条、削除15条)。今回改正の重点は下記の通り。

1)動植物の発明特許への出願を開放し、農民の種取りして自分で使用する責任の免除、権利の消尽及び植物品種権と交互に強制実施権ら配合規定を増設。

2)故意によらず出願時に優先権を主張しなかったとき、及び期限内に特許年金を納付せずに特許権を失ったときは、その権利回復の申請を許可するメカニズム。

3)出願人が自動的修正を申請する時間的制限を削除すると共に、発明特許出願が初審許可査定後の30日以内に分割出願することができることを緩和する。

4)医薬品又は農薬製品の特許権期間の延長に関する規定を改正。

5)特許権の効力が及ばない事項を増設並びに改正。例えば商業目的によらない未公開行為は、国内外の薬物の販売許可を取得することを目的とする必要な行為及び明確に国際消尽原則を採用する。

6)強制実施許諾の事由及び補償金査定規定を改正。

7)特許無効審判請求制度を改正。例えば職権による審査を排除、部分的請求項について無効審判を請求する、無効審判請求事件及び訂正事件の合併審査及び合併査定など。

8)特許権侵害の主観的要件を明確に定める。損害賠償の計算方式及び特許表示の規定を改正。

9)同一人が同日に各別に発明特許及び実用新案特許を出願したときの規定を増設すると共に、実用新案特許の訂正について形式審査を採用すると明確に定める。

10)部分デザイン(部分意匠)、Computer Generated IconsIcons、アイコン)及びGraphical User InterfaceGUI、グラフィカルユーザーインターフェース)デザイン、組物物品デザインを開放すると共に派生デザイン制度を増設。

今回の特許法改正は多くの制度変更に亘っている。各業に改正後の制度運営を十分に理解及び適応させるため、その施行日は行政院によって別に定めるほか、そのほかの配合措置、関連する子法、審査基準、申請書表及びシステム修正については知的財産局は既に積極的に研究討議を行っている。

特許法改正草案の重点(資料の出所:立法院)

改正の重点

説      明

意匠特許の

保護拡大

    「意匠特許」を「デザイン特許」に名称変更。

    部分デザイン、派生デザイン、組物デザイン、アイコン(ICONS, Computer Generated Icons)及びGUI(Graphical User Interface、グラフィカルユーザーインターフェイス)等創作はいずれもデザイン特許の出願保護ができる。

生物技術産業の発展を激励する

    植物の発明特許出願を開放する。

    医薬品又は農薬品の特許権期間の延長を緩和。一回に限って最長5年延長できる。特許権期間は長くても25年。

強制実施許諾

    公益を増進する非営利実施。

    発明又は実用新案特許権が先の特許に比べて相当な経済的意義を有する重要な技術改良。

    品種権が先の特許に比べて相当な経済的意義を有する重要な技術改良。

    特許権者に競争を制限し、または不公平な競争事情があって、裁判所の判決又は公平取引委員会の処分を受けたとき。

損害賠償の計算

・実施料の金額を損害賠償の金額とし、故意に属する侵害の場合、損害額の3倍罰金との規定を削除。

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