事務所情報 | 出版物品 | 2010年3月
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特許権侵害紛争事件の審理に適用すべき法律に関する若干問題についての中国最高人民法院の解釈

《特許権侵害紛争事件の審理に適用すべき法律に関する若干問題についての最高人民法院の解釈》はすでに20091221日に中国最高人民法院審判委員会第1480次会議で通過され(法釈[200921号)、20091228日に公布し、201011日より施行する。

特許権侵害紛争事件を正確に審理するため、《中華人民共和国専利法》、《中華人民共和国民事訴訟法》等関連法律の規定により、審判の実際と結合してこの解釈を制定する。

1条 人民法院は権利者の主張する権利要求(請求項)により専利法第59条第1項の規定に基いて特許権の保護範囲を確定しなければならない。権利者が第一審法廷の口頭弁論終結前にその主張する権利要求(請求項)を変更したとき、人民法院は許可しなければならない。

権利者が従属する権利要求(従属請求項)をもって特許権の保護範囲の確定を要求するとき、人民法院はその従属する権利要求(従属請求項)に記載されている付加的な技術特徴及びその引用した権利要求(請求項)に記載されている技術特徴でもって特許権の保護範囲を確定しなければならない。

2条 人民法院は権利要求(請求項)の記載に基いてこの分野の普通の技術者が明細書及び図面を読んだ後権利要求(請求項)に対する理解と結合して専利法第59条第1項の規定する権利要求(請求項)の内容を確定しなければならない。

3条 人民法院は権利要求(請求項)に対し、明細書及び図面、権利要求書(特許権請求範囲書)の中の関連した権利要求(請求項)、特許審査のファイルを利用して解釈を行うことができる。明細書には権利要求(請求項)の用語について特別な定義があるとき、その特別の定義に従う。

上記の方法で依然権利要求(請求項)の意義を明確にすることができないとき、参考書、教科書等公知文献及びこの分野の普通技術者の通常理解と結合して解釈を行うことができる。

4条 権利要求(請求項)の中、機能又は効果で表現した技術特徴に対し、人民法院は明細書及び図面で記述しているその機能又は効果の具体的実施方法及びそれと同等の実施方法と結合してその技術特徴の内容を確定しなければならない。

5条 単に明細書又は図面の中に記述されていて権利要求(請求項)の中に記載されていない技術方案に対し、権利者が、特許権侵害紛争事件中、それを特許権の保護範囲に入れた場合は、人民法院はこれを支持しない。

6条 特許出願人、特許権者が特許登録又は無効宣告手続き中、権利要求(請求項)、明細書の修正又は意見の陳述を通じて放棄した技術方案を、権利者が特許権侵害紛争事件中、又それを特許権の保護範囲に入れた時は、人民法院はそれを支持しない。

7条 人民法院は侵害と訴えられた技術方案が特許権の保護範囲に入っているか否かを判断するときに、権利者の主張する権利要求(請求項)に記載されている技術特徴の全部を審査しなければならない。

権利侵害と訴えられた技術方案に権利要求(請求項)に記載されている全部技術特徴と同一又は同等の技術特徴を包含しているとき、人民法院はそれが「特許権の保護範囲に含まれている」と認定しなければならず、権利侵害と訴えられた技術方案の技術特徴と権利要求(請求項)に記載されている全部の技術特徴と比べるとき、権利要求に記載されている技術特徴が一つ以上に不足している、若しくは同一でもなく同等でもない技術特徴が一つ以上ある場合に、人民法院はそれが特許権の保護範囲に含まれていると認定しなければならない。

8条 意匠特許の産品と同一又は類似する種類の産品に、登録された意匠特許と同一又は類似する意匠を採用したとき、人民法院は権利侵害と訴えられた設計が専利法第59条第2号に規定する意匠特許権の保護範囲に入っていると認定しなければならない。

9条 人民法院は意匠特許産品の用途に基いて産品の種類が同一か又は類似するかを認定しなければならない。産品の用途を確認するため、意匠の簡単の説明、国際意匠特許分類表、産品の機能及び産品の販売、実際の使用状況等要素を参考することができる。

10条 人民法院は意匠特許産品の一般消費者の知識水準及び認知能力をもって意匠特許が同一か又は類似するかを判断しなければならない。

11条 人民法院は意匠が同一か又は類似するかを認定するときに、登録された意匠、権利侵害と訴えられた設計の設計特徴に基いて意匠の全体的視覚効果をもって総合的に判断を行わなければならなず、主に技術機能によって決定された設計の特徴及び全体的視覚効果に影響しない産品の材料、内部の構造等特徴については考慮すべきでない。

