事務所情報 | 出版物品 | 2010年12月
前のページ 1 2 3 4 5次のページ
 

行政訴訟の審級を二級二審制から三級二審制へ変更する台湾行政訴訟法の改正草案が司法院で通過

現在台湾行政訴訟の審級は200071日から二級二審制に変更して行政法院組織法第2条及び第6条の規定によって台北、台中及び高雄等三つの高等行政法院を設立すると同時に原行政法院を最高行政法院に変更した。事実上、行政訴訟第一審を審理する法院は三箇所だけあって、民衆にとって不便を感ずるものである。

次に、公法性質を有する争議事件、例えば道路交通管理違反処罰条例に違反して裁決した救済事件で、過去において行政法院が一箇所だけあって厖大な公法事件を担うことが難しいことを考量して40年余り以来取消訴訟や確認訴訟を問わず、共に普通法院の交通法廷によって審理させている。現在の行政訴訟は制度改正施行して以来10年余りになり、訴訟の不便の問題を解決すると共に公法事件を行政訴訟の審判に回帰させるため、司法院は行政訴訟を三級二審に改正し、かつ、各地方法院に行政訴訟法廷を設置する予定である。行政訴訟簡易訴訟手続き事件の第一審及び関連する証拠保全事件、保全手続事件及び強制執行事件を地方法院の行政訴訟法廷に改めて受理させるほか、現在普通法院によって審理する道路交通管理違反処罰条例に違反して裁決した救済事件を行政訴訟手続によって審理させるように改める。

上記した制度の変革を取り合わせるため、司法院は2010928日に「行政訴訟法の部分的条文改正草案」を通過し、既に書簡をもって立法院へ送って審議させている。以下は改正要点の中、知財事件に関係が比較的に深いものについて簡単に紹介する。

1. 三級二審制への変更に対処するため、行政訴訟を審理する地方法院行政訴訟法廷もまた本法にいう行政法院である。(改正条文第3条の1

2. 簡易訴訟手続事件の第一審は地方法院行政訴訟法廷によって裁判を行うが、裁判に不服するものは、管轄する高等行政法院に上訴又は抗告することができると同時に上訴または抗告の要件を緩めて、原裁判が法令に違背することを理由とすればよい。簡易訴訟手続事件は二審で終結することを採用し、第二審の裁判に対し、上訴または抗告を提起することができない。(改正条文第235条)

3. 地方法院行政訴訟法廷の設置を取り合わせるため、審判と関連する事務の一部を分けて地方法院行政訴訟法廷に処理させる。

4. 保全手続の申立は起訴前にあっては尋問を受ける者の居住地又は証拠物の所在地の地方法院行政訴訟法廷に対して行う。急迫の事情があるとき、起訴後にあっては尋問を受ける者の居住地又は証拠物の所在地の地方法院行政訴訟法廷に対して行うこともできる。(改正条文第175条)

5. 仮差押えの申立は本案を管轄する行政法院又は仮差押えの目的の所在地の地方法院行政訴訟法廷によって管轄する。かつ、前記本案を管轄する行政法院とは訴訟が既に係属した又は係属すべき第一審法院をいう。(改正条文第294条)

6. 仮処分の申立は、急迫の事情がある場合、請求する目的所在地の地方法院行政訴訟法廷によって管轄することができる。(改正条文第300条)

7. 行政訴訟強制執行事件は地方法院行政訴訟法廷によって行う。(改正条文第305条及び第306条)

8. 債務者異議の訴えはその執行名義が簡易訴訟手続を適用するか又は通常訴訟手続を適用するかによってそれぞれ地方法院行政訴訟法廷又は高等行政法院によって受理される。(改正条文第307条)

9. 今回改正後の行政訴訟は三級二審制に変更したため、抗告に対して直接上級行政法院によって裁定を行うように改正。また、抗告法院の裁定に対して再び抗告をすることができないと改正。(改正条文第267条)

10. 審級が違う行政法院が同一事件に対して行った判決について再審の訴えを提起したものは、上級行政法院の合併管轄に専属する。(改正条文第275条)

Top  
前のページ 1 2 3 4 5次のページ
 
 
  11th F1., 148 Songjiang Rd., Taipei, Taiwan | Tel : 886-2-2571-0150 | Fax : 886-2-2562-9103 | Email : info@tsailee.com.tw
© 2011 TSAI, LEE & CHEN CO LTD All Rights Reserved
   Web Design by Deep-White