事務所情報 | 出版物品 | 2005年3月
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立体商標の積極的登録要件および消極的登録阻却要件

-台湾商標法第5条及び第23条の規定並びに「立体、色彩および音声商標」の審査基準を中心として-

I.立体商標の意義

台湾改正商標法(20031128日より施行)第5条第1項の規定によると、立体形状は商標の要素として登録出願することができる。立体商標とは三度空間(長さ、広さ、高さ)から構成された立体形状であって、関係消費者をして異なる商品または役務の出所を区別できる商標をいう。立体商標は登録するには、識別力、非機能性及びその他商標登録の一般要件と合致しなければならない。

Ⅱ.立体商標の積極的登録要件と消極的登録阻却要件

立体商標は、商標の一つの形態である以上、その他商標登録を出願する商標と同様、必ず登録の積極的要件を満足するとともに、登録阻却要件がないという消極的要件をも満足してはじめてその登録を許可することができる。

1.立体商標の積極的登録要件-識別力を有すること 台湾商標法第5条第2項に、「前項商標は商品または役務の関連消費者をしてそれが商品または役務を表彰する標識を十分に認識させ、かつこれによって他人の商品または役務と区別がつくものでなければならない。」とある。これは通常いわゆる商標の識別力と称している。この規定から商標の識別力を有するには以下二つの要求を満足しなければならない。その一つ、商標は必ず商品または役務を表彰する標識として使用されなければならず、商品または役務そのものを説明するものではない。その二つ、商標は必ず消費者をしてそれが商品または役務の出所を表彰し、その他の商標で表彰する商品または役務の出所と異なり、その他の商標を付した商品または役務と区別するものでなければならない。この認識の下で、われわれは識別力を有さない立体商標の状況について検討することができる。

(i)
まず、商標は商品または役務を表彰する標識でなければならないことについて言えば、立体形状のデザインはその目的が商品または役務の標識とする機能に用いられるのでなく、商品または役務の形状、品質、効用等を説明または表示することに用いられるとき(商標法第23条第1項第2号)、または単にその美感等装飾的なデザインに重じるときは、識別力を欠いた態様の一に属する。識別力を有さない立体形状は、商品自身の立体形状である及び商品自身の形状と密接な関連を有する「商品包装(容器)の立体形状」等二者である。

(ii)
そのつぎ、立体商標は商品または役務の形状、品質、効用を説明するものでもなければ、美感等の装飾性に基づいた考量でもない。確かに商品または役務を表彰する標識とする意思がある場合、縦えこの状況の下であっても、仮に当該立体形状はその指定商品または役務が属する業界で通常、その商品または役務によって提供する慣用する形状である場合、消費者をしてそれが特別の商品または役務の出所を認識させ、これによって他人の商品または役務を区別する機能を欠くために、識別力を有さない。例えば、バランタインデーのとき、大量に生産するハート型チョコレートの造型と包装、または双?(二つの喜び)または龍鳳図様の結婚商品等。条文の規定で言えば、ここにいう通用または慣用する形状とは、規範する理念上、商標法第23条第1項第3号にいう「指定商品または役務の通用標章または名称であるもの」に類似する。しかし、その号の規定には慣用する形状をその中に含めていないようであるため、解釈上、いきなりにそれが同法第5条第2項に規定されている識別力に満たないとしてその商標登録をさせないのである。

(iii)
然るに、たとえ登録出願時、上記理由で先天的識別力を具さなくて、商標登録を得られることができないにしても、若しその後、長期的使用によって当該立体商標をしていわゆる派生的な意味(Secondary Meaning)を取得させ、消費者をしてこれを他人の商品または役務と区別がつくものであるときは、即ち当該立体形状が識別力を有すると認められ、その商標の登録を許可させた。従って、商品自体の形状、品質または効用を表示する立体形状および商品の形状、品質または効用と密接な関連を有する商品包装(容器)の立体形状二者(以下この二つの商標を「機能性商標」という)はたいてい先天的に商標法第23条第1項第2号の規定に当該するため識別力を有さないと認められる。しかし、若し長期的使用によって派生的な意味(Secondary Meaning)を取得すれば、例外的に同条第4項の規定により、その後天的に取得した識別力を以って商標の登録を出願することができる。

(iv)
この際、若し出願人が相当な証拠を提供できる。例えば、消費者は当該商品の形状が商品の出所を表彰する標識であることを認識するか否かに関する消費者調査報告、広告支出、商品の形状の特色が商品の出所を区別できることを強調する広告(例えば、この商品の形状を証明するなどの広告文字または広告文句)、商品形状の使用期間の長短、独占性および販売状況等を提供でき、当該商品の形状はすでに出願人によって使用され、かつ、取引上すでに出願人の商品を表彰する標識となっていることを証明し、さらにこれをもって他人の商品と区別できる場合、例外的に後天的識別力を取得したため、同法第23条第4項の規定によりその登録を許可することができる。

2.立体商標の消極的登録阻却要件-機能性を有さないこと  立体商標の不登録事由は、その他の形態の商標と同様、商標法第23条第1項の各号に規範されるほか、同項第4号はとくに立体商標のために設けた規定である。按ずるに、「商品または包装の立体的形状で、その機能性を発揮するに必要なもの」は登録を出願することができないとは商標法第23条第1項第4号に規定されている。その立法趣旨は商品またはその包装の立体形状は特定の使用上の機能を有し、かつ、その機能はその商品の使用目的を達するために必要で、ある技術的効果を達するために必要で、若しくはその形状の製作コストまたは方法が比較的簡単、安いまたは良好で、同類の競争商品の中に、競争の優勢を持ち、関連事業の公正競争への影響を免れるため、最初に考案した人が特許法によって一定期間の保護を取得できるを除き、一般業者がみんな合理的に使用でき、公正な競争に利するため、商品またはその包装がその機能性を発揮するために必要であると認められるべく、特定の人によって登録され、長期専用させることができない。また、上記に述べたように、機能性を有し、業者に必要な商品または包装の立体形状は、若し一人によって独占させる場合は、まさに同業者の権益に酷く影響し、不公平な結果を発生するため、機能性を有する商標がたとえ長期間の使用によって商標の識別力を取得しても、やはり登録を許可すべきではない。」 

以上にのべた理由により、特定商品の機能性を発揮するに必要または不可欠な立体形状を商標として登録させられるならば、市場の競争が不当に制限されるような不当の結果を生じるおそれがある。 

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