事務所情報 | 出版物品 | 2003年9月
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特許権侵害に対する仮処分

過去、特許権者の特許権が侵害を受けたとき、通常侵害者に対して刑事告訴を提起し、刑事責任の追究及びそれに付随して発動した公権方を通じて、侵害者の侵害行為の停止に圧力を掛けて、付帯民事訴訟を提起することにしている。但し、特許法が200110月及び20032月の2回の改正で、特許権侵害のすべての刑事責任は全部削除廃止された。2003331日から、特許権侵害争議は民事手続きを通じてのみ処理解決しなければならない。

民事訴訟手続きのかかる時間があまりに長く、侵害者が往々にして特許主務官庁に対し、無効審判請求を提起し、さらに裁判所に裁判の停止を申立てるため、産品のサイクルが短く、緊急な救済が必要な特許権者にとっては、常に遅すぎると感じる。特許権者が、可及的な救済を得るため、民事訴訟を提起する前に、まず裁判所に仮処分を申立て、裁判所が侵害者に対して本実訴訟確定する前に、系争する特許侵害物品を製造、輸入、販売できないことを命じ、暫時的な保護を得る。

以下は、特許権者による仮処分の申立に関する問題を紹介する。



1.仮処分申立前の準備

特許権者は他人の生産・販売する産品が、その特許権を侵害する可能性があることを知ったとき、侵害産品及び侵害品の規格書を迅速に取得して、適当な侵害鑑定機構に依頼して特許侵害の鑑定を行わせなければならない。特許侵害物品の取得の難易は、当該物品の販売対象によって決まる。若し侵害物品の下流業者が甚だ特定で、その流通対象、流通範囲はともに制限があり、特許権者は―般の購買方式で侵害物品を取得することが甚だ困難である。通常、侵害物品又は産品規格書を取得するチャンネルは三つある。―つ目は侵害者の下流メーカから取得するチャネル。二つ目は関係するウェブサイトの資料を蒐集するチャネル。三つ目は興信調査会社に依頼して協方を取得するチャネル。

侵害物品又は産品規格書を取得したあと、特許権者は適当な鑑定機構を捜して、特許侵害鑑定報告を準備しなければならない。



2.仮処分の申立てに考慮すべき事項

特許権者は裁判所に仮処分の申立てを準備するとき、裁判所が仮処分に対する審理、

仮処分の対象及び方法ないし担保金等問題を考慮しなければならない。暫時の状態を定める仮処分について言えば、現在各裁判所が侵害人に意見の陳述を通知するか否かについての処理方式は―致しない。各裁判所が仮処分に対する釈明程度の要求もまちまちである。―部の裁判所は暫時の状態を定める仮処分が本案の執行に相当すると認め、本案訴訟の審理でなくても・仮処分の要件中、侵害要件に関しては厳格な釈明程度を要求する。―部の裁判所は、申立人が十分の担保金を提供すれば、仮処分を許可すべきであると認めている。

担保金の金額若干を提供するべきかは、特許権者が仮処分を申立てるか否かを決定する重要な考慮すべき問題であろう。事実担保金額は仮処分の実務上最もよく発生する争議である。理論上、債務者が系争特許侵害物品を継続的に製造又は販売する利益を審査斟酌しなければならない。然るに、特許権者が仮処分を申立てるときには、通常債務者の侵害物品の製造・販売資料はない。

若し裁判所が債務者に関係資料の提供を通知しない場合は、担保金が債務者の受けられる損害を担保するに十分であるか否かを評価することは甚だ難しい。―部の裁判所は特許権者に自分の特許物品販売資料の提供を要請すると同時に、当該資料に基づいて債務者が受けることができる損害を審査勘酌する。裁判所が執行するときは、仮処分の裁定の主文によって行われるので、特許権者もまた比較的有効な特許権の保護を得るため、仮処分の裁定の主文を如何に行われるべきかを裁判所に申立てるべきかを詳しく考えなければならない。



3.仮処分の執行

特許権者が暫時の状態を定める仮処分を申立てる内容は、通常は侵害者に―定の行為をしないことを要求することである。若し侵害者が裁判所の発行した仮処分に違反したときに、特許権者は侵害者に慨怠金を処するか。又は侵害者に拘留・収容を命じることを裁判所に要請することができる。若し侵害者が裁判所の仮処分に従わなければ、刑法の公務妨害罪に抵触する可能性がある。

特許権者は裁判所が仮処分を発行後、強制執行を申請するとき、仮処分書を債務者に送達することを裁判所に要求することができることを除き、関係機関より適当な協力を行うことを裁判所に請求することもできる。例えば、若し系争する特許侵害物品が輸入を必要とする場合、税関の協力を裁判所から通知することを請求することができる。税関が知的財産権の保護の執行に合わせるための管制措置により、裁判所が仮処分を発行し、権利者が案件に係わる物品の輸出入の時間、場所、運送手段または輸出入申告書等資料を提出した場合、税関は協カすることができる。

仮処分は権利者がまだ本案の確定判決を取得する前に、可及的に権益を保護するために設けた制度であるため、つとめて両方当事者の利益均衡を図るべきである。特許権者が仮処分を申立てることができるばかりでなく、実務上特許権者の眼中にある「侵害者」が特許権を侵害していないことを理由として仮処分を申立てて、特許権者に系争物品の製造・販売を忍容し、干渉しないことを要求することが、よく見掛けられる。裁判所は仮処分を許可した後、つとめて効率的に仮処分の執行をしなければならない。さもなければ、仮処分の制度はまさにその効能を失う。

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