下記状況においては通常意匠の全体的視覚効果に対してより影響を与える。

1)産品が正常に使用するとき、その他の部位に対して容易に直接観察された部位。

2)登録された意匠のその他の設計特徴に対して登録された意匠の既存設計と区別する設計特徴。

権利侵害と訴えられた設計が登録された意匠と全体的視覚効果において差異がないとき、人民法院は両者が同一であると認定しなければならず、全体的視覚効果において実質的差異がない時は、両者が類似であると認定しなければならない。

12条 発明特許又は実用新案特許を侵害する産品を部品・組立品として別の一つの産品を製造したとき、人民法院はそれを専利法第11条に規定する使用行為と認定しなければならず、別の産品を販売したとき、それを専利法第11条に規定する販売行為と認定しなければならない。

意匠権を侵害する産品を部品・組立部品として別の一つの産品を製造して販売したとき、人民法院はそれを専利法第11条に規定する販売行為と認定しなければならない。但し、意匠権を侵害する産品が当該別の産品の中に、単に技術的機能を有する時は除外される。

前二項に規定する状況に対して権利侵害と訴えられた人の間に分業協力が存在しているとき、人民法院はそれを共同侵害と認定しなければならない。

13条 特許方法を使用して獲得した原始産品に対して人民法院はそれを専利法第11条に規定する特許方法によって直接獲得した産品と認定しなければならない。

上記原始産品を一歩進んで加工、処理して獲得した後続産品の行為に対して人民法院は専利法第11条に規定する使用は当該特許方法によって直接獲得した産品と認定しなければならない。

14条 特許権保護範囲の全部に入っていると訴えられた技術特徴が既有の技術方案中の相応する技術特徴の一項目と同一又は実質的な差異がない場合、人民法院は訴えられた権利侵害者が実施する技術は専利法第62条に規定する既有技術であると認定しなければならない。

権利侵害と訴えられる設計が一つ既存の設計と同一又は実質的な差異がない場合、人民法院は訴えられた権利侵害者が実施する設計は専利法第62条に規定する既存設計に属すると認定しなければならない。

15条 権利侵害と訴えられた人が不法で獲得した技術又は設計でもって先用権の抗弁をしたときに、人民法院はそれを支持しない。

下記の状況のうちの一つがある場合は、人民法院は専利法第69条第2号に規定する既に製造、使用の必要な準備を完了していると認定しなければならない。

1)発明創造の実施に必要の主要な技術図面又は工芸書類が既に完成している。

2)発明創造の実施に必要の主要設備又は原材料を既に製造又は購入している。

専利法第69条第2号に規定する原有範囲は、専利出願前すでにあった生産規模及び既にあった生産設備又は既にあった生産設備を利用して達成できる生産規模を包括する。

先用権者が専利出願後その既に実施し、又は実施に必要な準備を完了している技術又は設計を他人に譲渡しまたは実施に許諾して、権利侵害と訴えられた人が当該実施行為が原有範囲内に継続的に実施しているものに属すると主張した場合、人民法院はそれを支持しない。但し、当該技術又は設計が原有の企業と一緒に譲渡又は承継された場合は除外される。

16条 人民法院は専利法第65条第1項の規定により権利侵害者が権利侵害によって獲得した利益を確定するとき、権利侵害者が専利権を侵害する行為によって獲得した利益に限らなければならず、その他の権利によって発生した利益は合理的に差し引かれなければならない。

発明、実用新案特許権を侵害する産品は別の産品の部品・組立品である時、人民法院は当該部品・組立品自身の価値及びその製品の利益を実現する作用等要素に基いて合理的に賠償金額を確定しなければならない。

意匠特許権を侵害する産品は包装物であるとき、人民法院は包装物自身の価値及びそれが被包装産品の利益実現における役割など要素に基いて合理的に賠償金額を確定しなければならない。

17条 産品又は産品を製造する技術方案が特許出願日以前に国内外の公衆に周知されているときに、人民法院は当該産品が専利法第61条第1項に規定する新産品でないと認定しなければならない。

18条 権利者が他人に対し専利権侵害の警告を発信して被警告人または利害関係人が書面で権利者に訴権の行使を催告したとき、権利者はその書面催告を受け取った日より起算して一ヶ月以内または書面催告を発信してから二ヶ月以内に、警告の取り下げもしなければ訴訟をも提起しなかったときに、被警告人又は利害関係人が人民法院に対し、その行為が専利権を侵害しないことを確認する訴訟を提起した時、人民法院は受理しなければならない。

19条 専利権の侵害と訴えられた行為が2009101日以前に発生したとき、人民法院は改正前の専利法を適用し、2009101日以後に発生したとき、人民法院は改正後の専利法を適用する。

専利権の侵害と訴えられた行為が2009101日以前に発生し、2009101日以後に続けられたとき、改正前及び改正後の専利法の規定により、権利侵害者がともに賠償責任を負わなければならない場合、人民法院は改正後の専利法を適用して賠償金額を確定しなければならない。

20条 本院が以前に発布した関係ある司法解釈がこの解釈と一致しない場合、この解釈を基準とする。

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