事務所情報 | 出版物品 | 2005年3月
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中国《最高人民法院の技術契約紛争事件の審理に適用する法律に関する若干問題の解釈》-法釈[2004] 20号に関する幾つかの要点-

技術契約紛争事件を正確に審理するため、《中華人民共和国契約法》、《中華人民共和国専利法》及び《中華人民共和国民事訴訟法》などの法律に関する規定を、審判実践と結合して、最高人民法院審判委員会は20041130日に《最高人民法院の技術契約紛争事件の審理に適用する法律に関する若干問題の解釈》を通過させ、本解釈は200511日から施行される。

上述した司法解釈規定の内容は46条と非常に多く、紙面の都合により特別重要な数項目のみについて説明する。その詳細な内容については、当該解釈を直接参照されたい。

一、技術成果の範囲を明確にして、コンピュータソフトウェア、半導体集積回路配置設計及び植物新品種などが技術成果の範囲に初めて取り入れられた。

司法解釈第1条第1項の規定において、技術成果とは、科学技術知識、情報及び経験を利用して生み出された製品、工芸技術、材料及びその改良などに関する技術を指し、それには専利、専利出願、技術秘密、コンピュータソフトウェア、半導体集積回路配置設計、植物新品種等が含まれる。

元の技術契約法及びその実施条例では、技術成果の一般類型が明確にされておらず、技術成果は専利技術および非専利技術に分けられているだけであった。契約法においても、専利及び技術秘密の二種類の技術成果が規定されているだけであり、例えば、コンピュータソフトウェア、半導体集積回路配置設計、植物新品種等といった新たな知的財産権の類型に関しては明確に規定されていなかった。専利出願されて専利査定されていない、特に専利の臨時保護期間に置かれている技術に関しては、技術秘密にも専利にも属さないため、特定段階にある特殊な法律意義を有する技術成果である。

二、技術秘密の構成要件を改めて規定する。即ち「商業価値を有する」ことを技術秘密の構成要件とする。

上述の司法解釈第1条第2項の「技術秘密」の構成要件を改めて規定する。即ち「技術秘密とは、公衆に知られたものではなく、商業価値を有して、権利者により機密保持の措置が採られた技術情報をいう」。

「商業価値を有する」条件を、「技術秘密」の構成要件に入れることは、国際標準及び国際慣例により合致し、中国がWTO(世界貿易機関)へ加盟して、技術秘密を含む商業秘密の法律保護を強化することを承諾したことに対して有利となる

三、組織及び従業員の技術成果帰属の明確化

組織と従業員との間の技術成果帰属に関する紛争は、常に社会の注目を集めており、職務技術成果及び非職務技術成果の判断は、先ず当事者間の約定を尊重しなければならない。

上述の司法解釈第2条第2項は、契約法が体現する契約の自由の原則規定により、「法人又はその他の組織が、その従業員と在職期間中又は離職後に完成させた技術成果の権益に関して約定されているときは、人民法院はその約定に従い確認しなければならない。」と規定している。

次に、個人が完成した技術成果が「法人又はその他の組織の職務を執行するか否か」を判断しなければならない。上述の司法解釈第2条第1項第2号の規定によると、「離職後1年以内に、継続してその原所在法人又はその他の組織の部署職責又は与えられた任務に関する技術開発の仕事」は、「やはり法人又はその他の組織の職務を執行することに属するが、法律、行政法規に別の規定がある場合を除く。」と規定されている。上述の「離職」とは、辞職、退職、無給休職、解雇など各種原因により原組織を離れる情況と理解されるべきである。

また、技術成果を完成させた個人が、「法人又はその他の組織の物質技術条件を主に利用したかどうか」を見る必要もあり、組織の物質条件を利用している問題に関して、過去の規定と比べて司法解釈では、技術成果の技術貢献要素がより重視され、更には物質貢献要素は軽視されていて、職場の物質条件の「全部又は大部分」を利用しているだけでなく、「これら物質条件が当該技術成果にとって実質的な影響があって」、初めて技術成果と認定することができる。

四、不法独占技術が明確な六つの情況

技術契約紛争事件は、一般に中級以上の人民法院が管轄する。各高級人民法院は、本管轄区の実際の情況により、最高人民法院が批准して、若干の基層人民法院を指定して第一審技術契約紛争事件を管轄する。

その他の司法解釈が、技術契約紛争事件の管轄に関して他に規定されているときは、その規定に従う。

契約中に技術契約内容が既にあり、その他の契約内容もあり、当事者が技術契約内容とその他の契約内容とに争議が発生した場合、技術契約紛争事件の管轄権を有する人民法院により受理される。

上述の司法解釈第43条により規定されているように、技術契約紛争事件は級別管轄提起されるため、技術契約事件の審判の強化、司法標準の統一に有利である。 

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