事務所情報 | 出版物品 | 2011年6月
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業者が譲渡済であることを証明できない場合、著作権がやはり元来の著作者の所有である-知的財産法院2010年度民著字第37号民事判決

[事実]

1970年代に創作された「お月さまが私の心を代表する」という歌などクラシックラブソングの作詞者甲は台北地方法院検察署で行っている或るレコード業者がその他の業者の権利侵害にかかる告訴事件のために中国大陸から台湾に戻って立証をしているときに、突然そのレコード業者が勝手にそれらクラシックラブソングの著作権を自分の会社の所有に移転していることを発見した。このレコード業者は甲が署名した著作権譲渡証明書を見せてくれたが、甲は著作権譲渡証明書を署名したことがないと真っ向から否認した。それから甲が民事訴訟法第247条第1項の規定に基き、知的財産法院へこのレコード業者に甲自分が創作した100首あまりの歌の著作権が存在しない確認訴訟を提訴した。

[判決]

台湾知的財産法院がなされた2010年度民著訴字第37号民事判決はこのように判定している。このレコード業者がこれらの歌の著作権を既に譲渡済みであることを立証することもできなければ、これらの歌は同じレコード業者が資金を提供して甲を雇われて創作させたことを立証することもできない故に、甲の主張が理由あると認める判決を出された。この判決に対してこのレコード業者が上訴を提起することができる。

[理由]

1)甲の創作にかかる100首あまりの歌詞は共に1992610日以前に創作されたために、当時の著作権法第10条の規定によれば、資金を提供して人を雇って完成させた著作は当事者双方が別に約定があるを除いて著作権は原則として出資者の所有に帰属する。

2)作詞者甲がこれらの歌の歌詞は当該レコード業者に雇われ創作されたことを否認しているため、同レコード業者は自分が資金を提供して甲を雇われた事実の存在が確実であることについては立証責任がある。

3)これらの歌詞、歌曲は共に当該レコード業者によってレコードに吹き込んで発行されたものだが、しかし、このことは創作された歌詞は出資して人を雇われたかどうかとの間に絶対的必然な関係を有するとは限らない。

4)このレコード業者は著作権譲渡証明書の署名の真実性を証明することができなかった。

[法的根拠]

著作権の譲渡に関連する法規範は現行の著作権法第36条第1項、第2項等規定によれば、著作財産権は全部又は一部を他人に譲渡し、又は他人と共有することができ、譲受人はその譲り受けた範囲内に、著作財産権を取得することができる。同法第37条第4項の規定によれば、排他的許諾における被許諾者が許諾された範囲内で著作財産権者の地位として権利を行使することもできれば、自己の名義で訴訟行為をなすこともできる。著作財産権者が、排他的許諾範囲内に権利を行使することができない。また、同法第79条第1項、第4項の規定によれば、著作財産権がなく又は著作財産権が消滅した文字の著述又は美術著作で製版者が文字の著述について整理印刷し、若しくは美術著作の原作についてコピー・印刷又は類似する方法で再製して発行することができ、また、法によって登記すれば、製版権を享有することができる。なお、製版権の譲渡は登記をしなければ、第3者に対抗することができない。

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