事務所情報 | 出版物品 | 2004年3月
前のページ 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10次のページ
 

中国知的財産権侵害事件の管轄問題

中国民事訴訟法29条は、「侵害行為によって提起する訴訟は、侵害行為地又は被告住所地の人民法院が管轄する。」と規定している。この規定は、知的財産権侵害の紛争に関する管轄問題の基本原則である。

特許権の侵害紛争が発生したとき、特許権者がいったいどの法院または特許管理部門に保護を求めるべきかについては特許権侵害紛争事件の管轄問題に係わる。

まず、人民法院は特許権侵害紛争案件に対する管轄は、審級管轄及び土地管轄の二種類に分けている。審級管轄に関しては、最高人民法院の司法解釈の規定では、特許権侵害紛争案件が審級管轄においては、各省、自治区、直轄市人民政府所在地にある中級人民法院及び各経済特区にある中級人民法院が第一審法院と指定している。各省、自治区高級人民法院が実際の必要に応じて本省、本自治区内にある開放都市または特許管理機関を設けてある比較的大きい市の中級人民法院を特許件侵害の第一審法院と指定することができる。但し、最高人民法院の同意を得るべきである。現在まで、最高人民法院の同意を経て、特許権紛争案件の第一審法院と指定された開放都市及び比較的大きい市の中級人民法院は、大連市中級人民法院、青島市中級人民法院、温州市人民法院、仏山市中級人民法院及び寧波市中級人民法院である。

次ぎ、特許管理機関が特許権侵害に対する行政捜索の職務分担問題については、特許管理機関は単に各省、自治区、直轄市及び一部の計画単列都市、沿岸開放都市に設けている(現在全部54の特許管理機関を設けている)。従って、これらの機関は、本機関の管轄範囲内に発生した特許権侵害について行政捜索を行うことができる。若し二以上の特許管理機関がある特許権侵害行為に対して行政捜索の権限を有する場合、当事者はその中のいずれの機関を選んで処理させることができる。

商標侵害紛争案件の審級管轄問題に関して、最高人民法院は2002121日より施行した《商標案件管轄及び法律適用問題についての解釈》によれば、商標侵害事件の一審案件は中級以上の人民法院が管轄するほか、各高級人民法院は本管轄区の実際状況に基づき、最高人民法院の批准を経て、比較的大きい市に1つか2つの基層人民法院を指定して一審案件を受理させることができる。

版権などその他類型の知的財産権の侵害案件の審級管轄は、民事訴訟法の関係規定によって処理されなければならない。即ち、一般案件は基層法院が管轄し、重大な渉外案件及び本管轄区に重大な影響を及ぼす案件は、中級法院が管轄する。また、全国的に重大な影響を及ぼす案件及び本院が管轄すべきと認める案件は、最高人民法院が管轄する。関係司法解釈によれば、各高級人民法院は、案件の繁簡、訴訟標的の金額の大小、当地に対する影響等状況に基づき、本管轄区一審案件の審級管轄意見を提出し、最高人民法院に報告して批准を得た後に実施することができる。

知的財産権侵害案件の土地管轄問題に関して、最高人民法院《特許紛争の若干規定》では、侵害行為地又は被告所在地の法院が特許侵害案件を管轄すると確定し、かつ特許侵害行為地を実施地と結果発生地に分けている。所謂実施地とは、特許権侵害・実用新案権侵害と告訴される産品の製造・使用・販売のオッファー・販売・輸入等行為の実施地を含むほか、特許方法使用行為の実施地;当該特許方法によって直接獲得した産品の使用・販売のオッファー・販売・輸入等行為の実施地;意匠商品産地の製造・販売・輸入等行為の実施地;他人の特許を盗用した行為の実施地なども含む。いわゆる結果発生地とは、上記侵害行為の侵害結果発生地を指していう。

実務上、侵害産品の製造地、販売地法院の管轄権問題がいつも当事者間の争いを引き起し、各地法院の認識も一致でない。現在、最高人民法院の発表した《特許紛争の若干規定》によれば、若し原告がたんに侵害産品の製造者に対して訴訟を提起し、販売者に対して提訴しない場合、侵害産品の製造地と販売地が一致しないとき、製造地の人民法院は管轄権を有する。若し製造者が販売者といっしょに共同被告として起訴された場合、販売地の人民法院は管轄権を有する。販売者は製造者の分支機構であって、原告が販売地で侵害産品の製造者の製造・販売行為を提訴した場合、販売地の人民法院は管轄権を有する。

最後に、インターネット関連の著作権侵害紛争が絶えず発生する情況に対し、最高人民法院の関係司法解釈によれば、インターネット関連著作権紛争案件は侵害行為地の法院又は被告所在地の法院が管轄するとなっている。侵害行為地は侵害行為の実施と訴えれたサーバー、ターミナル等設備の所在地を含む。侵害行為地と被告行為地の確定が難しいときに、原告が発見した侵害内容を盛り込んだターミナル等設備の所在地は侵害行為地とみなすことができる。

Top  
前のページ 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10次のページ
 
 
  11th F1., 148 Songjiang Rd., Taipei, Taiwan | Tel : 886-2-2571-0150 | Fax : 886-2-2562-9103 | Email : info@tsailee.com.tw
© 2011 TSAI, LEE & CHEN CO LTD All Rights Reserved
   Web Design by Deep-White