事務所情報 | 出版物品 | 2002年11月
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商標の新聞広告が商品の販売を促進するものである場合に商標の使用とみなされた事例-台北高等行政法院90年度訴字第5695号判決

事件の概要

原告英領Cayman Island商・Walton International Limited社は、訴訟参加人日商・株式会社ワールド社の登録596545GIO SPORT商標が199351日に登録されてからずっと台湾において指定商品カバン、ハンドバッグ、旅行用トランク、財布などのいずれの商品にも3年以上使用されていなかったため、これに対し同商標専用権の取消審判請求をした。原告は200037日に取消審判請求をし、原処分官庁知的財産局は同年1012日に取消審判請求不成立と処分した。原告が不服とし、経済部に訴願を提起したが訴願却下の決定を受けた。原告はさらに不服として台北高等行政法院に行政訴訟を提起した。

参加人は日付のないGIO SPORT商標を付した衣服及び女性ハンドバッグの写真を載せた日文のカタログ2冊(GIO SPORT 1998 Autumn Collection, GIO SPORT 1998 Winter Collection 各1冊)、GIO SPORTを付した女性ハンドバッグ実物の写真3枚、ハンドバッグ現物1点、タッグ1つ及び2000年3月3日付け自立晩報の新聞広告を使用証拠として知的財産局に提出している。

原告は参加人の提出した日文カタログには中文説明及び新台湾ドルの表示もなければ、台湾における販売代理店の名称及び住所もなく、その日文カタログは明らかに台湾地区の消費者に対して発行されたものではない。また、ハンドバッグの実物、その写真及びタグには日付の表示がなく、不使用取消審判請求前の3年以内に陳列、販売されていたものとは認めがたい。そして参加者が言っているGIO SPORT商品が台北のSOGO百貨店及び大葉高島屋で販売されているという事実及び関連証拠は見当たらない。そして参加人の提出した200033日付け自立晩報の新聞広告には取消審判対象商標及び商品名称、参加人の台湾総代理店台湾和亜留土股份有限公司即ち参加人が台湾で投資設立した子会社の名称が載せてあるが、その広告は商品を販売する目的または商品の販売を促進する目的でなく、商標の更新のために行ったものであるので、商標法第6条にいう使用には当たらないと述べている。

これに対し、被告官庁知的財産局は参加人が答弁に提出した商品カタログ2冊、GIO SPORTS商標を付したハンドバッグ実物1点、写真3枚及びタグ等の証拠資料は明らかに虚偽不実であるということを除き、誠実信頼の原則により、有効な使用証拠と見なすべきであり、また自立晩報の広告がある故、GIO SPORT商標の使用は商標法第6条の規定に合致する。原告が上記使用証拠に対する疑問点はすべて個人の主観的臆測に過ぎないと述べている。

一方、参加人は上記被告官庁の答弁理由を全面的に支持するほか、上記自立晩報の広告掲載日は200033日で、596545GIO SPORT商標の有効期間満了日は2003430日であるので、実に更新期限の33ヶ月あまり前に行った広告であるから、決して同商標の更新出願のために行った広告ではなく、同広告は確かに商品の販売のために行ったものであると述べている。



判決の主文:訴願決定及び原処分の取消並びに登録第596545号「GIO SPORT」商標専用権の取消の判決を求める原告の訴えを却下する。訴訟費用は原告が負担する。



判決の理由:原告は本件行政訴訟中、なおも過去の陳述を繰り返して争ってきたが当院では被告官庁が原告による本件商標を取消申請事件に関わって作成した「申請不成立」の処分に挙げられている前記理由及び訴願決定機関が原告の訴願を却下した訴願決定に係わる前記理由を審査した結果、ともに不当でなく、原告の陳述は採るべきでない。当院はさらに経済部会社登記資料及び登記申請案件のサーチシステムを参照してチェックしたところ、台湾和亜留土股份有限公司は198855日に設立許可を得ている。その経営する事業は「1.チェンストア経営方式による服飾販売業務の経営。2.室内設計(インテリアデザイン)及び内装施行業務(建築業を除く)。3.一般輸出入貿易業務(特許業務を除く)。4.国内外の製造販売業者の産品の入札、オッファー、販売の代理業務。」であることが分かった。

当該公司が200033日に自立晩報に掲載した広告には同公司が参加人(即ち(株)ワールド)の台湾総代理商であることを表示し、参加人が所有する「GIO SPORT」商標を付した商品の代理販売をしていると表されています。本件係争商標が使用を指定する「カバン、ハンドバッグ、旅行用トランク、財布」商品のほか、なお参加人のその他「GIO SPORT」商標の商品―ブーツ、靴、貴金属、ダイヤモンド、真珠玉、珊瑚、めのう、宝石、皮革及びその類似製品をも含めています。それから、参加者の日本における営業所をも表示して、公信力を明らかにさせていて、何ら唐突で奇怪なところがない。かつまた、参加人がすでに係争商標の商品の台湾における総代理権を台湾和亜留土股份有限公司に授与した以上、この代理権の授与は即ち係争商標の使用である。況や原告の指摘する、参加人が当該広告を掲載する目的は商標の更新又は商標の被取消を免れるためであり、商標法第6条第1項、第2項にいう「販売促進の目的」とか、「その商品を販売促進」のために係争商標を使用するものでないことについて証拠を挙げてその論述を証明されない故、自ずと原告の臆測の話で持っていきなり参加人が合法的に係争商標を使用していないとは認定しがたいものであります。従って、原告が訴えた各点はともに取るに足りず、被告の上記処分は頭掲の規定(商標法3112号、同法61項、2項)に照らして誤るところがなく、訴願決定はそれを維持していくことも不当ではない。原告の訴えは理由なく、却下すべきである。

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