事務所情報 | 出版物品 | 2003年12月
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WTOに加盟した後の中国大陸における商標権侵害の法律責任

中国大陸が世界貿易機構(WTO)に加盟した後、台湾企業は登録商標が権利侵害された際、法律を効果的に運用してそれを保護するべきである。そして、登録商標の侵害事件でよく見かける五つの情況に対し、侵害者の法律責任を確実に把握して、当然与えるべき刑罰により侵害者を罰して権益を保護しなければならない。

登録商標の専有使用権は登録商標専用権と呼ばれ、これには積極的な権利と消極的な権利が含まれる。積極的な権利とは自分が使用するか、あるいは他人に使用を許諾する権利であり、消極的な権利とは許可を得ずに他人が使用することを禁止する権利である。

具体的に言うと、登録商標専用権は登録が許可された商標及び使用を定めた商品に限られる。よく見られる登録商標の侵害には五つの情況がある。(1)商標権登録者の許諾なく、同一若しくは類似の商品にその登録商標と同一若しくは近似の商標を使用する場合;(2)登録商標専用権を侵害している商品を販売する場合;(3)他人の登録商標の標識を偽造又は許可なく無断で製造する又は偽造、許可なく無断で製造した登録商標の標識を販売する場合;(4)商標登録者の許可なく、商標登録者の商標を取替え且つその取替えた商標を使用した商品の販売を行う場合;(5)他人の登録商標専用権にその他の損害を与える場合。

前述の“その他の損害”には、次のような行為がよく見かけられる。同一又は類似の商品上に、他人の登録商標と同一又は類似する文字、図形を商品名称又は商品包装にして使用し、誤認を生じさせるに足る行為。故意に他人の登録商標専用権を侵害して倉庫貯蔵、運輸、郵送、隠匿などといった利便条件を提供する行為。

中国大陸がWTOに加盟した後、台湾企業はよく見かける五つの登録商標侵害情況に対し、侵害者の法律責任をさらに確実に把握するべきである。次に、以上述べた五つの行為に関し法律責任を具体的に述べる。

(1)
商標登録者の許可なく、同一若しくは類似の商品にその登録商標と同一若しくは類似の商標を使用した場合は、民事、行政責任を負う。また、同一の商品にその登録商標と同様の商標を使用した場合は刑事責任を負う。

商標登録者の許可なく、同一の商品にその登録商標と同様の商標を使用し、その情況が重大な場合、3年以下の懲役又は拘留に処し、罰金を単科するか併科する。情況が特に重大な場合は、3年以上7年以下の懲役に処し、罰金を併科する。他人が登録した商標と偽った場合は、何人も工商行政管理機関あるいは検察機関に告訴及び摘発をすることができる。

(2)
登録商標専用権を侵害する商品を販売した場合は、民事、行政責任を負う。登録商標と偽った商品と知りながら販売した場合は、民事、行政責任以外に、刑事責任も負う。

 登録商標と偽った商品と明らかに知って販売し、販売額が比較的大きい場合、3年以下の懲役又は拘留に処し、罰金を併科し、又は単科する。販売額が巨大であるときは、3年以上7年以下の懲役に処し、罰金を併科する。

(3)
他人の登録商標の標識を偽造又は無断で製造する又は偽造し、無断で製造された登録商標の標識を販売した時は、民事、行政そして刑事責任を負う。他人の登録商標の標識を偽造又は無断で製造し、又は偽造又は無断で製造された登録商標の標識を販売し、情況が重大なとき、3年以下の有期懲役、拘留あるいは管制に処し、罰金を併科し、又は単科する。情況が特に重大なときは、3年以上7年以下の有期懲役に処し、罰金を併科する。

(4)
商標登録権者の許諾を得ずにその登録商標を取替え、取替えた商標を使用する商品を市場に流通させた場合、民事、行政責任を負うが、刑事責任は現在のところない。

(5)
同一又は類似する商品上に、他人の登録商標と同一又は類似する文字、図形を商品名称又は商品包装にして使用し、誤認を生じさせるに足る場合、民事、行政責任を負うが、刑事責任は現在のところない。このほか故意に他人の登録商標専用権を侵害する行為に対して倉庫貯蔵、運輸、郵送、隠匿などの利便な条件を提供した場合、民事、行政責任を負うが、刑事責任は現在のところない。

上記した商標権侵害の五つの情況に対し、台湾企業が権利侵害者の法律責任を明確に把握するとき、第二と第五の権利侵害情況において係争が発生しやすい。第二の権利侵害情況では、登録商標専用権を侵害する商品を販売しているとき、登録商標と偽った商品と“明らかに知って”販売している行為であるため、侵害者は極めて容易に知らなかったことを理由に罪を免れ、権利が侵害された台湾企業は証拠を示すことが困難なため刑事責任は甚だ追究できなかった。

積極的な方法としては、工商行政管理機関がこれらの行為を取締る際、次のような情況の把握に、台湾企業は協力して責任判定に寄与することができる。(1)商標が変更、取替えられて販売される商品が現場で捕獲される。(2)処罰された後に再び同じ不法行為をする。(3)事前に警告されても、是正しない。(4)故意に不正な手段により商品を入手し、価格が本物より遥かに安い。(5)レシート、帳簿などの会計証憑を操作してごまかす。(6)登録商標を偽造した商品か、あるいは商標権を侵害する商品を専門会社が大規模に販売する。(7)事件が発生した後、証拠物件を移転、消滅したり、或いは虚偽の証明や情況を提供したりする。(8)その他、当事者が明らかに知っていたと認定できる情況。

権利侵害の第五の情況とは、同一又は類似の商品上に、他人の登録商標と同一又は類似する文字、図形を商品名称又は商品包装に使用して誤認を生じさせるに足ることをいう;“誤認を生じさせるに足る”ことをどのように掌握するかについて、台湾企業は“誤認を生じさせるに足る”程度に達した証拠を挙げなければならず、同一又は類似の商品に、他人の登録商標と同一又は類似する文字、図形を商品名称又は商品包装に使用していて“誤認を生じさせるに足る”とは、商品源に誤認が発生するか、或いは当事者と商標登録人の間にある種の特殊関連があるという間違った認識を発生させることをいう。

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