事務所情報 | 出版物品 | 2002年11月
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台湾特許法部分改正条文(第324197116159条)2013611日から施行

 現行台湾特許法は201311日より施行しはじめたが、出願人が同じ創作について同時に発明特許及び実用新案を出願し、発明特許を選択した時、その実用新案特許権ははじめから存在しなかったと元第32条の規定は、まさに実用新案権の存続をさせなくなり、実用新案出願の多かった台湾中小企業にとって影響が大きいため、今回特許法32条など上記関連条文について改正を行った。
 そもそも特許法第32条第1項、第2項に、次のように規定されている。「同一人が同じ創作について同日に別々に発明特許及び実用新案特許を出願し、その発明特許の許可査定通知前既に実用新案特許権を取得している場合、特許専門機関は出願人に対し、期限内にいずれか一つの出願を選択しなかった時は、発明特許を付与しない。」「出願人が前項の規定により、発明特許を選択した時は、その実用新案特許権ははじめから存在しないとみなす。」上記規定は出願人にとって不利であるため、同条文が公告後から施行される前、企業と業界から同規定では特許権に対する保護は完全に不足しているとの声が絶え間なく上がっている。
 現行法の下では実用新案権の審査は方式審査を採っており、上記第一項の場合、出願人は往々にして実用新案権を先に取得してから、発明特許がまさに許可査定されるとき、知財局はまた出願人に発明特許かまたは実用新案権かいずれか一つの出願を選択するように通知する。若し出願人が発明特許の保留を選択した時、その実用新案権ははじめから存在しなかったとみなされる。但し、若し出願人が実用新案権を取得したあと、まだ発明特許権を取得していない以前に、既にその実用新案権を第3者に実施許諾させて後に、出願人がまた発明特許を選択した場合、第3者が実施許諾を受けている実用新案権はいかに処理すべきかは実施権者に権利不安定の状態にさせてしまう。
 その次、「はじめから存在しないとみなす」との第32条第2項の規定は出願人にとっては極めて不利である。出願人が発明特許を選択した場合、実用新案権ははじめから存在しないとみなすため、元来得られた保護は無に帰するようになる。若し実用新案権を選んだ場合、保護期間は10年に縮まれになり、仮に実用新案の保護期間中、侵害を受けた場合、たとえ当該発明がまさにすぐ特許を取得するであっても、出願人はただ発明特許のより長い保護期間を犠牲にする。このようにして、明らかに研究開発を鼓舞する特許法の旨と相反するし、技術レベルの高い発明をして比較的短い保護期間を享有させてしまう。
 第三に、台湾について言えば、産業の類型は中小企業が多数を占める。出願は実用新案が主で、知的財産局2012年の公告を例に言えば、毎年実用新案出願が約2.5万件あまり、その中2.4万件は本国人の出願で、現行特許法上記条文の規定は明らかに実用新案の保護に極めて不利であり、国内の中小企業に悪い影響を及ぼす。
従って、現行特許法第32条、第41条、第97条、第116条及び第159条についての部分的条文改正が2013529日に立法院経済委員会で審査通過されたあと、すぐ2013531日に三読通過を得た。
 改正内容は主にドイツの発明特許法及び実用新案法の関係規定を参照したもので、322項に定めた「実用新案特許ははじめから存在しない」を「その実用新案特許権は発明特許公告された日から消滅する」に改正された。また、現行法第41条第3項の補償金請求権に関する規定は本文の下に、「但し、発明特許及び実用新案を別々に出願し、既に実用新案権を取得した場合、単に補償金の請求又は実用新案権の間に択一主張できる」との但書を増設した。
 なお、現行法第97条損害賠償請求の計算に関する同条第1項第3号についての改正で、新たに第2項に懲罰的損害賠償を導入された。また、実用新案権を行使するときに、技術評価書の提示に関する現行法116条の規定について「実用新案技術評価書を提示してから警告を行わなければならない」から「もし技術評価書を提示していないとき、警告を行なってはならない」と改正された。さらに、上記改正条文は公布日から施行するとの現行法第159条第1項の次に、「改正条文は公布日から施行する」と第2項を新増した。
 改正後の条文の内容は下記の通り。
32
同一人が同じ創作について同日に別々に発明特許及び実用新案特許を出願した場合出願時に別々に声明をしなければならず、その発明特許の許可査定前に既に実用新案特許権を取得している場合、特許専門機関は出願人に対し、期限内にいずれか一つの出願を選択するように通知しなければならず、出願人が別々に声明をしないか若しくは期限になってもひとつの出願を選択しなかったときは、発明特許を与えない。
2 出願人が前項の規定により、発明特許を選択したときは、その実用新案特許権は発明特許公告した日から消滅する
3 発明特許査定前、実用新案特許権が既に当然に消滅しまたは取り消し確定したときは、特許を付与しない。
41
発明特許の出願人は出願公開後に書面にて発明特許出願の内容を通知しており、その通知後、公告前に当該発明について引き続き商業上の実施をした者に対し、発明特許出願の公告後において、適当な補償金を請求することができる。
2 明らかに発明特許出願が公開されたことを知っており、公告前において、当該発明について引き続き商業上の実施をした者に対し、同様に前項の請求をすることができる。
3 前二項に定める請求権は、その他の権利の行使を妨げない。但し、本法第32条により発明特許及び実用新案特許を別々に出願し、すでに実用新案権を取得した場合は、単に補償金の請求又は実用新案権の間に択一に主張することができる。
4 第一項、第二項の補償金請求権は、公告の日から2年間に行使しない場合は消滅する。
97
前条により損害賠償を請求するときは、次に掲げる各号のいずれか一つにより、その損害を計算することができる。
一 民法第216条の規定による。但し、その損害を証明する証拠方法を提供できないときは、発明特許権者は、その特許権を実施して通常得られたであろう利益と損害後に同一の特許権を実施して得た利益との差額をもって受けた損害とすることができる。
二 侵害者が侵害行為で得た利益による。
三 その発明特許の許諾実施で得た所得から受け取った合理的ロイヤリティーをベースに計算する損害。
2 前項の規定により侵害行為が若し故意に属するとき、裁判所は被害者の請求により侵害の情況によって損害額以上の賠償を斟酌して定めることができる。但し、既に証明された損害額の3倍を超えてはならない。
116
実用新案権者はその実用新案権を行使するときに、若し実用新案技術評価書を提示していない場合、警告を行ってはならない
159
本法の施行日は、行政院がこれを定める。

2 本法2013531日に改正した条文は、公布の日から施行する。

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